2015年4月13日月曜日

公権力により権利を侵害されるあらゆる者に、出訴の途が開かれる


---http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/gyouseisosyou/dai7/7siryou7.pdf
行政訴訟関係法令ドイツ
翻訳 東京大学助教授 山本隆司
I 総説
A 司法と行政との関係一般論
基本法 19 4 公権力により権利を侵害されるあらゆる者に、出訴の途が開かれる。 他の管轄が根拠づけられていない限り、通常裁判所への出訴が認められる。10 2 2 [通信の秘密の制限について、裁判所ではなく、国民議会の選任する機関が審査する制度を認める規定]の適用を妨げない。
B 司法権としての行政裁判所、行政訴訟法制度
基本法 92 条 司法権は裁判官に委ねられる。司法権は、連邦憲法裁判所、本基本法において規定される連邦裁判所および州裁判所により行使される。
基本法 95 1 項 通常裁判、行政裁判、財政裁判、労働裁判、および社会裁判の分野について、連邦は最上級裁判所として、連邦通常裁判所、連邦行政裁判所、連邦財政裁判所、 連邦労働裁判所、および連邦社会裁判所を設立する。
行政裁判所法 1 条 行政裁判権は、独立の、行政官庁から分離された裁判所により行使される。
行政裁判所法 2 条 行政裁判権を有する裁判所は、州においては行政裁判所と各州に一つの上級行政裁判所、連邦においてはライプツィヒに所在する連邦行政裁判所である。
行政裁判所法 173 条 本法が手続について規定を含んでいない場合、行政訴訟と民事訴訟の両手続の基本的な違いのために適切さを欠くのでなければ、裁判所構成法と民事訴訟法を類推適用することとする。民事訴訟法 1062 条にいう裁判所は、管轄の行政裁判所とし、 民事訴訟法 1065 条にいう裁判所は、管轄の上級行政裁判所とする。


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II 行政訴訟の類型と対象 A 訴訟類型
行政裁判所法 42 1 項 訴えによって、行政行為の取消し(取消訴訟)、および拒否された、 あるいは不作為の状態にある行政行為の発布を義務づける判決(義務づけ訴訟)を求めることができる。
43 1 項 原告が即時確定について正当な利益を有する場合、訴えによって、法関係の存否あるいは行政行為の無効の確認を求めることができる(確認訴訟)
2 項 原告が形成訴訟あるいは給付訴訟によって権利を追求できる、あるいは追求できたであろう場合、確認を求めることはできない。但し、行政行為の無効確認が求められる場合を除く。
68 1 項 取消訴訟を提起する前に、行政行為の適法性と合目的性を前置手続において審査するものとする。この審査は、法律が特に規定する場合および次の場合には、不要である。
1.   行政行為が最上級連邦官庁あるいは最上級州官庁によって定められた場合。但し法律が審査について規定する場合を除く。
2.   救済決定あるいは異議決定によって初めて不服が生じた場合。
2 項 第 1 項は、行政行為の実施を求める申請が拒否された場合における義務づけ訴訟に
準用する。
69 条 前置手続は異議の提起により開始される。
70 条 異議は、行政行為が不服申立人に知られてから 1 ヶ月以内に、行政行為を定めた官庁に対し、文書により、あるいは記録してもらうことにより、提起するものとする。異議決定を行うべき官庁に申し立てる場合も、期間は遵守される。
2 58 条および 60 1 項から 4 項が準用される。
71 条 異議手続における行政行為の取消しあるいは変更によって初めて不服が生じた場合、救済決定あるいは異議決定を行う前に、関係人から聴聞するものとする。
72 条 官庁が異議に理由があると認める場合、異議に応じて救済を行い、費用について決定する。


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73 1 項 官庁が異議に応じて救済を行わない場合には、異議決定が行われる。異議決定を行うのは、次の機関とする。
1.   法律によって他の上級官庁が規定されていない限り、直近上級官庁。
2.   直近行政官庁が最上級連邦官庁あるいは最上級州官庁である場合には、行政行為を定めた官庁。
3.   自治行政事項については、法律が別段の定めをしていない限り、自治行政官庁。
2 文第 1 号の例外として、行政行為を定めた官庁が異議に関する決定についても管轄
することを、法律により定めることができる。
2 項 第 1 項の前置手続において委員会あるいは審議会が官庁に代わる旨の規定は、効力を失わない。委員会あるいは審議会は、第 1 項第 1 号にかかわらず、行政行為を定めた官庁において構成することもできる。
3 項 異議決定は、理由を付し、権利保護手続の教示を添えて送達するものとする。異議決定は、誰が費用を負担するかについても決定する。
74 1 項 取消訴訟は、異議決定の送達後 1 ヶ月以内に提起せねばならない。68 条により異議決定が不要な場合、訴えは行政行為が知られてから 1 ヶ月以内に提起せねばならない。
2 項 行政行為の実施を求める申請が拒否された場合、義務づけ訴訟について第 1 項を準用する。
75 条 異議について、あるいは行政行為の実施を求める申請について、十分な理由なく、 適切な期間内に内容に関する決定がなされなかった場合、68 条にかかわらず訴えが許容される。訴えは、異議を提起してから、あるいは行政行為の実施を申請してから 3 ヶ月を経過するまでは、提起できない。但し、事案の特別な状況ゆえに、期間を短縮する必要がある場合を除く。異議についてまだ決定されていない、あるいは申請された行政行為がまだ定められていないことに、十分な理由がある場合、裁判所は、期間を定めて、その期間が経過するまで手続を停止する。期間は延長できる。裁判所の定めた期間内に異議が認められ、あるいはこの期間内に行政行為が定められた場合、本案の終了を宣言するものとする。
76 (削除)
77 1 項 異議手続あるいは不服手続に関する、他の法律における全ての連邦法上の規定は、本節の規定によって置き換える。
2 項 行政裁判所への訴えの要件となる異議手続あるいは不服手続に関する、州法上の規定についても、同様とする。
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78 1 項 訴えの被告は次の者とする。
1.   取消しを求められた行政行為を定めた官庁、あるいは申請された行政行為を行わなかった官庁の属する、連邦、州、あるいは団体。被告の表示としては、官庁を示せば十分である。
2.   州法が特に規定する場合、取消しを求められた行政行為を定めた官庁、あるいは申請された行政行為を行わなかった官庁自身。
2 項 異議決定が行われて初めて不服が生じた場合(68 1 2 2 )1 項にいう官庁は、異議官庁とする。
79 1 項 取消訴訟の対象は、次の通りとする。
1.   異議決定によって認められた形態の、元の行政行為。
2.   救済決定あるいは異議決定によって初めて不服が生じた場合、これらの決定。
2 項 異議決定が元の行政行為に対して追加的に独立の不服を生じさせた場合、そしてその場合に限り、異議決定だけを取消訴訟の対象にすることもできる。本質的な手続規定への違反も、異議決定がこの違反に関わっている場合、追加的不服に当たる。78 2 項が準用される。
88 条 裁判所は請求の内容を超えてはならないが、申立ての表現には拘束されない。
113 5 項 行政行為の拒否あるいは不作為が違法であり、それにより原告が権利を侵害されている場合、事案が判決に熟していれば、裁判所は、申請された職務行為を実施するよう、行政官庁を義務づける判決をする。事案が判決に熟していなければ、裁判所の法理解を考慮して原告に対して決定するよう、義務づける判決をする。
B 「取消訴訟の排他的管轄」
行政手続法 35 条 行政行為とは、行政庁が公法の領域で個別事例を規律するために行い、 外部への直接の法効果に向けられる、処分、決定、その他の高権的措置である。一般処分とは、一般的なメルクマールによって特定され、または特定できる人的範囲に向けられる行政行為、あるいは、物の公法上の性質または一般人による物の利用に関わる行政行為である。


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C 行政訴訟の対象
行政裁判所法 40 1 項 行政裁判所の管轄は、争訟が連邦法律によって他の裁判所に明示に割り当てられていない限り、非憲法的性質のあらゆる公法上の争訟について認められる。州法の領域における公法上の争訟は、州法律によって他の裁判所に割り当てることもできる。
2 項 公共の福祉のための犠牲および公法上の寄託に基づく財産法上の請求権、あるいは、 公法上の義務違反に基づく損害賠償請求権で、公法契約に関わらないものについては、通常裁判所の管轄が認められる。官吏法の特則、および違法な行政行為の職権取消に起因する財産的不利益の補償に関する裁判管轄の特則は、効力を失わない。
47 1 項 上級行政裁判所は管轄の範囲内で、申立てに基づき、次の法規範の有効性について判決する。
1.   建設法典の規定に基づいて制定された条例、および建設法典 246 2 項に基づく法規命令。
2.   その他、州法に定めがある場合、州法律より下位の法規定。
2 項 法規定またはその適用によって権利を侵害されている、あるいは将来侵害されることが予想されると主張する、全ての自然人および法人、ならびに全ての官庁は、法規定が公告された後 2 年以内に、申立てをすることができる。申立ては、法規定を制定した社団、 営造物法人または財団を相手方としなければならない。上級行政裁判所は、州、および管轄が法規定に関係する他の公法人に、期限を定めて意見を表明する機会を与えることができる。
3 項 法規定を専ら州の憲法裁判所が審査する旨、法律が規定している場合、上級行政裁判所は、法規定が州法に適合するかを審査しない。
4 項 法規定の有効性を審査する手続が憲法裁判所に係属している場合、上級行政裁判所は、憲法裁判所における手続が終了するまで、弁論を中止することを命ずることができる。
5 項 上級行政裁判所は、判決により、または口頭弁論を不要と考える場合は決定により、 裁断を行う。上級行政裁判所は、法規定が効力を有しないとの確信に至った場合、法規定を無効と宣言する。この場合、判決ないし決定は、一般的に拘束力を有する。そして申立ての相手方が決定の文書を、法規定を公告する場合にとるべき方法で公告せねばならない。 裁判所の決定の効果について、183 条が準用される。建設法典の規定に基づいて制定された条例ないし法規命令に確認された瑕疵が、建設法典 215a 条にいう補足手続により除去できる場合、上級行政裁判所は、瑕疵が除去されるまで条例ないし法規命令が効力を有し
ないと宣言する。2 2 [この場合. 公告せねばならない]が準用される。
6 項 裁判所は、重大な不利益を防止するため、あるいは他の重大な理由から緊急を要す
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る場合、申立てに基づき仮命令を定めることができる。
III 原告適格および訴えの利益の消滅
A 原告適格
行政裁判所法 42 2 項 法律に別段の定めがない限り、行政行為、または行政行為の拒否あるいは不作為により権利を侵害されている旨を原告が主張する場合にのみ、訴えは許容される。
(参考)
連邦自然保護法 58 1 項 連邦環境·自然保護·原子炉安全省に承認された、法人格ある団体には、次の一に該当し、かつ、団体が規約の定める任務領域において当該事業と関わる場合に、意見を提出し、関係する専門家の鑑定を閲覧する機会を与えなければならない。
1.  連邦政府あるいは連邦環境·自然保護·原子炉安全省が、自然保護および景観保全の領域において、法規命令、その他法律の下位の法規定を準備する場合。
2.  自然と景観への侵入に結びつく事業に関わり、団体が当該手続に関わる州の領域を活動範囲に含む場合、連邦官庁が実施する計画確定手続。
3.  2 号の計画確定に代えて行われ、公衆参加が規定されている、連邦官庁が定める計画許可。
2 項 行政手続法 28 2 1 号、2 号、3 項、29 2 項が、意味に即して適用される。 他の法規定に規定されている、内容の同じ、あるいはより広範囲の参加形態は、効力を失わない。
3 1 2 号、3 号は、団体の活動領域に関わる場合、州が 60 条の枠内で承認した団体にも適用される。
59 1 項 承認は申請に基づいて行われる。団体が次の要件を全て満たす場合、承認を行わなければならない。
1.  単に一時的にではなく、規約の理念上、自然保護·景観保全を主要な目的として促進すること。
2.  一つの州の地域を超える活動範囲を持つこと。
3.  承認の時点において少なくとも 3 年間存続しており、この期間に 1 号の活動をしてきたこと。
4.  任務を適切に遂行する保障があること。判断の際、従来の活動の種類や範囲、団体の
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会員の範囲、および支払能力を考慮せねばならない。
5.   公益目的を追求するため、法人税法 5 1 9 号により、法人税を免除されていること。
6.   団体の目的を支持する者であれば誰でも、会員総会において完全な投票権を有する会
員として加入できること。会員が専ら法人である団体の場合、これらの法人の多数が当該
要件を満たせば、1 文に挙げた要件を免除することができる。
承認の際には、承認が効力を有する規約上の任務領域を示さなければならない。
2 項 承認は連邦環境·自然保護·原子炉安全省が宣言する。
60 条 州による団体の承認()
61 1 59 条により、または 60 条の枠内で州法の規定に基づき、承認された団体は、 権利を侵害されていなくても、次の行為に対して、行政裁判所法による争訟を提起できる。
1.   自然保護地域、国立公園、および 33 2 項の枠組における他の保護地域を保全するための、禁止および命令からの免除。
2.   自然や景観への侵入と結びつく事業に関する計画確定決定、および公衆参加が規定されている計画許可。
1 文に挙げられた行政行為が、行政訴訟上の争訟手続における決定に基づいて定められた場合、1 文は適用しない。
2 1 項に基づく争訟は、団体が次の要件を全て満たす場合にのみ、許される。
1.      1 1 文に挙げられた行政行為の決定が、次の規定に違反する場合。本法の規定。本法に基づき、あるいは本法の枠内で制定され、または引き続き効力を有している法規定。 あるいは、行政行為の決定の際に考慮されるよう、そして少なくとも自然保護および景観保全の利益にも資するよう定められた、その他の法規定。
2.      承認を受けた、規約に基づく団体の任務領域に関わる場合。
3.      58 1 2 号、3 号に基づき、または 60 2 5 号から 6 号までの枠内における州法の規定に基づき、手続に参加する権利を有し、手続において決定の内容について意見を表明した場合。あるいは 58 1 項に違反して、または 60 2 項の枠内で定められた州法の規律に違反して、団体に意見表明の機会が与えられなかった場合。
3 項 団体が行政手続において意見表明の機会を有していた場合、団体は、行政手続において主張しなかったが、団体に交付され、あるいは閲覧された文書に基づき、意見表明の対象にすることができたはずの異議の主張を全て、争訟手続において遮断される。
4 項 行政行為が団体に通知されなかった場合、不服申立てと訴訟は、団体が行政行為を知り、または知ることができたはずの時点から 1 年以内に、提起しなければならない。
5 項 州は、60 2 項により団体の参加が規定されている他の場合にも、団体による争訟
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を許すことができる。州は手続についてさらに規定を設けることができる。
B 訴えの利益の消滅
行政裁判所法 113 1 項 行政行為が違法であり、原告がそれにより権利を侵害されている場合、裁判所は行政行為、および異議決定が問題になる場合は異議決定を取消す。行政行為が既に執行されている場合、裁判所は申立てに基づき、行政官庁が執行を原状に回復せねばならないこと、およびその方法も、宣言することができる。この宣言は、官庁にとって可能であり、この問題が判決に熟している場合にのみ、許される。行政行為が既に取消しや他の事情により消滅した場合、裁判所は、行政行為が違法であったことを、原告がこうした確認について正当な利益を有する場合に、申立てに基づき判決によって宣言する。
IV 仮の権利保護
(執行停止)
行政裁判所法 80 1 項 不服申立ておよび取消の訴えは(執行ないし発効)延期効果を有する。このことは、法形成的行政行為、確認的行政行為にも、二重効果的行政行為(80a ) にも妥当する。
2項 延期効果は次の場合に限り生じない。
1.    公課および公の費用の賦課徴収。
2.    警察執行官吏による延期不能な命令および措置。
3.    その他、連邦法律、または州法について州法律に規定された場合。とりわけ、投資や雇用創出に関わる行政行為に対する、第三者の不服申立ておよび取消訴訟の場合。
4.    行政行為を定めた官庁、あるいは不服申立てについて決定せねばならない官庁が、公益あるいは関係人の重大な利益のために、即時の執行を特に命令する場合。
州は、権利保護の請求が、州が連邦法に基づいて行う行政上の強制執行においてとられる措置に向けられている場合、延期効果を有しない旨を定めることもできる。
3 2 4 号の場合、行政行為を即時に執行することの特別の利益を、文書によって理由づけなければならない。危険が切迫し、とりわけ生命、健康あるいは財産に対する不利益が差し迫っており、官庁が事前に公益のための緊急措置を、緊急措置であることを示してとる場合、特別の理由提示は必要ない。
4 項 行政行為を定めた官庁、あるいは不服申立てについて決定せねばならない官庁は、2 項の場合、連邦法律に別段の定めがない限り、執行を停止することができる。公課および
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公の費用の賦課徴収については、保証と引き換えに執行を停止することもできる。公課および公の費用については、攻撃されている行政行為の適法性に重大な疑義がある場合、あるいは、執行が公課ないし費用の負担義務者にとって不当に過酷な結果をもたらし、それが重大な公益により要請されるものではない場合に、執行を停止するものとする。
5 項 本案裁判所は申立てに基づき、延期効果を、2 1 号から 3 号の場合は全部あるいは一部について命令し、2 4 号の場合は全部あるいは一部回復することができる。申立ては取消訴訟を提起する前から許される。行政行為が決定の時点で既に執行されている場合、裁判所は執行の取消しを命令することができる。延期効果の回復は、保証の提供もしくは他の負担にかからしめることができる。期限を付すこともできる。
6 2 1 号の場合、5 項による申立ては、官庁が執行停止の申立てを全部あるいは一部拒否した場合にのみ許される。但し次の場合を除く。
1.   官庁が申立てについて、十分な理由を伝えないまま、相当の期間を経過しても実体に関する決定をしなかった場合。あるいは、
2.   執行が差し迫っている場合。
7 項 本案裁判所は、5 項に基づく申立てに関する決定を、いつでも変更し、または取消すことができる。あらゆる関係人は、事情の変化、あるいは元の手続において主張しなかったことに過失のない事情を理由に、変更または取消しを申立てることができる。
8 項 緊急の場合は裁判長が決定できる。
80a 1 項 第三者が、他者に向けられ、当該他者を授益する行政行為に対して権利保護の請求をする場合、官庁は次のことができる。
1.   受益者の申立てに基づいて、80 2 4 号により、即時の執行を命令すること。
2.   第三者の申立てに基づいて、80 4 項により、執行を停止し、第三者の権利を保全するための仮の措置をとること。
2 項 関係者が、自分に向けられた負担的行政行為で第三者を授益するものに対して、権利保護の請求をする場合、官庁は第三者の申立てに基づいて、80 2 4 号により、即時の執行を命令できる。
3 項 裁判所は申立てに基づき、1 項および 2 項による措置を変更し、取消し、あるいはそのような措置をとることができる。80 5 項から 8 項が準用される。
80b 1 項 不服申立ておよび取消の訴えの延期効果は、不可争になるとともに終了し、 また、取消訴訟が一審で退けられ、訴えを退ける決定に対し異議手続をとるための法律上の理由申立て期間を経過してから 3 ヶ月を過ぎると終了する。このことは、官庁が不可争になるまで執行を停止した場合を除いて、執行が官庁によって停止された場合、および延期効果が裁判所によって回復または命令された場合にも妥当する。
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2 項 上級行政裁判所は申立てに基づき、延期効果を継続させることを命令できる。
3 80 5 項から 8 項および 80a 条が準用される。
146 4 項 仮の権利保護手続(80 条、80a 条、123 )における行政裁判所の決定に対する抗告には、決定が通知された後 1 ヶ月以内に理由を付さなければならない。理由書は、 既に抗告とともに提示されていない場合、上級行政裁判所に提出しなければならない。理由書は、特定の申立てを含み、決定を変更または取消すべき根拠を示し、不服のある決定を争うものでなければならない。これらの要件の一つが欠ける場合、抗告は不適法なものとして退けなければならない。行政裁判所は抗告を遅滞なく回付する。148 1 項は適用されない。上級行政裁判所は提示された根拠のみを審査する。
(仮命令)
行政裁判所法 123 1 項 裁判所は、現在の状態が変化することによって、申立人の権利の実現ができなくなり、あるいは本質的に困難になるおそれがあるという危険が存在する場合、訴訟提起前であっても、申立てに基づき、訴訟対象に関する仮の命令をすることができる。争われている法関係に関して仮の状態を規律するための仮の命令も、この規律が、 とりわけ継続する法関係において、本質的な不利益を避けるため、あるいは切迫している権力行使を阻止するため、もしくは他の理由により必要と考えられる場合に許される。
2 項 仮の命令の発布は本案裁判所が管轄する。それは、一審裁判所、および本案が控訴手続に係属している場合は控訴審裁判所である。80 8 項が準用される。
3 項 仮の命令の発布については、民事訴訟法 920 条、921 条、923 条、926 条、928 条から 932 条、938 条、939 条、941 条および 945 条が準用される。
4 項 裁判所は決定により判断を下す。
5 1 項から 3 項の規定は 80 条および 80a 条の場合には適用されない。
V 裁量審査および行政側の資料開示
(裁量審査)
行政裁判所法 114 条 行政庁が裁量により行為することを授権されている場合、裁量の法律上の限界を踰越している、あるいは授権の目的に適合しない態様で裁量を行使しているとの理由で、行政行為またはその拒否ないし不作為が違法であるか否かも、裁判所は審査する。行政庁は行政行為に関する裁量的考慮を、行政裁判手続においてもなお補足できる。
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行政手続法 40 条 行政庁は、裁量により行為することを授権されている場合、裁量を授権の目的に適合するように行使せねばならず、裁量の法律上の限界を守らなければならない。
(行政側の資料開示)
行政裁判所法 86 1 裁判所は関係事実を職権により調査する。その際、訴訟当事者を動員しなければならない。裁判所は、訴訟当事者の主張と証拠申請に拘束されない
99 1 行政庁は、書類および文書を提出し、情報を提供する義務を負う。この書類および文書あるいは情報の内容が知られると、連邦またはドイツの州の福祉に不利益が生じる場合、あるいは、法律上または内容の性質上、関係文書等を秘密にしなければならない場合、所管の最上級監督官庁は、書類および文書の提出あるいは情報の提供を拒むことができる。
2 項 訴訟当事者の申請により、本案裁判所は、書類および文書の提出または情報の提供を拒むための法律上の要件が存在すると信じるに足りるか、決定によって裁断する。1 項の宣言をした最上級監督官庁を、この手続に参加させなければならない。決定に対しては抗告により独立に取消しを求めることができる。上級行政裁判所が一審として本案に当たった場合、連邦行政裁判所が抗告について決定する。


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