2014年5月11日日曜日

弁論再開と公正手続保障

日本の民訴法153条は、ドイツ民訴法の156条1項のみを真似て、残りを排除しています。どういう場合に義務的に弁論が再開されなければならないか、という規定をなくしています。
デタラメ強引な裁判終結をごまかすための策略です。

ドイツ民事訴訟法 第156
(1) 裁判所は、終結した口頭弁論の再開を命ずることができる。
(2) とりわけ、次の場合には裁判所は弁論の再開を命じなければならない。
 1. 特に、当事者への通知義務及び釈明義務違反(139)、法的聴聞権の侵害等の、決定に影響のある手続き上の違反が認められる場合(295)
 2. 再審事由(579,580)の根拠となる事実が提出され、疎明されている場合。
 3. 口頭弁論の終結と評議の終結の間に判事が退職した場合。

§ 156 Wiedereröffnung der Verhandlung
(1) Das Gericht kann die Wiedereröffnung einer Verhandlung, die geschlossen war, anordnen.
(2) Das Gericht hat die Wiedereröffnung insbesondere anzuordnen, wenn
1. das Gericht einen entscheidungserheblichen und rügbaren Verfahrensfehler (§295), insbesondere eine Verletzung der Hinweis- und Aufklärungspflicht (§139) oder eine Verletzung des Anspruchs auf rechtliches Gehör, feststellt,
2. nachträglich Tatsachen vorgetragen und glaubhaft gemacht werden, die einen Wiederaufnahmegrund (§§ 579, 580) bilden, oder
3.zwischen dem Schluss der mündlichen Verhandlung und dem Schluss der Beratung und Abstimmung (§§192 bis 197 des Gerichtsverfassungsgesetzes) ein Richter ausgeschieden ist.

日本式民事訴訟法(口頭弁論の再開)
第153  裁判所は、終結した口頭弁論の再開を命ずることができる。

判事を専制化する規定です。専制裁判、専制政治です。

「弁論を再開するか否かは裁判所の専権事項」という記述をよく見かけますが、悪を匿うものです。

ドイツ民訴法との比較についての言及が全く見つからないのも不思議です。目隠しされているのでしょうか。パンプティコン監獄列島です。

ドイツの民事訴訟法の全訳が見つからないのも不思議です。


---------民事訴訟における手続保障の在り方
弁論再開と手続保障
(1) 弁論再開の理由我が国の弁論再開制度は,1877年ドイツ帝国民事訴訟法(CPO)142条を母法としているが,同条の立法理由については,裁判所が口頭弁論終結後に,事案がいまだ解明されておらず,判決をするに熟していないと翻意したときに,審理を充足するための手続である,とされている(19)。旧々民訴法124条の趣旨もこれと同じに理解されている(20)。
しかし,ドイツ民事訴訟法(ZPO)156条について,学説及び判例は,弁論再開を裁判所の裁量事項であり,当事者に弁論再開の申立権はないとしながらも,審理を担当した裁判官が口頭弁論終結後に死亡ないし転任した場合だけでなく,裁判所が釈明義務を尽くしていないために事案の解明が行われていないと判断したとき,弁論を再開して当事者に弁論の機会を与えないと審問請求権(Anspruch auf rechtliches Gehor)が害されることになるとき,弁論再開の理由として再審事由に当たる事情が主張されたときなどの場合にも裁判所に弁論の再開が義務づけられているとしている(21)。これらは,法的事実に関して見解の表明・聴取の機会を与えられる弁論を尽くす必要のある場合において当事者に対する手続保障を確保するために認められているということができる。また,1975年フランス民事訴訟法444条1項は,裁判長は弁論を再開を命じることができるが,「当事者に要求された法律上又は事実上の説明について,対審的に弁明する機会がまだ両当事者に与えられていない場合には,必ず弁論の再開を命じなければならない。」と定め(22),対審による弁論を保障している。オーストリア民事訴訟法194条は,弁論の再開について,「裁判のために提出事項の解明若しくは補充が必要であること,又は合議部が弁論の終結後に初めて証明の必要があることを知った事実の証拠に関しての討論が必要であることが判明した場合」等には,終結した弁論の再開を命ずることができると定めている(23)
--- 弁論終結決定が著しく正義に反する場合は,弁論を再開しないで終局判決をすることが許容されないのであるから,当該判決が上訴の対象になる以前に民事訴訟における手続的正義に反するものとして,特別抗告が許されなければならないと解すべきであると思われる(33)。

0 件のコメント :