2014年3月10日月曜日

明白かつ現在の危険はありますか?

明白かつ現在の危険


明白かつ現在の危険(めいはくかつげんざいのきけん、clear and present danger)とは、表現の自由の内容規制に関する違憲審査基準の一つ。明白かつ現在の危険の基準ともいう。アメリカ憲法判例で用いられ、理論化された。違憲審査基準としては非常に厳格な基準であり、対象となる人権(表現内容を根拠とする表現の自由の規制)の制約を認める範囲は、著しく限定的である(自由の制約が違憲とされやすい)。
明白かつ現在の危険」の基準は、表現内容を直接規制する場合に限定して用いられるべき、最も厳格な違憲審査基準である。この基準は、次の3要件に分析される。
  1. 近い将来、実質的害悪を引き起こす蓋然性が明白であること
  2. 実質的害悪が重大であること
  3. 当該規制手段が害悪を避けるのに必要不可欠であること
この3要件を満たしたと認められる場合には、当該表現行為を規制することができる。1と2の要件は「重大な害悪の発生が時間的に切迫していること」とまとめることができる。

東京地裁判決昭和42年3月27日判時493号72頁
戸別訪問により買収等の「重大な害悪を生ぜしめる明白にして現在の危険があると認めうるときに限り、初めて合憲的に適用しうるに過ぎない」と判示した。
妙寺簡裁判決昭和43年3月12日判時512号76頁
戸別訪問それ自体には「言論の自由を制限しうるために必要な危険の『明白性』の要件が欠けており」、公職選挙法138条の規定は、「明白かつ現在の危険の存在しない場合も含めて、何らの規定も付さずすべての戸別訪問を禁止しているものであることは明らかであるから、場合を分けて適用を異にする余地はなく、規定自体憲法21条1項に違反し、無効といわなければならない」と判示した。

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