http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/pdfs/jiyu_kenkai.pdf
国際人権規約 | 外務省
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(仮訳)
配布一般 CCPR/C/JPN/CO/5 2008年10月30日原文:英語
自由権規約委員会
第94回会期
ジュネーブ 2008年10月13日-31日
規約第40条に基づき締約国より提出された報告の審査
自由権規約委員会の最終見解
日本
1.自由権規約委員会は、日本の第5回定期報告(CCPR/C/JPN/5) を、2008年10月15日及び16日に開催された第2574回、第257 5回及び第2576回会合において審査し、2008年10月28日及び29 日に開催された第2592回、第2593回、第2594回会合において以下の昀終見解を採択した。
A.序論
2.委員会は、締約国の包括的な第5回定期報告、質問リスト(リスト·オブ
· イシュー)への書面回答及び委員の口頭回答に対する代表団の詳細な口頭回答を歓迎する。しかしながら、定期報告の締切が2002年10月であったにもかかわらず、報告書の提出が2006年12月であったことに留意する。委員会は大規模でハイレベルな関係各省庁による政府代表団と、対話に強い関心を示している多数の国内NGOの出席を評価する。
B.肯定的側面
3.委員会は、男女の権利の平等な享受を促進させるために計画されたいくつかの法的及び制度的な措置の採用、特に以下を歓迎する。
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(a)1999年の男女共同参画社会基本法の採択
(b)男女共同参画担当大臣の任命
(c)2005年に閣議決定された男女共同参画基本計画(第2次)が、社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待するとの目標を定めていること
(d)男女共同参画基本計画を推進し、男女共同参画社会の形成促進のための基本政策を調整する男女共同参画局の設立
4.委員会は、ジェンダーに基づく暴力と搾取の被害者(夫·パートナー等からの暴力、性的暴力及び人身取引を含む)を保護し、援助するために締約国がとった以下の措置に留意する。
(a)配偶者暴力相談支援センター、婦人相談所及び婦人保護施設の設立
(b)保護命令の発令件数の増加及び改正配偶者暴力防止法の下における保護の範囲の拡大
(c)2004年の「人身取引対策行動計画」の策定及び人身取引対策に関する関係省庁連絡会議の設立
5.委員会は締約国が2007年に国際刑事裁判所ローマ規程へ加入したことを歓迎する。
C.主な懸念事項及び勧告
6.委員会は、締約国の第4回定期審査後の見解で発出された勧告の多くが履行されていないことを懸念する。
締約国は、委員会によって採択された今回の勧告及び前回の昀終見解を実行するべきである。
7.委員会は、規約の規定を直接適用した国内裁判所の裁判例に関する情報が、
昀高裁判所が規約違反ではないと判断したもの以外には乏しいことに留意する。 (第2条)
締約国は、規約の適用及び解釈が、裁判官、検察官及び弁護士に対する専門職業的研修の一部となること、規約に関する情報を、下級裁判所を含め、司法のあらゆる段階に広めることを確保すべきである。
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8.委員会は、締約国が自由権規約第一選択議定書を批准しない理由の一つが、 本選択議定書の批准が司法制度との関連(司法の独立を含む。)で問題を引き起こす懸念があるというものであることに留意する。
締約国は、委員会の判断が第4審でなく、かつ原則として、事実及び証拠の評価又は国内裁判所による国内法の適用及び解釈の再検討を排除しているという一貫した委員会の判断を考慮し、選択議定書の批准を検討するべきである。
9.委員会は、締約国が未だ独立した国内人権機構を設立していないことに懸念をもって留意する。 (第2条)
締約国は、パリ原則(国連総会決議48/134、付属書)に適合し、締約国が受諾した全ての国際人権基準をカバーする幅広い権限を有し、かつ、公的機関による人権侵害の申立を検討し対処する能力を有する独立した国内人権機構を政府の外に設立すべきであり、機構に対して適切な財政的及び人的資源を割り当てるべきである。
10.委員会は、 「公共の福祉」が、恣意的な人権制約を許容する根拠とはならないという締約国の説明に留意する一方、「公共の福祉」
の概念は、 曖昧で、 制限がなく、規約の下で許容されている制約を超える制約を許容するかもしれないという懸念を再度表明する。 (第2条)
締約国は、 「公共の福祉」の概念を定義し、かつ「公共の福祉」を理由に規約で保障された権利に課されるあらゆる制約が規約で許容される制約を超えられないと明記する立法措置をとるべきである。
11.委員会は、女性に影響を与える差別的な民法の条項、例えば離婚後6ヶ月間の女性の再婚禁止や男性と女性の婚姻年齢の相違への懸念を再度表明する。 (第2条1項、第3条、第23条4及び第26条)
締約国は、女性の待婚期間を廃止し、男性と女性の婚姻年齢を一致させるべく民法を改正すべきである。
12.委員会は、公職における女性の代表性に関する数値目標にもかかわらず、 女性は国会議員(参議院)の18.2%、国家公務員本省課室長相当職以上の 1.7%を占めるに過ぎないこと、及び、2010年までの国家公務員本省課
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室長に占める女性の割合の目標数値が5%であるなど、2008年の「女性の参画加速プログラム」において設定された数値目標のいくつかは極めて消極的であることに懸念をもって留意する。 (第2条1、第3条、第25条及び第2 6条)
締約国は、2005年に採択された「男女共同参画基本計画(第2次)」において設定された期間内に、法定割当て制等の特別措置をとり、また女性の代表性に係る数値目標を見直すことにより、国会、政府の昀も高いレベル、及び公職における男女の衡平な代表を達成するための努力を強化すべきである。
13.委員会は、民間企業の管理職に占める女性の割合が10%しかなく、女性の給与は平均すると男性の給与の51%に過ぎず、また、女性が非正規労働者の7割を占め、そのために有給休暇、母性に関連する保護及び家族手当等の利益を享受することができず、不安定な契約状況のためセクシュアルハラスメントを受けやすいこと、及びこのような女性達はしばしば家庭生活を維持するためにパートタイム労働者として働くことを余儀なくされているとの報告に懸念を有する。
(第2条1、第3条及び第26条)
締約国は、女性の正規雇用を促進し、男女間の賃金格差を撤廃するため、以下
を含む措置をとるべきである。
(a)女性に対し平等な雇用機会を確保するためのポジティブ·アクションを行
うようすべての企業に要求する。
(b)長時間労働に結びついている労働基準緩和を見直す。
(c)女性及び男性が仕事と家族生活のバランスをとることができるように、児
童保育施設の数を更に増やす。
(d)改正パートタイム労働法に基づく、パートタイム労働者の均等待遇に関す
る条件を緩和する。
(e)職場におけるセクシュアルハラスメントを犯罪化する。
(f)男女雇用機会均等法に定める間接差別の禁止事項を、 世帯主であることや、
パートタイム労働者や契約社員といった立場に基づく従業員間の異なる取り扱
いを含めるように拡大する。
(g)間接差別防止のための効果的な措置をとる。
14.委員会は、刑法第177条の強姦の定義が男女間の実際の性交のみを対象とし、かつ被害者の抵抗が強姦の要件となっていること及び被害者が13歳以下である場合を除き、強姦及び他の性犯罪について被害者からの告訴なくして起訴出来ないことに懸念をもって留意する。また、性的暴力の加害者が往々
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にして懲罰を受けることを免れていること又は軽い刑しか受けていないとする報告、裁判官が過度に被害者の過去の性関係に焦点をあて、暴行に抵抗した証拠を提供することを被害者に要求するとする報告、改正監獄法及び警察庁の被害者支援のガイドラインの監視·実施が効果的に機能していないとする報告及び性的暴力に関する専門の研修を受けた医師と看護師の不足及びそのような研修を提供するNGOへの支援が不足しているとする報告を懸念する。(第3条、 第7条及び第26条)
締約国は、刑法第177条の強姦罪の定義の範囲を拡大し、近親相姦、性交以外の性的暴行、男性に対する強姦が重大な犯罪とされることを確保すべきである。また、抵抗したことを被害者に証明させる負担を取り除き、強姦や他の性的暴力犯罪を職権で起訴するべきである。さらに、裁判官、検察官、警察官、
刑務官に対する、性的暴力におけるジェンダーへの配慮に関する義務的な研修も導入すべきである。
15.委員会は、夫·パートナー等からの暴力の加害者に対する刑が緩やかであるとの報告、及び、保護命令の違反者が違反を繰り返した場合、又は警告を無視した場合しか逮捕されないことを懸念する。また、夫·パートナー等からの暴力の被害者に対する長期的支援が不十分であること、夫·パートナー等からの暴力による外国人被害者に対する在留資格付与の遅延が、被害者の安定雇用への応募と社会保障給付へのアクセスを事実上妨げていることについて懸念する。(第3条、第7条、第26条2(3))
締約国は、夫·パートナー等からの暴力の加害者の量刑政策を見直し、保護命令違反者を拘禁·訴追し、夫·パートナー等からの暴力被害者に対する補償やシングルマザーの子育てに対する手当を増やし、補償や児童支援に関する裁判所の命令を執行し、長期のリハビリテーション·プログラムとその施設や、外国人等特別の支援を必要とする被害者への支援を強化するべきである。
16.委員会は、実際に死刑が殺人を含む犯罪のみに課されていることに留意する一方、死刑によって処罰される罪の数が未だに減少していないこと及び近年執行の数が着実に増加していることへの懸念を再度表明する。死刑確定者がしばしば長期間単独室に収容され、執行の当日まで事前の告知がなされずに執行されること、いくつかの事例では、高齢者又は精神障害者であるにも関わらず執行を行っていることについても懸念する。恩赦(大赦、特赦) 、減刑、刑の執行の免除(reprieve)が行われておらず、またかかる救済措置を求めるための手続に関する透明性が欠けていることも懸念事項である。
(第6条、第7
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条、第10条)
世論調査の結果如何にかかわらず、締約国は、死刑廃止を前向きに考慮し、公衆に対して、必要があれば、廃止が望ましいことを伝えるべきである。廃止までの間、B規約第6条2に従い、死刑は昀も重大な犯罪に厳しく限定されるべきである。締約国は、死刑確定者の処遇並びに高齢者及び精神障害者の執行について、より人道的なアプローチを採ることを検討すべきである。締約国は、
死刑執行に備えるための機会の欠如によって引き起こされる精神的苦痛を軽減するという観点から、死刑確定者及びその家族に対して執行予定日時が合理的に事前通知されるよう保証すべきである。恩赦(大赦、特赦) 、減刑及び刑の執行免除(reprieve)が実際上も適用可能であるべきである。
17.委員会は、上訴権を行使しないまま、死刑の宣告を受ける被告人の数が増加していること、裁判所が再審開始を決定するまでは再審請求を担当する弁護士と死刑確定者との面会に刑務官が立ち会い、監視すること、及び再審請求あるいは恩赦請求が死刑執行の停止に影響を及ぼさないことにも懸念をもって留意する。
(第6条、第14条)
締約国は、死刑事件について義務的再審査制度(mandatory system of review) を採用し,死刑事件の再審又は恩赦請求が執行停止の効力を持つことを確保すべきである。執行停止の乱用を防止するために恩赦請求の回数に制限を設けることはありうる。また締約国は、死刑確定者と再審に関する弁護士との間の全ての面会の厳格な秘密性についても保証すべきである。
18.委員会は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の下で、警察では正式に捜査と留置の機能が分離されているにもかかわらず、代替収容制度(代用監獄)の下では、捜査の便宜のため被疑者を昀長23日間警察の留置施設に留置することが可能であり、保釈の可能性がないこと及び特に逮捕後昀初の72時間は弁護士との接見が制限されており、自白を得る目的で長期にわたる取調べや取調べの乱用が行われる危険性が増すことについての懸念を再度表明する。
(第7条、第9条、第10条及び第14条)
締約国は、代替収容制度を廃止するか、規約第14条に規定される全ての保障の完全な遵守を確保するべきである。 また、 締約国は、 全ての被疑者に対して、 取調べ中も含めて、弁護士と秘密裏に接見できる権利、嫌疑のある犯罪の種類にかかわらず逮捕された瞬間から法的援助にアクセスできる権利、及び、診療記録を含む事件に関係する全ての警察の記録にアクセスできる権利が保障され
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ることを確保するべきである。また、締約国は、起訴前保釈制度を導入すべきである。
19.委員会は、警察の内部規範で定められている被疑者取調べの時間制限が不十分であること、真実を明らかにするよう被疑者を説得するという取調べの機能を阻害するとの理由で取調べにおける弁護人の立会いが認められていないこと、及び、取調べの電子的な監視の手法が散発的及び選択的に行われ、しばしば被疑者の自白を記録することに限定されていることを懸念をもって留意する。また、委員会は、主に自白に基づく有罪率が極めて高いことに懸念を再度表明する。この懸念は、このような有罪判決の中に死刑が含まれることで更に強くなる。
(第7条、第9条及び第14条)
締約国は、虚偽の自白を防止し、規約第14条に定められている被疑者の権利を確保するため、取調べの厳格な時間制限や法律を遵守しない行為への制裁につき規定する立法措置を取るとともに、取調べの全過程について体系的に録音
· 録画し、さらに全ての被疑者に、弁護人が取調べに立ち会う権利を保障すべきである。また、締約国は、犯罪捜査における警察の役割は、真実を発見することより、公判のための証拠を収集することであることを認識し、被疑者の黙秘が有罪であることを示すものではないことを確認し、警察の取調べにおいてなされた自白よりも現代的な科学的証拠に依拠するよう、裁判所に働きかけるべきである。
20.委員会は、2006年の刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律によって設置された刑事施設視察委員会及び留置施設視察委員会、
あるいは、 法務大臣によって却下された不服申立てを審査する「刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会」、さらには、被留置者から提出される審査の申請、 事実の申告及び苦情の申出の審査について責任を有する都道府県公安委員会のそれぞれが、刑事施設又は留置施設への外部モニタリングや不服申立制度が実効的であるために必要な独立性、資源及び権限を欠いていることを懸念する。
この観点から、委員会は、2005年から2007年までの間に、留置担当官が暴行陵虐罪で有罪判決や懲戒処分を受けた事案のないことに留意する。 (第 7条及び第10条)
締約国は、次の事項を確保すべきである。
(a)刑事施設視察委員会及び留置施設視察委員会に対し、その任務を効果的に実行するための十分な装備及び関連情報へ完全にアクセスできる機会を与えること、また、これらの委員会の委員が、刑事施設又は留置施設の管理者によ
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り任命されないこと。
(b ) 「刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会」の構成員が適切に配置され、その意見が法務省に対して拘束力を有するものであること。 (c)さらに、被留置者から提出された不服申立ての審査に関する権限を、都道府県公安委員会から外部の専門家によって構成される独立機関に移すこと。 また、締約国は、次回の政府報告に、被収容者及び被留置者から受けた不服申立て、犯罪者に科された刑及び懲戒処分並びに被害者に提供された補償の件数や内容に関する統計データを含めるべきである。
21.委員会は、精神的·心情的安定を確保するためとして、死刑確定者が昼夜間単独室に収容されていること、及び、無期刑受刑者についても時折長期間にわたり単独室に収容されることを懸念する。また、被収容者が、事前の医学的検査もなく、当初は72時間としつつも無制限に延長しうる期間保護室に収容されうるという報告や、一定のカテゴリーに属する被収容者が、不服申立ての機会なしに、居室棟に分離されることにも懸念する。(第7条及び第10条)
締約国は、死刑確定者を単独室に収容するという規則を緩和し、単独室収容は期間を限定した例外的な手段であることを保証し、
昀長期間を明確化し、 また、 保護室に留置される者の事前の健康診断や精神鑑定を必要とすべきである。さらに、明確な基準及び不服申立ての可能性なしに、特定の被収容者を居室棟に分離するという運用を中止すべきである。
22.委員会は、締約国が未だに、第二次世界大戦中における「慰安婦」制度に対してその責任を認めていないこと、加害者が訴追されていないこと、被害者に提供されている補償金が公的資金よりむしろ個人的な寄付によって提供されていること及びそれが不十分であること
、 「慰安婦」問題への言及を含む歴史教科書がほとんどないこと、及び一部の政治家及び報道機関が被害者の中傷あるいは出来事の否定を続けていることに懸念をもって留意する。
(第7条及び第8条)
締約国は、被害者の大半が受け入れ可能で彼らの尊厳を回復させるような方法で「慰安婦」制度に対する法的な責任を認め、率直に謝罪し、生存している加害者を訴追し、全ての生存者の権利として適切な補償を行うために迅速で効果的な立法府及び行政府による措置をとり、本問題について生徒及び一般の公衆を教育し、及び被害者を中傷しあるいは出来事を否定するあらゆる企てに反論し及び制裁措置をとるべきである。
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23.委員会は、人身取引に関し、締約国に人身取引された者及び締約国を中継された者の人数(推定)についての統計の欠如、人身取引関連の犯罪の加害者に課される実刑判決の少なさ、公的及び民間のシェルターに保護された人身取引被害者数の減少、通訳サービス、医療、カウンセリング、未払い賃金又は補償を要求するための法的支援、リハビリテーションのための長期的支援を含む包括的な支援が不十分であること、在留特別許可が加害者を有罪にするために必要な期間のみしか認められず、全ての人身取引被害者に対して付与されるものではないことを懸念する。
(第8条)
締約国は、人身取引被害者を発見する努力を強化し、締約国、及び、締約国を通過している人身取引の流れに関するデータの組織的な収集を確保し、人身取引関連犯罪における量刑政策を見直し、被害者に保護を与えている民間シェルターを支援し、通訳、医療、カウンセリング、未払い賃金及び補償を要求するための法的支援、リハビリテーションのための長期的支援、そして全ての人身取引被害者の法的地位の安定の確保による被害者支援を強化するべきである。
24.委員会は、外国人研修·技能実習制度の下で、締約国に来た外国人は国内労働法令、社会保障の保護から除外されており、非熟練労働においてしばしば有給休暇なく搾取され、法定昀低賃金を下回る研修手当を受領し、無給で残業を強いられ、しばしば雇用主によって旅券を取り上げられているという報告を懸念する。
(第8条及び第26条)
締約国は、外国人研修生及び技能実習生に対して、法定昀低賃金を含む昀低労働基準に関する国内法令の保護及び社会保障を拡大し、そのような研修生及び技能実習生から搾取を行う雇用主に適切な制裁を科すべきであり、さらに現在の制度を研修生及び技能実習生の権利を適切に保護し、低賃金労働者の雇用よりも能力開発に焦点を当てる新たな制度に代えることを検討するべきである。
25.委員会は、2006年の出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(以下、改正入管法)が、庇護申請者を拷問の危険のある国へ送還することを明示的に禁止していないこと、申請数に比べて庇護申請者の認定率が低いままであること、難民認定手続にしばしば相当な遅延があり、その期間に申請者は働くことができず、社会的な支援が限定されていることを、懸念をもって留意する。また、法務大臣に助言する難民参与員は独立して任命されておらず、
拘束力のある決定を出す権限がないことから、法務大臣に対する難民不認定処分に関する不服申立てをしうるとしても、独立した審査ではないことを懸念する。昀後に、拒否された庇護申請者が、退去強制令書の執行を延期する申請へ
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の否定的な決定につき不服申立てを行える前に送還されたとの報告事例を懸念する。 (第7条及び第13条)
締約国は、庇護申請者を拷問や他の虐待の危険のある国へ送還することを明示的に禁止するため、出入国管理及び難民認定法を改正することを検討し、また、
全ての庇護申請者に対し、弁護士、法的扶助、通訳、全ての手続期間中における適切な国による社会的支援又は雇用にアクセスする機会を確保すべきである。法務大臣によって「テロリストの可能性がある」と思われた申請者をも対象とする完全に独立した不服申立機関を設立すべきであり、拒否された申請者が、庇護申請への否定的な決定につき不服申立てを行う前であって行政手続の結論が出た後直ちに送還されないようにすべきである。
26.委員会は、公職選挙法の下での戸別訪問の禁止、選挙運動期間前に配布可能な文書図画への制限などの表現の自由及び参政権に対して課された非合理的な制約につき懸念を有する。委員会は、政治活動家と公務員が、私人の郵便箱に政府に批判的な内容のリーフレットを配布したことで、不法侵入についての法律や国家公務員法の下で逮捕、起訴されたとの報告についても懸念する(第 19条及び第25条 ) 。
締約国は、規約第19条及び第25条の下で保護されている政治活動及び他の活動を、警察、検察官及び裁判所が過度に制約しないように、表現の自由と参政権に対して課されたいかなる非合理的な法律上の制約をも廃止すべきである。
27.委員会は、少年と少女について13歳と設定されている性交同意昀低年齢が低いことを懸念する。 (第24条)
締約国は、児童の正常な発達の保護と児童虐待の防止を目的として、少年と少女の性交同意昀低年齢を13歳とされる現状のレベルから引き上げるべきである。
28.委員会は、嫡出でない子が国籍の取得、相続権及び出生登録に関し差別をされていることに懸念を再度表明する。(第2条1 、 第24条及び第26条)。
締約国は、その法制度から、国籍法第3条、民法第900条4号及び出生届に 「嫡出」であるか否かを記載しなければならないとする戸籍法第49条1項1 を含め、嫡出でない子を差別する条項を除去するべきである。
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29 . 委員会は、 レズビアン、 ゲイ 、 バイセクシャル、 トランスジェンダー (性転換)の雇用、住宅供給、社会保障、健康、教育、その他法により定められた分野(例えば公営住宅法第23条1項が婚姻または婚姻関係にない異性のカップルのみを対象としているため、婚姻していない同性カップルが公営住宅を借りられない例や、配偶者暴力防止法が同性のパートナーによる暴力からの保護を排除している例にあるように)における差別に懸念を有する。 (第2条1及び第26条)
締約国は、規約第26条に関する委員会の解釈に則り、差別を禁止する事由に性的指向が含まれるように法律を改正することを検討し、未婚の異性の同棲カップルと同性の同棲カップルが平等に扱われることを確保すべきである。
30.委員会は、1982年の国民年金法の国籍要件の撤廃が遡及しない上、
20歳から60歳の間に昀低25年間年金制度に保険料を払い続けなければならないという要件のために、多くの外国人、主に1952年に日本国籍を失った韓国·朝鮮人が、事実上国民年金の受給資格から除かれてしまったことを、 懸念をもって留意する。委員会は、国民年金法から国籍条項が撤廃された時に
20歳以上であった、1962年以前に出生した外国人の障害者が、同様に、 障害年金の受給資格がないことについても、懸念をもって留意する。
(第2条 1及び第26条)
締約国は、年金制度から外国人が差別的に除外されないために、国民年金法に定められた年齢要件によって影響された外国人に対して、経過措置を講じるべきである。
31.委員会は、朝鮮学校に対する国の補助金が通常の学校に対するものよりも相当低く、民間の寄付金に強く依存しているが、私立の日本人学校やインタ
ーナショナル·スクールとは異なり、これらの学校が免税対象外又は税金控除対象外であること、また、朝鮮学校の卒業証書がそのまま大学入学資格として認められないことを懸念する。
(第26条及び第27条)
締約国は、国による補助金を増大し、朝鮮学校への寄付を行う者に他の学校に寄付を行う者と同じ財政的な利益を与えることによって、朝鮮学校への適切な資金援助を確保し、朝鮮学校の卒業証書を直接大学入学資格として認めるべきである。
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32.委員会は、締約国が正式にアイヌの人々及び琉球·沖縄の人々を特別な権利と保護を付与される先住民族と公式に認めていないことに懸念を持って留意する。 (第27条)
締約国は、国内法によってアイヌの人々及び琉球·沖縄の人々を先住民族として明確に認め、彼らの文化遺産及び伝統的生活様式を保護し、保存し、促進し、 彼らの土地の権利を認めるべきである。締約国は、アイヌの人々及び琉球·沖縄の人々の児童が彼らの言語で、あるいは彼らの言語及び文化について教育を受ける適切な機会を提供し、通常の教育課程にアイヌの人々及び琉球·沖縄の人々の文化及び歴史を含めるべきである。
33.委員会は、日本の第6回定期報告の提出日を2011年10月29日に指定する。委員会は、締約国の第5回定期報告及び本昀終見解を出版し、日本語及び可能な範囲で国内少数言語によって一般の公衆、司法機関、立法機関、
行政機関に幅広く広めることを要求する。委員会は、第6回定期報告を市民社会及び締約国で活動するNGOが利用することが可能であるようにすることを要請する。
34.委員会手続規則第71条5項に従い、締約国は上記第17、18、19 及び21パラグラフに含まれた委員会の勧告に対するフォローアップの情報を 1年以内に提出しなければならない。委員会は締約国に対し、残された勧告及び規約全体の実施に関する情報を次回の定期報告に含めることを要求する。
(外務省注:訳文中の「締約国」は、日本を指す 。)
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