2015年11月1日日曜日

自由権規約第40条(b)に基づく第3回報告



国際人権規約 | 外務省
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市民的及び政治的権利に関する国際規約第401 (b〕に基づく第3回報告
( 仮 訳 )


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ー部: ー般的コメント
憲法を最高法規とする我が国法体系における人権擁護の制度的側面については、第1回及び第2回報告で述べたとおりであるが、その主要点及び補足的説明は次のとおり。
1. 憲法における基本的人権尊重の考え方
(a) 我が国憲法は、国民主権を基本原理とし、平和主義及び基本的人権の尊重を重要な柱とする。
(h) 憲法の保障する基本的人権は、 「現在及び将来の国民に対し、 侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」 (第97条)。基本的人権には、 (1)身体の自由、思想・言論の自由、及び信教の自由等のいわゆる自由権、 (2)国民自らが国家権力の発動に参加する機能としての参政権、及び(3)労働者が人間たるに値する生活を営むための勤労権並びに国民が健康で文化的な最低限度の生活を営むための生存権等のいわゆる社会・経済権等が含まれている。特に、我が国の憲法は、 10箇条にわたり、刑事訴訟に関連した被告人及び被疑者の権利を保障しているが、このことは、憲法がいかに個人の人権を重視しているかを示す証左といえる。
(c)   また、憲法が国民に対して保障する権利は、第14条から第 40条までに列挙されているものに限られず、個人の尊重及び幸福追求に対する国民の権利として、第13条を根拠として判例上認められる権利がある。 (名誉、プライバシー等)
(d)   テキスト ボックス: ユ憲法は、 「公共の福祉」により人権が制限され得る旨定めている(第12条及び第13条)が、この「公共の福祉」という概念


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は、各個人の基本的人権が平等に尊重されることを可能ならしめるために、基本的人権相互間の調整を図る内在的な制約理念として厳格に解釈されており、人権に不合理な制限を加えるものではない。
国が人権に制約を加える場合は、法律又は法律に根拠を有する規則に基づいて行うことが必要であり、なおかつ、その形式を踏めば無制限に制約できるという訳でもなく、 「合理的」な制約に限られ、その合理性如何を判断する基準が「公共の福祉」である。
たとえば、 ‘‘表現の自由’’という人権について、他人の名誉を侵害する内容の表現行為を制約する場合、法律という形式をとる必要があり、かつその制約目的が、他人の名誉の保護という他の人権との調整を理由とすることから「公共の福祉」概念に合致するのである。
「公共の福祉」の具体的内容について明確に取り上げた判例はないが、別添1に掲げるように、合憲性が争われた法律、規則、 処分について、 「公共の福祉」に基づく人権の制約であるとして合憲とされた判例がある。
2. 人権保障と統治機構
(a) 我が国においては、立法、行政及び司法の三権は、国会、内閣及び裁判所に分属し、厳格な相互抑制の作用を通じ、人権擁護の面においても、遺漏なきを期している。
内閣(行政府)は、国会が制定した法律を誠実に執行することを通じ、国民の権利と自由の擁護をはかっている(特に、行政府
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にあって人権擁護を直接の目的としている人権擁護機関の仕組み
は第2回報告書の別添1.の通り)。
人権擁護機関の活動状況について以下のとおり補足する。
(1)    民間のボランティアである人権擁護委員の人数は、 1991 11日現在約13千名である。
(2)    法務局職員、人権擁護委員が取り扱った人権相談の件数は、 1990年は約432千件である。
(3)    人権相談の内容をみると、最も多かったケースは、私人間の紛争に関するものであり、内容的には借地・借家・土地の境界等不動産に関するものや交通事故による慰謝料、不法行為による損害賠償に関するものなどである。
(4)    人権侵犯事件の多くのケースは、脅迫などによって、個人に対し義務のないことを行わせたり、あるいは、権利の行使を妨害したりする「強制圧迫」である。
なお、人権擁護機関は強制的な捜査権限や司法機関のように具体的権利の存否を確定する権限は有していない。人権侵犯の事実が認められれば、加害者を説得して、侵害を自主的に排除させ、既に侵害が行われてしまったときは、将来の再発を防止させるなどの加害者への指導を行っている。
テキスト ボックス: タ(b) 国民の権利が侵害された場合には、裁判による救済を受け得るが(憲法第32条は、 「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない」と定めている)、憲法は、独立かつ公正な裁判を確保するため、裁判官に「その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘東される」 (第76条第3項)


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との立場を保障し、さらに裁判官の身分を保障している(第78 条、第79条、第80条)。また、憲法が保障する国民の権利が問題となっている事件の対審及び判決は公開法廷で行うこととされている。 (第82条)
憲法は、 このような独立した地位を有する裁判所に一切の法律、命令、規則、処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を与えた。 (第81条)
3. r 民的及び政治的権利に関する国際規約」の実施振り
我が国が本規約を批准して13年が経過したが、 この間、本規約は、国民の人権意識を一層高揚させるために重要な役割を果たしてきた。上記に概観した我が国の人権保障制度の下では、本規約の適用に当たり、制度上困難な問題はないと認められるが、もとより、 いかなる国においても実態上人権擁護の面において全く問題がないということはあり得ない。国民が、 「過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託された基本的人権を擁護するために不断の努力を払う」 (憲法第 12条及び第97条)との固い決意を有している我が国においては、今後とも政府及び国民が「人権擁護」の目的達成に向けて引き続いて努力する必要がある。
4. 「市民的及び政治的権利に関する国際規約」と国内法規との関係 (a) 我が国の最高法規である憲法は、 「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、 これを誠実に遵守することを必要とする」と定める。 (憲法第98条第2項)
テキスト ボックス: ぐこの趣旨から、一般に、我が国が締結した条約であってそのま


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ま国内的に適用できるものは、国内法としての効力をもつと考えられている。
ただし、我が国の憲法第3章は、基本的人権が成文法以前の権利であり、すべての人間にとって固有のものであるとの認識に立ってこれを保護しようとするものであることについては本規約と同様であり、両者で保障される権利は、両者に文言の差異があってもその内容には差異がないというべきである。
国は、B規約第22に従って同規約で認める権利の実現のため立法その他の措置をとる義務を負う。
B規約の国内法的効力について、明示的に判示した裁判例は見当たらないが、法律・規則・処分がB規約に反しない旨判示した裁判例は少なくない。
B規約と国内法との関係を判示した主な裁判例として次のものがある。
0憲法第21条第1項は表現の自由を保障しており、情報等に接し、これを摂取する自由は、この規定の趣旨、目的から派生原理として当然に導かれるところで、B規約第192の規定も同様の趣旨である。
テキスト ボックス: 1傍聴人が法廷においてメモを取ることは、裁判を認識、記憶するためになされるものである限り、尊重に値し、故なく妨げられてはならないが、裁判所法及び刑事訴訟法の規定に基づく法廷警察権による傍聴人のメモを取る行為の制限は、表現の自由についての権利の行使に制限を課するには法律の定めを要するとするB規約第193に違反するものではない。 (1989 38日最高裁)


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(b) 法律、規則、処分が憲法の基本的人権の規定又はB規約に反する場合にそれを争う方法及び要件
法律、規則、処分が憲法の基本的人権の規定又はB規約に反する場合に、国民は、立法機関、行政機関及び司法機関のそれぞれに対して、これを主張して争う方法があるが、国民の権利が憲法又はB規約に反して侵害されたとき、あるいは侵害されようとしているときには、裁判所が、その救済について中心的な役割を果たすべき機関として位置付けられている。
裁判所は、司法権の行使として、法律、規則又は処分が憲法又はB規約に反するかどうかを判断する。国民は、具体的な法律関係について紛争が存するときに限って、裁判所にこの点の判断を求め得る。裁判所が具体的事件を離れて抽象的に法律等が憲法や B規約に合致するか否かを判断することはできない(1952108日最高裁)
国民が法律、規則、処分等が憲法の基本的人権の規定又はB規約に反することを主張する場面の具体例として、例えば、国又は地方公共団体の行為によって自己の権利を侵害された者が、国等を被告として損害賠償請求訴訟を提起したり、行政処分の取消訴訟又は無効確認訴訟を提起して、上記のように主張する場合が挙げられる。これらの訴訟を提起する要件や方法、当事者が主張をする方法等については民事訴訟法、行政事件訴訟法その他の法律によって定められている。
テキスト ボックス: フまた、このほかに、刑事訴訟において被告人が、自己の無罪を理由付けるために法律等が憲法の基本的人権の規定やB規約に反


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するという主張をすることもできる。
これらの訴訟において、裁判所は当該事件を解決するために必要があれば、法律等が憲法の基本的人権の規定又はB規約に違反するかどうかについて判断することになる。
(c) 憲法は、憲法の最高法規性(第98条第1項)、公務員の憲法遵守義務(第99条)、条約及び国際法規の遵守(第98条第2 項)等を定めており、国家及び地方公共団体の機関は憲法及び条約を尊重しなければならない。そして、国民は、国及び地方公共団体に対して、平穏に請願をする権利が認められている(第16 条)ので、請願の方法により、法律、規則等が憲法又はB規約に反することを主張することができる。法令は、議院に対する請願 (国会法、衆議院規則、参議院規則)、地方議会に対する請願 (地方自治法)、在監者の情願(監獄法、監獄法施行規則)について方法、要件等に関する規定を置いている。また、行政機関の行為によって権利を侵害された者が、当該行政機関又はその上級行政機関に対して、憲法の基本的人権の規定又はB規約に違反する旨の不服を申し立てることもできる(行政不服審査法)。
5. 人権侵害の場合の救済措置としての刑事訴訟手続の概要は第2回報告の別添2を参照。
なお、抗告制度に関する補足説明は以下のとおり。
抗告は、裁判所のした決定又は命令に対する不服申立であり、
テキスト ボックス: 》一般抗告と特別抗告とに区別され、一般抗告は、更に通常抗告と即時抗告とに区別される。一般抗告の管轄裁判所は、高等裁判所である(裁判所法第16条第2号)。


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(1)   (通常抗告)通常抗告は、特に即時抗告をすることができる旨の規定がある場合のほか、裁判所の決定に対して行うことができる(刑訴法第419条)。但し、勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する決定及び鑑定留置に関する決定を除いて、裁判所の管轄又は訴訟手続に関し判決前にした決定に対しては、許されないという例外がある(刑訴法第42 0条第1項、第2項)。 また、抗告提起期間の定めが決定されておらず(刑訴法第421 条)、抗告を申し立てても原裁判の執行を停止する効力は原則としてない(刑訴法第424条第1項)。
(2)   (即時抗告)即時抗告は、刑事手続きの中で派生的に行われる裁判に対する不服申立手続きが早急に処理されないと本手続の進行に支障となる場合や、関係者の人権に重大な影響を与える場合に認められた不服申立手続である。法文上個別的に規定されるとともに、抗告提起期間は3日間とされ(刑訴法第422条)、原裁判の執行停止効力がある(刑訴法第425条)。
(3)   テキスト ボックス: 7(準抗告)準抗告は、裁判官がした一定の裁判(忌避申立却下、勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する裁判、鑑定留置を命ずる裁判、証人等に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判)又は検察官、検察事務官若しくは司法警察職員がした一定の処分(接見交通の指定、押収又は押収物の還付に関する処分)に対して、裁判所に対してなされる取消又は変更の請求である(刑訴法第429条第1項、第430条)。証人等に対して過料又は費用の賠償を命ずる裁判の取消又は変更の請求については、裁判のあった日から3日以内に請求をしなければならない。


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テキスト ボックス: /0(4) (特別抗告)特別抗告は、刑事訴訟法により不服を申し立てることができない決定又は命令に対し、憲法違反があること、憲法解釈に誤りがあること、最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと等を理由として、最高裁判所に申し立てることができる抗告であり、抗告提起期間は5日間とされる(刑訴法第433条)。 原裁判の執行を停止させる効力はない(刑訴法第434条、第 424条)。


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第ニ部】 規約の各条に対する逐条報告
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1. 人民が外部からのいかなる干渉も受けずに、自らの政治的将来を選択する権利は、国際社会により尊重されてきているところであるが、我が国が、国連憲章及び本条に基づく人民自決の権利をー貫して認めてきていることは、第1回及び第2回報告に述べたとおりである。我が国は、人民自決の権利の普遍的な実現と植民地の早期独立を支持するとともに、国際社会における人民自決の権利の完全な実現のために努力を払ってきている。
我が国においては、憲法上国民は主権者として認められ、憲法を改正し、政治的地位を決定し、経済的・社会的・文化的発展を追求する権利を有している。私有財産制及び国民の財産権は憲法で保障されている。
2, アパルトヘイ ト政策
(a)    我が国はこれまで一貫してアパルトヘイ トの撤廃を求めてきたが、最近南アにおいては、アパルトヘイ ト撤廃に向けての国内改革が進展していることを評価している。特に、本年S月末をもって、アパルトヘイ トの根幹をなす法律が廃止されたことを歓迎するものであり、今後は、新憲法制定に向けての当事者間の本格交渉が一日も早く開始されることを期待している。
(b)    テキスト ボックス: ノノ我が国は、南アの好ましい方向への更なる進展を支援していくため、また、両国間の相互理解の増進を図るとの見地より、 S 月、人的交流規制を緩和した。 (スポーツ交流については、南アにおけるスポーツ団体が人種的に統合されない限り、当該団体と


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の交流につき、規制解除は行わない。
(c)  我が国としては、アパルトヘイ ト撤廃を促進し、新たな南アとの良好な関係を樹立するとともに南部アフリカ地域の国際的秩序作りに貢献するとの見地から、積極的施策を講じていく方針である。
(d)  南ア黒人支援
テキスト ボックス: /2我が国は、アパルトヘイ トの犠牲者である南ア黒人に対する経済的支援については拡充を図ってきている。南アの状況がアパルトヘイ ト後の新体制樹立に向かって変化する中で、対南ア黒人支援は、南アの平和プロセスを促進する観点、及び、新たな政治・経済体制の担い手を育成するとの観点からも重要となっている。 かかる観点から、我が国は、 「国連南部アフリカ教育訓練計画」、 「国連南ア信託基金」、 「反アパルトヘイ ト広報信託基金」、 「南部アフリカ黒人支援日・EC共同計画(南ア国内の援助団体であるカギソ・ソラストに対する支援)」に対する拠出等の従来の援助に加え、 1990年度より、 「小規模無償資金協力」、 IJICA研修員受入れ」の新たなスキームを開始している。また、南ア国外亡命者の帰還に対する支援についても、 UNHCRを通じて、 320万ドルの支援を行っている。 (これにより、 1991年度の我が国の対南ア黒人援助総額は約600 万ドルとなり、これは前年度の約3. 7倍となる。)


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3. パレスチナの民族自決権
日本政府の基本的考え方は次のとおり。
(a)   武力による領土取得は認めないとの原則に基づき、イスラエルが67年戦争で獲得した全占領地からの撤退が早期に実施されるべきである。被占領地での入植地の建設、西岸及びガザの市長・市議会の解職・解散、ェルサレム基本法採択(1967年、統一エルサレムをイスラエルの首都と宣言)、イスラエル国内法のゴラン高原への適用(1981年)等イスラエルが占領地において一方的にとった措置は違法であり、認められない。
(b)   テキスト ボックス: /3我が国としては、 198712月以来の西岸及びガザにおける蜂起(インティファーダ)の継続・湾岸危機を契機とする同地の情勢の悪化に強い懸念を有するとともに、イスラエルに対しては引き続き最大限の自制をもって占領地域内のパレスチナ人に対し、国際法と人道にもとづく配慮を払うことを強く求める。西岸及びガザには戦時における文民の保護に関する1949812日のジュネーヴ条約(第4条約)が適用、遵守されるべきである。イスラ二ェールによるパレスチナ住民追放措置は右ジュネーヴ条約に反し、 また、被占領地情勢を一層悪化させるとの観点から、強く非難されるべきである。


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1. 「個人の尊厳」を重視する憲法は、第14条第1項において、 「すべて国民は、・・・・人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、・・・・差別されない」と規定し、法の下の平等を保障している。
2・ 「法の下の平等」は、立法府、行政府及び司法府のいずれをも拘束する原則であるが、それは、 「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」の一部としても、立法その他国政の上で最大の尊重を必要する(憲法第13条)と解され、また、公務員等に対し憲法擁護義務を課す(同第99条)等によっても、最大限の配慮が施されている。
3. 外国人の地位、権利
外国人の権利については、基本的人権尊重及び国際協調主義を基本理念とする憲法の精神に照らし、参政権等性質上日本国民のみを対象としている権利を除き、基本的人権の享有は保障され、内国民待遇は確保されている。
4, 近年、我が国において外国人の人権との関係で問題とされる主要な事案は以下のとおりである。
(a) 在日韓国・朝鮮人
(1) 指紋押なつ、外国人登録証携帯義務、永住許可、再入国許可、退去強制
テキスト ボックス: タ6) これらの問題及び地方公務員への採用、国公立学校教員への採用、教育等の問題については、 19911月、海部総理が韓国を訪問した際、在日韓国人の有する歴史的経緯及び定住性を考慮し、在日韓国人が日本においてより安定した生


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活を営むことができるようにすることが重要であるという認識に立ち、また、在日韓国人の法的地位協定第2条に基づき 198812月以来日韓両政府間で行われてきた「在日韓国人三世以下の子孫」の日本における居住についての協議 (三世協議)の結果を踏まえ、政府としての対処方針を盛り込んだ「覚書」が日韓両国外相間でまとめられ、これにより、右協議は決着を見た。
国 外国人登録法による指紋押なつ制度は、人物の同一性を確認する上で極めて確実な手段として「在留外国人の居住関係及び身分関係を明確にする」という外国人登録制度の基本目的のために登録の正確性を維持するとともに登録証明書の不正使用や偽造を防止することとしたものであるが、日本政府は次のとおり改めることが上記「覚書」に盛り込まれている。
0指紋押なつについては、指紋押なつに代わる手段を出来る限り早期に開発し、 これによって在日韓国人三世以下の子孫は(1965年在日韓国人の法的地位協定第2条で規定)もとより、在日韓国人一・二世についても指紋押なつを行わないこととする。
テキスト ボックス: ぐ0このため、今後2年以内に指紋押なつに代わる措置を実施することができるよう所要の改正法案を次期通常国会 (921月開会見込み)に提出することに最大限努力する。


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C指紋押捺に代わる手段については、写真、署名及び外国人
登録に家族関係事項を加味することを中心に検討する。
岡 外国人登録証携帯制度は、外国人の居住関係及び身分関係を現場において即時に確認する手段を確保するために採用されている。しかし、本制度についても運用の在り方も含め適切な解決策について引き続き検討することとした。
⑩ 永住許可については、これまで日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法(以下「日韓特別法」という。)に基づく協定永住者及び出入国管理及び難民認定法 (以下「入管法」という。)に基づく特例永住者の許可があるが、さらに入管法の特別法を定めこれらの永住者に特別永住者の資格を付与するとともに、今後出生する在日韓国、朝鮮人等に特別永住者の資格を簡素化した手続きで罵東(きそく)的に(申請があれば裁量の余地なく)許可することとした。 (同特別法は19915月成立。)なお、右特別永住者には、サンフランシスコ平和条約の発効により日本国籍を離脱した者及びその子孫(在日韓国人、朝鮮人及び台湾人) が含まれている。
テキスト ボックス: ノ‘(v) 再入国許可については、上述の特別永住者は一般外国人より有利に取扱われ、再入国許可の有効期問4年以内(入管法では1年以内)、再入国許可発効後1年以内に在外での延長を認め、再入国許可による出国期間を最大限5年(入管法では2年)とした。


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回 退去強制事由は、特別永住者の場合は、内乱、外患又は国交に関する罪により禁鋼以上の刑に処せられた者、外国の元首等に対する犯罪行為により禁鋼以上の刑に処せられた者でその犯罪行為により日本国の外交上の重大な利益を害したもの及び無期又は7年を超える懲役又は禁鋼に処せられた者でその犯罪行為により日本国の重大な利益を害したものに限定するよう改めた。 (一般外国人の場合は、入管法に基づき、 1年を超える懲役・禁鋼に処せられた者等が対象とされている。)
(2) 公務員への採用
外国人の公務員への採用については、公権力の行使又は公の意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とするが、それ以外の公務員となるためには必ずしも日本国籍を必要としないものと解されている。
在日韓国・朝鮮人の公務員への採用についても、この範囲内で行われている。
(地方公務員ノ\の採用)
(i) 19911月の上記「覚書」においては、上記の公務員任用と国籍に関する見解を前提としつつ、採用機会の拡大が図られるよう地方公共団体を指導していく旨述べられている。
国 また、政府は、従来より公権力の行使又は公の意思形成への参画に携わる地方公務員であるかどうか及びこのような地方公務員以外の地方公務員に日本国籍を有しない者を採用す


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るかどうかについては、それぞれの地方公共団体の実情に応じ、当該地方公共団体において判断されるべきものとの立場である。
(3) 公立学校教員への採用、公私立学校への就学、育英奨学金、 韓国・朝鮮人学校の取扱い、課外における韓国・朝鮮語、韓国・朝鮮文化等の学習
G) 公立学校教員への採用については、いわゆる「日韓三世協議」の決着内容(上述「覚書」)を踏まえ、 1991322日、各都道府県・指定都市教育委員会に対し通知を発出し、在日韓国人など日本国籍を有しない者についても教員採用への途を開き、日本人と同じ一般の教員採用試験の受験を認め、試験に合格した者については、任用の期限を付さない常勤講師として採用し、身分の安定を図るとともに待遇についても配慮するよう指導した。
テキスト ボックス: ノ8国 我が国の学校への就学については、在日韓国人などが我が国の学校教育を希望する場合には、義務教育の段階では入学を許可し、高等学校、大学の入学については、我が国又は外国における正規の学校の一定の年数の課程の修了を要件として入学資格を与える。この扱いは日本人と同一である。受け入れた後の取扱いについても、授業料の不徴収、教科書の無償給与、上級学校への入学資格の付与等の利益が与えられるか否かは日本人の場合と同様に取り扱っている。また、育英奨学金についても、我が国への永住許可を受けている在日韓国・朝鮮人等の在日外国人子弟については、日本人の場合と


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同様に取り扱っている。なお、公立の義務教育諸学校への入学については、日韓三世協議の決着内容を踏まえ、 1991 130日、各都道府県教育委員会に対し通知を発出し、 市町村の教育委員会において、就学予定者に相当する年齢の在日韓国人の保護者に対し、入学に関する事項を記載した就学案内を発給すること、また、在日韓国人以外の日本国に居住する日本国籍を有しない者についてもこれに準じた取扱いをするよう指導した。
岡 また、日韓三世協議における決着内容を踏まえ、現在、地方自治体の判断により学校の課外で行われている韓国語、韓国文化等の学習が今後も支障なく行われるよう日本国政府として配慮することとし、 1991130日、都道府県教育委員会に対し通知を発出し、指導を行った。
⑩ このほか、社会教育においても、公民館等の社会教育施設などにおける青少年、成人、婦人等を対象とした学級・講座等の中で、地域の実情に応じて韓国・朝鮮語、韓国・朝鮮文化等の国際理解に関する多様な学習活動が行われている。
(り 在日韓国・朝鮮人が我が国の学校教育を希望しない場合、 韓国・朝鮮人学校に通学することも可能である。韓国・朝鮮人学校については、そのほとんどが各種学校として都道府県知事の認可を受けているところであり、その自主性は尊重されている。なお、韓国・朝鮮人学校に限らず、各種学校の卒業者に対しては、一般的には、中学校又は高等学校卒業者と同等以上の学力があると認定することは困難であることから、高等学校、大学への入学資格は与えられていないロ


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(4) 労働条件、就職差別に関する対策
職業安定法の趣旨等に鑑み、企業への就職にあたっては、在日韓国・朝鮮人であるかどうかを問わず、応募者本人の適性及び能力を中心に採用選考を行うよう事業主への指導・啓発に努めている。
(b) 外国人労働者(不法就労のケースを含む)
(1)   外国人労働者の受入れ問題については、政府の基本方針として、 19886月に閣議決定された「第6次雇用対策基本計画」においても示されているとおり、 「専門、技術的な能力や外国人ならではの能力に着目した人材の登用は、我が国経済社会の活性化、国際化に資するものでもあるので、可能な限り受け入れる方向で対処する。いわゆる単純労働者の受入れについては、労働市場を始めとする我が国の経済や社会に及ぽす影響等に鑑み、十分慎重に対応する。」こととしている。
この方針に沿って、入管法を改正して、専門的な技術、技能、知識等をもって我が国で就労しようとする外国人については幅広く受け入れることができるように在留資格の整備を図った。
外国人単純労働者の受入れに関しては、我が国の社会全般に影響を及ぼすところが大であり、受入れに関する国内のコンセンサスも得られていないので、慎重に対応すべきものであり、 引き続き検討を重ねることとしている。
(2)   テキスト ボックス: JJ外国人の入国・在留については、入管法によりその要件、手続等が明確に定められており、また、入管法に違反した者の退


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去強制については、同法において不服申出の手続が完備しており、また、同法による被収用者についても人権に配慮した適正な処遇が行われることが確保されている。
なお、入管法においては、送還先国には難民条約第331 に規定する領域に属する国を含まないものとするノン・ルフー ルマンの原則も国内法化されており、迫害を受ける国又は地域への外国人の送還は原則としてこれを行わないことが明文化されている(同法第53条第3項)
(3) 日本人労働者と同様外国人労働者に関しても、 リクルーター やブローカーの活動については職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の規定が適用される。
職業安定法においては、職業紹介、職業指導等について国籍を理由とする差別的取扱いを受けないことが規定されている (職業安定法第3条)ので、我が国で就労可能な外国人についても、日本人と同様に職業紹介等を行うこととしている。ただし、求人・求職の内容が法令に違反するときは、その申込を受理しないこととしており(同法第16条、第17条)、入管法上不法就労に当たるような職業紹介は行っていない。
また、外国人に対する職業紹介体制を強化するため、 1989年度から、主要公共職業安定所に外国人労働者専門官を配置したところである。
テキスト ボックス: )ノ我が国政府は、不法就労活動を行う外国人のいわば吸引力・推進力となっているリクルーター、ブローカー等が、これら外


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国人の我が国への導入に止まらず、しばしば、外国人の不法就労活動に関し賃金の中問搾取や売春の強要を行うなど当該外国人に対する人権侵害事件を引き起こしていること等に重大な関心を有している。
警察では、以下の諸法令を活用して、悪質なブローカー、事業主等を積極的に取り締まっている。
0職業安定法
a.    有料職業紹介
有料職業紹介とは、求人及び求職の申込を受け、求人者と求職者の問における雇用関係の成立を斡旋し、その職業紹介に関し、手数料又は報酬を受けることであり (第5条第1項及び第3項)、労働大臣の許可を得て特別の技術を必要とする職業について行う場合を除き、有料職業紹介事業を行うと処罰される(第32条第1項、第64条第1 号)。
b.    労働者供給
テキスト ボックス: 22労働者供給とは、供給契約に基づいて、労働者を受給者の指揮命令の下に労働に従事させるものであって、労働者派遣に該当しないものをいい(第5条第6項)、労働大臣の許可を得て労働組合等が行う場合を除き、労働者供給事業を行うと処罰される。供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させた者も罰せられる(第44条、第64条第4号)。


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C. 不当拘束職業紹介・労働者供給及び有害業務職業紹介・労働者供給等
暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行った者又はこれらに従事した者(第63条第1項)、公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行った者又はこれらに従事した者(第63条第2項)、その他職業安定法に定める罪を犯した者は処罰される。
0労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(労派法)
適用対象業務外労働者派遣
労働者派遣とは、自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させるものであって、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約して行うものでないものをいい(第2条第1項)、政令で定められた一定の業務(適用対象業務)に関して、労働大臣の許可又は労働大臣への届出を条件として行うものを除き、労働者派遣事業を行うと処罰される(第4条第3項、第5条第1項、第 16条第1項、第59条第1号及び第2号、第60条第3 号)。
b. 有害業務労働派遣等
テキスト ボックス: フ3公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労


b34・・alー日
働者派遣をした者(第58条)その他労派法に定める罪を
犯した者は処罰される。
0労働基準法
a.  均等待遇
3条は「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはならない。」と定めており、これに違反すると処罰される(第119条第1号)。
b.  強制労働の禁止及び中間搾取の排除
5条は「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」と定め、また、第 6条は「何人も法律に基いて許される場合の他、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」と定めており、これらに違反すると処罰される(第117条、第1 18条第1項)。
C. 賃金の支払、労働時間等
賃金については、第24条以下で通貨支払の原則、直接支払の原則などが定められ、これらに違反した使用者は処罰される(第120条第1項)。
テキスト ボックス: 2ダ労働時間、休日については、第32条以下で様々な義務が使用者に課されており、これらに違反した使用者は処罰される(第119条第1項及び第2項、第12 0条第1 号)


b3‘ー0l~B
以上の他、年少者の使用制限(第5 6条から第64 条)、女子の使用制限(第64条の2から第68条)その他労働基準法の規定に違反した者も処罰される。
0最低賃金法
5条第1項は「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を払わなければならない。」と定めており、 これに違反すると処罰される(第44 条)
0労働安全衛生法
この法律は、労働災害の防止を通じて労働者の安全と健康を確保するため、危険の防止、健康診断の実施等様々な義務を事業者等に課しており、これらに違反した事業者等は処罰される。
不法就労外国人の就労に介入して暴利を貧っているブロー カー等に関しては、 19906月に施行された改正入管法で新設されたこれらリクルーター、ブローカー等を直接の処罰対象とする不法就労助長罪及び上で述べたもののほか、以下の諸法令を適用して取締りを推進している。
0刑法
a. 公正証書原本不実記載、同行使(第157条、第158 条)
テキスト ボックス: ンぐ外国人を日本国内で就労させるための偽装結婚については、公正証書原本不実記載、同行使の罪で検挙している。


b34-Oj・・B
b. 私文書偽造、同行使(第159条、第161条)及び公文書偽造、同行使(第155条、第158条)
外国人を日本国内で就労させるためのパスポートの偽造に関しては、私文書偽造、同行使罪で、在留資格変更のための国立大学等の入学許可証、在学証明書等の偽造に関しては、公文書偽造、同行使の罪で検挙している。
a. b,ともに、ブローカー等が関与している場合は、直接実行行為を行っていなくても、第60条(共同正犯)又は第61 条(教唆犯)を適用して積極的に検挙している。
0売春防止法
外国人に売春させている場合には、第6条(斡旋等)、第7 条(困惑、暴行、脅迫等による売春)、第10条(売春をさせる契約)、第1].条(場所の提供)、第12条(売春をさせる業)等を適用して、暴利を貧るブローカーや暴力団関係者を検挙している。
また、関係行政機関との間で連絡会議を定期的に開催するなどして、ブローカー等に関する情報交換を行い、政府関係機関が密接に連携してその取締り等を行っている。他方、関係外国政府に対しても情報を提供するなどして取締りを求めている。
(4) 労働関係法規は、外国人労働者に対しても適用されている。
テキスト ボックス: ュ‘例えば、労働基準法、労災保険法等の労働基準関係法令については、国内の適用事業に使臣される労働者である限り、外国人労働者についても適用される。このため、労働基準監督機関


bョ‘一0l~B
は、外国人労働者に対する労働基準関係法令の履行確保を図るため、外国人労働者についてもこれらの法令が適用されることについての事業主に対する周知、法令違反がある場合の事業主に対する是正のための措置等を行うとともに、全国の主要な労働基準局に外国人労働者相談コーナーを設置し、専門の相談員による相談を行っている。
また、労働組合法及び労働関係調整法についても、外国人であるか否かは適用の際の要件となっていない。
(5) 我が国で単純労働に従事する意図を有する外国人については、原則として入国を認めていない。なお、すでに入国し入管法に違反して不法に就労している者については、その人権に配慮しつつ、原則として国外に強制退去することとしている。
外国人不法就労者の問題については、国内の労働市場や賃金などの労働条件に影響を与えるなど、労働行政としても放置できない問題であり、政府としては、不法就労を防止するために、事業主に対する周知啓発、指導などを行っている。
しかし、不法就労者の数は急激に増加しており、特にここ数年間は外国人男性の不法就労者の激増が目だっている。その多くは就労あっせんブローカー等を介して就労しているものとみられるが、以前から外国人女性を売春婦等として招致あっせんしていた暴力団関係者等が、工場、建設現場等における人手不足に目を付け、これら業種への外国人男性のあっせん等に乗り出した事情がある。
このため、外国人不法就労者の背後にあって、その弱みにつ


b34-OlB
け込み、暴利を貧っている暴力団関係者やブローカー等に対しては、多くの関連する現行諸法令を適用して強力に取り締まっている。 (適用される法令の内容、関係国政府との協力等については上記③のとおり。)
(6) 法務省の人権擁護機関が外国人の人権擁護のために講じている措置
外国人の基本的人権尊重の啓発、及び外国人差別をなくすため、広く啓発活動を行っている。1988年度以来啓発活動重点目標として「社会の国際化と人権」 (1991年度は「国際化時代にふさわしい人権意識を育てよう」。)を定め、全国的にこの問題の啓発に取り組んでいる。
また、基本的人権の侵害が具体的に起こった場合には、人権侵犯事件の調査及び人権相談を通じて在日外国人の人権の擁護を図るとともに、そのような事例の再発防止に努力している。
外国人に対する人権相談については、 1988年にまず東京法務局に相談所が開設され、その後、大阪法務局等にも順次拡大している。
今後も、外国人に対する相談体制の充実を図り、外国人の人権擁護に努める方針である。
(7) 在留資格、外国人登録、家族の呼び寄せの手続等について相談できる機関の概要
テキスト ボックス: ュJ19907月、東京入国管理局内に、外国人及びその在日関係者のために、外国人の入国・在留に関する諸手続等についての相談に応ずる「外国人在留総合インフォメーション・セン


b34.0 IB
ターImmigration Information Center)」を開設し、外国語を解する専従の専門相談員が、日曜・祝日等を除く毎日、面接又は電話による問合わせに応じている。
相談案内の内容は、外国人社員や研修生の招鵬、配偶者等の呼び寄せなど入国関係諸手続、在留資格の取得及び変更、在留期間の更新、永住許可など在留関係諸手続、外国人登録手続、 外国人の入国・在留に関する各種申請書類の記載要領、その他入管関係の各種案内といったものである。
さらに、 1991年より、大阪にも同様のインフォメーション・センターが開設された。
そのほか、地方自治体等において外国人のため種々の相談機関が設けられている。
5. 本条3で言及されている救済措置は、第1回及び第2回報告の第 1部で述べられているとおりである。
6. 障害者対策の現状と課題
(1) 概要
テキスト ボックス: ンブa, 我が国の障害者対策については、 1981年の国際障害者年のテーマである「完全参加と平等」の実現を図るため、 1982年に「障害者対策推進本部」を設置、 「障害者対策に関する長期計画」を策定するとともに、 1987年には、 「国連障害者の十年(1983年~1992年)」の後半期において重点的に取り組むべき施策(「後期重点施策」)を策定し、 現在、最終年である199 2年に向け施策の推進に努めている。


b34-O l~B
「後期重点施策」においては、 「啓発広報」、 「保健・医療」、 「教育・育成」、 「雇用・就業」、 「福祉」、 「生活環境」、 「スポーツ、 レクリェーション及び文化施策の推進」 「国際協力の推進」の八つの部門に分けて、基本的方向と今後の重点施策を掲げている。
b. また、障害者関係施策の政府の調査審議機関である「中央心身障害者対策協議会」においては、この十年の取組みを評価しつつ、十年の最終年である1992年に向けて特に重点的に取り組むべき事項について意見書をまとめた。 (19917 月)
意見書においては「リハビリテーション」及び「ノーマライゼーション」の理念を基調とし、障害者の「完全参加と平等」 という目標を国民の間に一層定着させるとともに、住宅、建築物、公共交通機関における障害者のアクセスに配慮した施策や障害者に住みよいまちづく りの推進等についての具体的提言を行っている。
7. その他追加報告は次のとおり。
(1)  B規約の国内的効力及び判例については第1部参照。
(2)  法律、規則、処分が憲法の基本的人権の規定またはB規約に反する場合にそれを争う方法・要件及び判例については第1部参照。
(3) 憲法第12条、第13条にいう「公共の福祉」及び判例については第1部参照。
(4) B規約選択議定書未締結問題


b30Ia
本議定書は、人権の国際的保障のための制度として注目すべき制度であると認識している。しかし、締結に関しては、我が国司法制度との関係や制度の濫用のおそれも否定しえないこと等の懸念もあり、検討すべき多くの問題点が残されている。関係省庁間で検討中である。
(5)   人種差別撤廃条約未締結問題
日本政府は、人種等を理由とする差別撤廃を目的とする本条約の理念を支持する。しかし、本条約には例えば人種差別の思想の流布や人種差別の扇動を処罰することを求めている条項があるところ、右は表現の自由との関係或いは我が国の法体系との関係で現在慎重な検討が続けられている。
(6)   アパルトヘイ ト処罰条約未締結問題
この条約は、アパルトヘイト(南部アフリカにおけるものを含むが、これに限らない。)を人類に対する犯罪と断定(第1条、 第2条)し、この犯罪を禁止し、処罰し、司法手続きに従って裁判にかけるための立法その他の措置をとる(第4条)ことを義務付けている。
我が国は、条約の採択に際して、条約の目的は理解できるが、 犯罪構成要件の概念があいまいである等の理由で棄権した経緯があり、依然同問題が残されている。
(7)   拷問被害者のための国連自発的基金への拠出
テキスト ボックス: jノ我が国は本基金を支持すべく、 19 8 6年度よ り毎年 50, 000ドルを拠出している。予算の成立を条件に今後も拠出を継続する予定。


b3‘一01~C
3
1 (a) 我が国においては、内閣総理大臣を本部長として、全省庁の事務次官等を構成員とする婦人問題企画推進本部が、我が国における国内本部機構(ナショナル・マシーナリー)として婦人の地位向上のための行動計画を策定し、それに沿って婦人関係施策が推進されている。また、同本部は、 「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」 (1985年批准)の実施に伴う施策の総合的かつ効果的な推進もその任務としている。
これまでに策定された婦人の地位向上のための国内行動計画は、 19 77年の「国内行動計画」及び19 8 7年の「西暦 2 0 00年に向けての新国内行動計画」 (1987年度から 2000年度までの長期計画及び1987年度から1990年度までの中期計画を盛り込む。)の二つである。
(b) 19915月、婦人問題企画推進本部は、 1987年に策定された「西暦2000年に向けての新国内行動計画」の成果及び 1990年国連で採択された「ナイロビ将来戦略の実施状況の見直し及び評価に伴う勧告及び結論」の趣旨をも踏まえ、 1991 年度から1995年度までの5年間に取り組むべき具体的施策 (中期計画)の策定を中心に上記行動計画の第一次改定を行った。その概要は次のとおりである。
0男女平等をめぐる意識変革
テキスト ボックス: ,2制度上だけでなく実際上の女性の地位向上を図るため、男女の役割を固定的に考える意識を是正する。また、母性の重要性と性の尊重についての認識の浸透を図り、母性保護を充実する。


b34a】ーC
C平等を基礎とした男女の共同参画
女性が男性とともにあらゆる分野に参画する機会を確保するとともに、政策・方針決定の過程への女性の参画や雇用の分野での男女平等を進める。ー方、家庭、地域社会での男女共同参画を更に推進する。また、農山漁村婦人対策を推進する。
C多様な選択を可能にする条件整備
女性の多様な生き方についての主体的な選択をより容易にするため、その選択の自由を保護する条件整備をー層充実する。
C老後生活等をめぐる女性の福祉の確保
老後生活をめぐる福祉の確保に努めるとともに、高齢女性の活力と意欲が発揮できる高齢化社会に向けての環境作りを進める。また、母子家庭の母等特別の配慮を必要とする女性に対し、配慮する。
C国際協力及び平和への貢献
国内では女子差別撤廃条約やナイロビ将来戦略及び同勧告の要請に応えるとともに、世界の女性の地位向上に貢献するよう、 国連の諸活動に協力するとともに「開発と女性」を踏まえ、国際協力を推進する。また、他国への理解と尊敬の徹底や難民女性への配慮等女性の平和への貢献を進める。
2 (a) 我が国では、男女雇用機会均等法が1986年に施行されて以来、法内容の周知徹底を図るとともに、女子に差別的な事業主の措置に関する労働者と事業主の間の紛争の解決の援助や事業主に対する積極的な指導を展開している。
テキスト ボックス: fj男女雇用機会均等法の施行を契機に、募集・採用、教育訓練、


b 34-I-c
定年‘退職などの雇用管理制度を法の要請に沿ったものに改善した企業が多く見受けられ、女子を積極的に活用していこうという気運が高まってきており、法の趣旨は着実に浸透している。
まず、女子を採用する企業が増加してきている。特に、男女雇用機会均等法施行以前はほとんど見られなかった女子幹部候補生として、4年制大卒を中心に女子を採用する企業が増えてきている。
また、女子の就業分野が拡大している。 1990年に労働省が実施した調査によれば、女子が配置される職務は増えており、今後の方針として女子を増やそうとする企業は多い。さらに、女子管理職も増加しており、女子の管理職登用のために職歴開発のための配置転換や男子社員の意識啓発等種々の環境整備を実施している企業も2割を超えている。教育訓練における男女同一取扱いも進んでいる。
さらに、男女別定年制の解消のための積極的な対事業主指導の結果、男女別定年制はほとんどの企業で見られなくなった。また、労働省の調査によれば、男女雇用機会均等法の施行の時点で、既に「結婚・妊娠・出産退職制はなく、対応する必要はなかった」とする企業がほとんどであり、法施行後に制度を改善した企業を加えると、ほとんどすべての企業で結婚・妊娠・出産退職制はなくなったといえる。
テキスト ボックス: 了yft) 女性の職場進出が進むのと同時に、労働力不足基調が続く中で、労働者が仕事と育児の両立を図るための中核的施策である育児休業制度のニーズが高まってきた。このため、近年、労使の自


b34-0lC
主的な話し合いにより育児休業制度を導入する企業が相次ぎ、制度への社会的関心が急速に高まるとともに、全労働者のための制度の法制化を期待する声が広がってきたところである。
このような中で、政府は、同制度の法制化を図ることとし、 19915月、 1歳に満たない子を養育するため、男女労働者が育児休業を取得することを認めるとともに、育児休業をしないで1歳に満たない子を養育する労働者について、勤務時間の短縮等の措置を事業主に義務付けること等を内容とする「育児休業等に関する法律」 が成立し、 199241 日より施行される。 3. 準拠法の指定の場面においても男女の平等を徹底するため、 1989年、法例の改正を行った。
テキスト ボックス: Jぐ~法例は、国際的な法律関係についていかなる国の法律を適用するかを定めるものであるが、.今回改正されたのは主に婚姻及び及び親子の法律関係に関する部分である。その目的は、従前の法例が離婚及び親子関係等の準拠法の指定について男子(父、夫)の本国法を優先していたところ、本条約等の趣旨に照らし、準拠法の指定の場面においても両性平等の理念の徹底を図ること、また、近時諸外国において国際私法、国籍法等の改正が相次いでおり、これらとの国際的調和を目指すこと、更に最近の我が国の国際化の進展に伴い渉外婚姻をはじめとする渉外的身分関係事件が増加している実情を背景として、婚姻関係及び親子関係等における準拠法の指定をより適切にし、子の福祉の理念にも則したものとすること等にある。


b34-cjl-C
4.     国家公務員の採用に係る男女平等の実現に関しては、従来より、 人事院規則の改正により女子の国家公務員採用試験に係る受験資格の制限を撤廃してきており、現在、我が国の国家公務員採用試験
(一般職)の受験、採用その他について、女子に対する制限、差別はない。
5.     テキスト ボックス: Jt国会議員、公務員及び民間企業の管理職等における女性の数及び割合。


b8,ー01~G
I人議員の推移



会 議 員 数
衆 議 院 議 員
参 議 院 議 員

       
       
議員数
婦人議員の割合
       
       
議員数
婦人議貝の割合
       
        
議員数
婦人議員の割合
昭和2511 30 5 35 9 4012
45 1
5010 55 7 5812 59 9
61            1
61            7
62 3
63   3
平成 元年 2月元年 7 2 2
699 716 698 704 733
726
762
759
757
750
763
760 757 752 749
763
2222222222222244
4344156677999905
%4244944466888939
.              .                  .                ‘                 ・                 ・                  ●               ・                 《                 ・                 ・                  ‘                 ・                 ・                 ・
3333233333333355
9614651182296072 444444555555SS45
4655871100100091
2817879888777772
1 1                                                                  1
%774S758666444443
2121111111111112
250
250
247
250
247
251
251
248
249
248
251
251
251
252
252
251
1111111111222233
2537387899222233
'68038628367888711
4656576777888833
11

衆議院・参議院各事務局調べ
国会において婦人が就いている役職


婦人議員数

議長副議長
常任委員長

常任委員会理事
特別委員

衆 議 院

79887772
                1
00000000
00000000
01120000
00000000
昭和502
558
601
612
623
633
平成 元年2
22
参 議 院
昭和502
111122233
879922233
00000U000
001112222
23230S945
1
00100U011
558
601
612
623
633
平成 元年2
元年7
22



?つ


b34一ロ1 G


国家公務員の課長級以上への女子の登用状況
(人)



  

課 長


総 数

総 数

総 数

昭和51
1.
271
1
(0.1)
5.
667
19
(0.3)
6.
938
20
(0.3)
昭和56
1,
559
3
(0.2)
6.
459
39
(0.6)
8.  
018
42
(0.5)
昭和60
1.
623
2
(0.1)
6,
8 1 5
47
(0.7)
8.
438
49
(0.6)
昭和61
1,
606
4
(0.2)
6,
632
39
(0.6)
8.
238
43
(0.5)
昭和62
1,
626
7
(0.4)
s:
816
49
(0.7)
8.
442
56
(0.7)
昭和63
1.
638
5
(0.3)
6.
969
55
(0.8)
8,
607
60
(0.7)
平成 元年
1,
530
7
(0.4)
7.
089
53
(0.7)
8,
719
60
(0.7)
平成 2
1,
657
7
(0.4)
7.  
168
52
(0.7)
8,
825
59
(0.7)

テキスト ボックス: I資料出所:人事院「国家公務員任用状況調査報告」 (各年331日現在) (注) ( )は総数に対する女子の割合である。


テキスト ボックス: 罵算e響馴如什報品本凶議馴如テキスト ボックス: 響 湘 =.4- 峨\期雌響昇申湘噴叔聖輩響 CLflコこごU, 0c 二 二ココ C..] Oココ昌 
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テキスト ボックス: 」・一O・●”p (訳 翠冊)

テキスト ボックス: ,需蝶心eレspせ耕畑心旧集欝郭訓蕊 (州 「綱総持棚馴如旺哩什叔趣母暇督叶」細越款 志田真紅テキスト ボックス: 、フ


t3401~C

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