2013年2月18日月曜日

延岡市議会基本条例(案)に関する意見書(パブリックコメント)


延岡市議会基本条例()に関する意見書




延岡市議会基本条例()に関する意見書を提出する。条文に沿って、<●太字 が意見である。

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前 文
延岡市議会(以下「議会」という。)は、延岡市民(以下「市民」という。)から選出された議員により構成される機関であり、同じく市民から選出された延岡市長(以下「市長」という。)とともに、延岡市の代表機関を構成している。
それぞれの機関は、ともに市民の負託に応え、議会は合議制の機関として、また市長は独任制の機関として、それぞれの特性を活かしながら、市民福祉の向上と郷土延岡市の発展を実現する共通の使命を有している。
地方分権が進展し、地方公共団体における自己決定、自己責任の範囲が急速に拡大する今日にあって、議会は二元代表制の趣旨を踏まえ、自らが持つ議決権や行政監視・評価といった権能を最大限に発揮するため、常に議員及び議会としての資質を高める努力を重ねながら、真の地方自治実現のため、その責務を果たさなければならない。
このため、議会は、市民への情報公開と説明責任を果たすことはもとより、市民との協働を進めるため、その多様な意見を聴き、反映させるための議員間討議を展開させ、必要な政策提言・政策立案を積極的に行い、さらに市民に開かれ、信頼される議会づくりを実現することが必要である。
ここに、議会は、地方自治の本旨実現のために、自らの活動と責務等を定めるとともに、市民との関係及び市長との関係を明確にし、市民の負託に的確に応えることを決意し、議会における最高規範として、この条例を定める。

● 1,修正案 「延岡市議会は、市民によって選出された代議員によって構成される立法決政機関であり、市民の自由と幸福の増進を目的として、市民の誰もが集い語らい、自由な討議が行われる場である。
かつて、聖徳太子は、「十七に曰く、夫れ事独り断(さだ)むべからず。必ず衆(もろもろ)とともに宜しく論(あげつら)ふべし。」と示し、明治天皇は、「広く会議を興し、万機公論に決すべし。旧来の陋習を破り、天地の公道に基づくべし。」と誓した。
我々は、言論表現の自由を妨げるあらゆる圧力を排し、法の前の平等原理により、全市民が対等な関係において参会し、自由討論を盛んにすることを求められている。
我々は、憲法の「主権在民」「個人の尊重」「地方自治の本旨」に則り、又、欧州地域自治憲章(European Charter of Local Self-Government)、世界地域自治憲章(World Charter of Local Self-Government)の理念に賛同し、延岡市民全員の協力によってできることは自ら行い、その自由意志によって、我々と子孫のために幸福な地域共同体を築いていかなければならない。」

●2,この前文及び全条文は主権者である市民の立場からのものではなく、議員、議会が主体となって市民を捉えている。憲法の主権在民原理にそぐわない。議員主権なのか、市民主権なのか、熟慮すべし。
●3,市長に関する言及は必要ない。
●4,「二元代表制」という語は不適切の感がある。同じ物が二つあるかのような誤解を招く。あえて言うならば「二権分立制」である。執行権と立法決政権は全く役割が違うものであることを認識すべし。議会は立法決政府としての自由独立を最大限追求すべし。
●5, 議論が成立するためには自我が確立していること(個人の独立)と、人と人の間の対等な関係(儒教宗教的上下差別排除)が必要条件である。

(目的)
第1条この条例は、議会に関する基本的事項を定めることにより、議会の活性化を推進し、市民の負託に的確に応え、もって市民福祉の向上と延岡市の発展に寄与することを目的とする。
● 6,修正案 「この条例は、議会に関する基本的事項を定めることにより、議会運営の公正透明性を確保し、会議の公開と言論表現の自由を保証し、市民の幸福増進に寄与することを目的とする。」

(議会活動の原則と責務)
第2条 議会は、次に掲げる原則に基づいて活動し、その責務を果たさなければならない。
(1)     市民を代表する議決機関であることを認識し、公平性及び透明性を重視して、市にとって重要な事項の意思決定を行うとともに、市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)が行う市政の運営状況を公正に監視、評価すること。
●7,「議決機関」→「立法決政機関」とする。議決するということは政治を決めるということである。市の法律を決める機関である。
「公平性及び透明性」とともに、「独立性」が重視、確立されなければならない。

 () 市民の多様な意見を聴き、市政に反映させるために必要な政策を立案し、市長等への政策の提言に努めるとともに、国会又は関係行政庁への意見書提出にも積極的に取り組むこと。
●8, 意見書提出は素晴らしい。地域主権の拡大のためには、場合により、裁判所へ裁定を求めることも必要である。

() 市民に開かれた議会を目指し、情報公開に取り組むとともに、市民に対して議会の議決又は運営についての経緯、理由等を説明すること。
●9, 開かれた議会であるためにはどうあらねばならないのか、何をどうしなければならないのか、を規定するのが条例である。 「目指し」ている間は「開かれていない」ということである。議員一人一人の良心の問題である。情報公開は原則全公開であり、最小限の例外規定を設ける必要があるかどうか検討するのみである。

() 常に社会情勢を的確にとらえ、市民の視点に立った政策形成のため、調査機能体制の強化を図ること。
●10, 福島町議会基本条例の同項目と比較して欲しい。
(議会の活動原則)―――――――――
5 議会は、町民自治を基礎とする町民の代表機関であることを常に自覚し、公開性、公正性、透明性、信頼性を重んじた町民に開かれた議会、町民参加を不断に推進する議会を目指して活動する。
2 議会は、議会が、議員、町長、町民等の交流と自由な討論の広場であるとの認識に立つて、前項の規定を実現するため、この条例に規定するもののほか、別に定める会議条例等の内容を継続的に見直す。
4 議会は、ホームページを利用して、会議の議案・調査資料等を事前に情報提供する。
5 議長は、町民が議会の審議内容をわかりやすく傍聴できるよう、傍聴者に議案の審議に用いる資料等を提供し、傍聴者の意見を聴く機会を設けるなど、町民の傍聴意欲を高める議会運営をする。
7 傍聴に関し必要な事項は、福島町議会への参画を奨励する規則(平成21年議会規則第1号)で定める。―――――――――

(議員活動の原則と責務)
第3条 議員は、次に掲げる原則に基づいて活動し、その責務を果たさなければならない。
() 市民の代表として、公正及び公平に、市民全体の福祉向上を目指して活動すること。
●11, 「福祉」という語は社会福祉、老人福祉等のみであるかのように連想されかねない。福祉を必要とする人、必要としない人がいるかもしれない。福祉の時代は終わった。幸福の時代である。他市の条例でも「幸せ」に言及しているものが多い。
市民の誰もを幸福にすること、「幸福」度の向上が第一である。市民幸福度世界一を目指すべし。延岡市は自殺率の実質世界一の地域であることが直視されなければならない。誰もが死にたくなるのはなぜなのか、それを究明しなければならない。
市民の「代表」ということは「全権委任」されていることではない。

() 市政全般について市民の多様な意見を聴き、市政に反映させるため、常に自己研鑽に努めるとともに、広い視野と長期的展望を持って活動すること。
() 議会活動を最優先するよう努めること。
(会派)
第4条 議員は、議会活動を行うために、2人以上で構成する会派を結成することができる。
●12, 「1人以上」としなければならない。憲法13条「個人の尊重」理念に反する。あるいは「会派」の規定は不要であり、有害である。削除すべし。国会と市会の違いを認識すべし。
個人の独立、議員の独立が必要である。徒党を組むことを優先すべきではない。それぞれの議案について独立した議論を展開しなければならない。

2 会派は、政策の理念を共有する議員で活動しなければならない。
3 会派は、議会運営や政策立案、政策提言等に関して、十分な合意形成に努めなければならない。
4 会派は、視察を行ったときにはその内容について、速やかに報告書を作成し、議長に報告しなければならない。
(市民参加及び市民との協働)
第5条 議会は、市民に対して議会活動に関する情報を積極的に公表し、透明性を高めるとともに、市民との協働を図るよう努めなければならない。
●13,そのためには予算案、議案等は会議期日前にHP等で公開し、世界中に意見、修正案、対案を求めなければならない。すべての情報が公開されるのが当然であるから「積極的に」というのは違和感あり。何をどのように公表しなければならないか、何をどのようにしたら市民との協働を図っていることになるのか、を規定するのが条例である。
「努めたが何もしなかった」状態を招くことを防止するのが条例である。
●14,橋本市、福島町等では議案書が事前公開 されている。そもそも憲法上の要請である。 http://www.chw.jp/city_conc/giansyo.html

2 議会は、公聴会制度及び参考人制度を活用して、市民の専門的又は政策的な視点等を議会の討議に反映させるよう努めなければならない。
3 議会は、請願及び陳情を市民の政策提案と位置づけ、その審議においては、必要に応じこれら提出者の意見を聴く機会を設けるものとする。
●15, これまでの会議における議場の市長とその職員が座っていた場所は、本来市民が座るべき場所である。市長とその職員は議員の資格はないのであるから、地方自治法第百二十一条により、執行府の職員を議場に呼び出すのは最小限にとどめなければならない。市長職員も自粛しなければならない。市長職員は年間会議開催時間の2分の1を越えて会議に出席することはできない規定を設けること。

(議会活動報告会)
第6条 議会は、市民に対し、議会で行われた議案等の審議及び審査の内容について報告する議会活動報告会を定期的に開催しなければならない。
2 議会活動報告会に関し必要な事項は、別に定める。
●16,事後報告と同様に事前報告も重要である。
●17,別に定める必要はない。ここで定めることができる。

(会議の公開)
第7条 議会は、開かれた議会を実現するため、本会議のほか、全ての会議を原則として公開する。
●18,「開かれた議会」とはどのような状態なのかが問題。第一に市民の最大多数が参加できる時間帯でなければならない。市民の最大多数が議員になれる時間帯でなければならない。会議において市民の発言機会が保障されなければならない。あらゆる情報があらゆる方法で直ちに公開されなければならない。あらゆる方法による会議の記録、写真撮影、録音録画、放送が妨げられないものでなければならない。これらの「思いやり」が表現されなければ市民と共に立つ議員集団とは言えない。欧米の民主政治先進国では当然のことばかりである。民主主義とは「思いやり」である。

●19, 地方自治法第百二条の二により、通年会期制とすべきである。毎週火曜日等の夜7時等の時間帯が望ましい。欧米の先進民主主義国では当然の慣行であり、日本でも通年制に移行する自治体が増加しており、基本条例に規定が盛り込まれている。定例会期制では市長による専決処分濫用、議会招集権問題を避ける事ができない。
議員報告会、説明会等は常に夜7時から開催されていることを考慮すれば、本会議も同様に毎週開催できるはずである。
●20, 会議が公開されているとしても、議題が公開されていない場合は無意味である。参会者には議案資料を配布すること、HPで事前公開すること等の規定が必要である。そのような規定が条例案中にあるだろうか。

(議会と市長等との関係)
第8条 議会は、議会審議における議員と市長等との関係については、対等な緊張関係の保持に努めるものとする。
●21, 自由討議の場では市長に限らず、誰もが対等独立互尊の関係が維持されなければ議論が成り立たない。

2 議会の会議における議員と市長等との質疑応答は、論点を明確にするため、一問一答の方式で行うことができる。
●22,一問一答式→「一題集中式」とする。1問に対して1回答えたらそれで終わりという誤解を招く。質問対回答の呪縛から脱し、意見対意見の構図にすべし。

3 議会の会議に出席した市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員からの質問又は質疑に対して反問することができる。
●23,修正案:「何人も自由な質問表現を妨げられない。」
市長に限らず、疑問があれば誰でも質問できるのがあたりまえな自由討論である。

(文書質問)
第9条 議会は、閉会中に市長等に対し、文書により質問を行い、文書による回答を求めることができる。
●24, 閉会中、開会中にかかわらず文書、電子メール、電話等による質問回答ですむ問題はわざわざ議場に呼び出して問答儀式を行う必要はない。無駄な会議は税金浪費である。

(議会審議における論点情報の形成)
10条 議会は、市長等が提案する重要な政策、施策、計画等(以下「政策等」という。)について、議会審議における論点を整理し、その政策水準を高めるため、市長等に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。
() 政策等の提案に至った経緯及び理由
() 他の自治体の類似する政策等との比較検討
() 市民参画の有無とその内容
() 延岡市長期総合計画(第12条に規定する延岡市長期総合計画をいう。)との整合性
() 財源措置
() 将来にわたる費用及び効果
(予算及び決算の審査)
11条 議会は、市長が予算を議会に提出し、又は決算を議会の認定に付する場合に当たっては、前条の規定に準じて、市長に対し、施策別又は事業別のわかりやすい政策説明資料の作成に努めるよう求めるものとする。
●25,市長が予算案を提出する前までに、議会は立法決政府として独立して予算案を策定しなければならない。その後両案を対比し、修正作業を行うものとする。
市長の予算案はあくまでもタタキ台である。原案可決という事態は議員の存在価値を否定するものである。

(議決事件)
12条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の規定による議会の議決すべき事件は、延岡市長期総合計画(市における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための計画をいう。)のうち基本構想及び基本計画の策定及び変更(軽微な変更を除く。)とする。
●26,法律によって禁じられていないあらゆる事件が議会の議決すべき事件である。
条例が法令を上書きできる時代になろうとしている。

(議会運営)
13条 議会は、民主的で効率的な議会運営を行わなければならない。
●27,「民主的」とは市民それぞれが主体、主権者であることが損なわれないような、市民の誰もが個人として尊重されるような、ということである。
●28,民主的な都市とは、「個人尊重、法治」原理の都市である。法治とは明確なルールによって個人の自由が保証されていることである。延岡市は民主的な都市といえるだろうか。

2 議会は、議長の選挙を行うときは、所信を表明する機会を設け、その過程を明らかにするものとする。
3 議会は、重要な議案に対する議員の賛否の表明について、議会広報紙等により市民に公表するよう努めるものとする。
●29,「重要な議案」に限定する理由はない。「開かれた議会」は秘匿性を連想させる表現は極力排除されなければならない。「重要」か否かは誰がどのような尺度で判断するのか。「市民の多様な意見」という表現が条例案に3回あるが、多様な意見は多様な価値観に伴うものであり、多様な意見を認めることは多様な価値観を認めることである。議案が重要であるか否かの判断は主権者である市民それぞれに委ねられるものである。
そもそも全公開しないのは憲法違反と考えられる。非公開を正当化できる理由がない。
他の市町議会、例えば栗山町議会では全ての案件、陳情、請願について議員の賛否をHP公表している。
http://www.town.kuriyama.hokkaido.jp/gikai/disclosure/pro_and_con/index.html

(議員相互間の討議)
14条 議会は、言論の府であることを認識し、議会の権能を十分に発揮するため、議会における全ての会議において、積極的な議員相互間の討議を中心とした運営に努め、合意形成を図っていくものとする。
●30, 他の市町の議会基本条例と比較すると本市案は「自由」という語が不足している。全文の中で「自由」の使用回数は、栗山町9回、福島町9回、都城市7回、小林市5回に対し、延岡市1回のみである。
議員の発言が積極的であるのは当然であり、積極的でないのであれば議論を妨げるのは何であるかを考察しなければならない。不自然な議会規則、傍聴規則、権威、上下年齢差別、議員バッジ等ではないだろうか。自由に議論できるための必要条件づくりが先決である。延岡市ほど自由な言論が求められている地域はない。「自由がない→自主性がない、幸福度が低い→創造性がない→起業がない→県民所得低化→ <自殺率世界最高> ←思いやりのない行政←民主的でない議会」、となっている。
●31,マッカーサーは会議の際に、最も若い者から順に発言させたという。日本は敗戦原因を反省しているのだろうか。

●32, 議会基本条例の元祖である栗山町の条文を参考したい:
『( 自由討議による合意形成)
第9 条 議会は、議員による討論の広場であることを十分に認識し、議長は、町長等に対する本会議等への出席要請を必要最小限にとどめ、議員相互間の討議を中心に運営しなければならない。
2 議会は、本会議、常任委員会、特別委員会等において、議員提出議案、町長提出議案及び町民提案等に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の自由討議により議論を尽くして合意形成に努めるとともに、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
3 議員は、前2 項による議員相互間の自由討議を拡大するため、政策、条例、意見等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。』

これは執行府の出席を最小限化することが不可欠であることを認識している。執行府員がいなくなればその代わりに市民と向き合うことになる。ドイツ、アメリカ、イギリス等、民主政治先進国で住民が会議に参加して発言する機会の保証されていない市町村議会はないはずである。傍聴するのに住所氏名の記帳を要求される国はないであろう。「傍聴」ではなく「参会」としなければならない。

(委員会の活動)
15条 常任委員会、特別委員会及び議会運営委員会(以下「委員会」という。)は、専門性とその特性を発揮するため、それぞれ所管に属する事務の調査(以下「所管事務調査」という。)を積極的に行い、議案、請願等を審査するとともに、必要に応じて市長等に対して政策提言を行うものとする。
2 常任委員会は、所管事務調査に関し、任期開始当初に当該任期における活動方針及び関連する視察等について十分な検討を行い、活動計画を策定するよう努めるものとする。
3 常任委員会は、第1項の調査を終了したときは、その結果を次の定例会において報告しなければならない。
4 特別委員会は、議会の議決により付議された事件について、適切かつ迅速に対応するため、目標、期間等を定めて、議案、請願等の審査及び調査を行うものとする。
5 委員会は、視察を行ったときは、その内容について速やかに報告書を作成し、議長に報告しなければならない。
6 委員会は、市政の課題に柔軟に対応するため、委員及び市民が自由に情報及び意見を交換できる懇談会等を積極的に行うよう努めるものとする。

● 33,常任委員会制度は廃止し、本会議中心の読会制を採用すべし。そもそも常任委員会制は、常時無数の法案が出されるアメリカでは審議迅速化のために意義あるものであるかもしれないが、議員立法(立条例)が皆無に等しい延岡市議会においては有害である。
議員は特定分野の議案について審議するために選ばれたのではなく、「市民の代表」として、市民の意向を反映するために議会に送り込まれたのであるから、全ての議案審議に参加し、住民の立場で行政を統制する責務がある。

(政策提言協議の場の設置)
16条 議会は、会議規則の定めるところにより、市政に関する重要政策及び課題について、共通認識及び合意形成を図り、議会としての対応方針を協議するための場を設置するものとする。
2 前項の協議において決定された事項については、市長等に対し政策提言を行うものとする。
(広報広聴)
17条 議会は、多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう広報活動に努めるとともに、市民の意見や要望等を聴くための広聴活動に努めるものとする。
2 議会は、広報広聴機能の充実のため、議員で構成する広報及び広聴に関する組織を置くものとする。
●34, 議会のHPの管理は執行府から独立させる必要がある。情報の更新は独立した議会職員によっておこなわれなければならない。執行府の干渉を招く。
福島町ではドメインも独立している。 http://www.gikai-fukushima-hokkaido.jp/
議会、執行府それぞれの分別倫理の問題である。国会と国政府のドメイン名は同じであろうか。

(議会の研修)
18条 議会は、議員の政策の形成及び立案に関する能力の向上を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。
●35, ドイツの自治行政学校、市町村研修所、公務員養成学校並の教育機関が必要である。日本国内のみを見ていては井の中の蛙である。民選議員をパブリックサーバント(全体の奉仕者)の傀儡と化するための構図から脱却しなければならない。
例:
http://www.bsvk.info/    http://www.akademie-rlp.de/
参考文献: 「豊かさを生む地方自治 ドイツを歩いて考える」

(交流及び連携の推進)
19条 議会は、政策等の形成及び広域的な課題に対処するため、他の地方公共団体の議会と積極的な交流及び連携を図るものとする。
(議会事務局の体制整備)
20条 議会は、議員の政策立案能力の向上を図り、議会運営を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査機能及び法務能力の充実強化並びに組織体制の充実に努める。
2 前項の調査機能については、別に定める議会事務局調査業務処理要領に基づき強化を図るものとする。
● 36,議会の独立性を確保するためには事務局職員の採用は議会の責任による公募制でなければならない。執行府の職員の出向等は禁止されなければならない。
1972
年までのアメリカ統治下の沖縄の琉球政府(執行府)に対して琉球立法院は予算編成権と立法権を独占しており、29人の議員に140人の職員が補佐していた。

(議会図書室)
21条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努め、その有効活用を図るものとする。
2 議会図書室は、誰もが利用できるものとする。
3 議会図書室に関し必要な事項は、別に定める。
(議会改革の推進)
22条 議会は、議会の信頼性を高めるため、議会運営に関する評価と改善を行い、継続的な議会改革に取り組まなければならない。
2 議会は、この条例に規定するもののほか、議会運営の基本となる会議規則、委員会に関する条例等及び議会内での申合せ事項について常に見直すよう努めなければならない。
(議員の政治倫理)
23条 議員は、市民全体の代表者として、良心と責任感を持って、議員の品位を保持し、行動しなければならない。
2 議員の政治倫理については、別に定める延岡市議会政治倫理綱領を遵守しなければならない。
(議員定数)
24条 議員定数の改正について、委員会又は議員が条例改正議案を提案する場合は、明確な改正理由を付して提出するものとする。
2 前項の改正に当たっては、市政の現状と課題及び将来の予測と展望を十分に勘案するとともに、市民の意見を聴取するものとする。
3 前項の場合においては、人口、面積、財政力及び市の事業課題並びに類似市の議員定数を総合的に検討するものとする。
● 37,会議ファシリテーター(進行役)専門家の意見によれば、自由討議が活発であるためには15人以下の定数が適当である。それ以上であれば指名なしの発言が困難になる。
もう一つの条件は、地方自治法第百十二条の規定により、議案提出は12分の1以上の賛成が必要、と規定されており、12人以上の定数であれば2人以上の賛成が必要となるから、憲法13条「個人の尊重」に反することになる。1人の議員の背後には多数の支持市民があり、その支持者が望む議案を審議採決にかけることができないのは不合理であり、参政権侵害である。議員提案が多すぎて処理できないほどの件数があるのであればこのような制限も考慮されることもあるかもしれないが、少ない状態である。議員1人で議案提出可能であるためには12人以下でなければならない。市内各地域から最低1人の議員を確保し、残りの定数枠は得票数順の当選とする。
どのような議案も審議採決にかけてその結果を市民に公表し、次期選挙時の選考資料とすることに意義がある。

(議員報酬)
25条 議員報酬の改正について、委員会又は議員が条例改正議案を提案する場合は、明確な改正理由を付して提出するものとする。
2 前項の改正に当たっては、類似市との比較だけでなく、市政の現状及び課題並びに将来の展望を十分に勘案するとともに、市民の意見を聴取するものとする。

●38,市議員報酬は実費弁済程度に収めるのが民主政治先進国共通の慣行である。ボランティアによる自主的な政治が尊重されなければならない。報酬がなくても議員になって延岡市民をより幸福にしたい、という市民を募ることが第一選択肢であり、応募者がない場合にのみ報酬の増額を検討すべきである。そのためには会議の開催時間が誰でも、参加できる時間帯、午後7時以降でなければならない。
業績に見合わない報酬は、餌とされて執行府 Public servant(公共の奉仕者)の家畜となりかねない有害なものであり、公益に反する。それゆえに欧米の地方議員=市民は自制、牽制しているものと考えられる。 民主主義の核心はボランティア精神、自主性である。それを妨げる一切が排除されなければならない。市民の幸福のためには。
議員=市民であるという感覚があるだろうか。ないのであればなぜだろうか。一般の会社勤務の人が議員を兼ねることが可能だろうか。
議員報酬がないと生活できないような、他の職を得ることが困難な議員が現実的に存在するだろうか。
議員のそれぞれの報酬額について市民に評価投票させ、その平均値とする方法も考えられる。

(最高規範性)
26条 この条例は、議会における最高規範であり、議会に関する他の会議規則、委員会に関する条例等の制定又は改廃並びにその解釈及び運用に当たっては、この条例との整合を図らなければならない。
●39,「傍聴規則」は「参会規則」とする。あるいは会議規則の中で規定する。
会議規則は自由討議が活発になるように改めなければならない。「会議規則」と「基本条例」を分ける必要はない。一本化可能である。
国政公務員による「傍聴人取締規則」の強要が、議員と市民を隔ててきた主原因である。
福島町では、「福島町議会への参画を奨励する規則」となっている。

2 議会及び議員は、この条例の理念及び基本原則並びにこれらに基づいて制定される会議規則、委員会に関する条例等を遵守して議会を運営しなければならない。
3 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、必要に応じて、この条例に関する研修を行わなければならない。
●40,「浸透させるため」というのはおかしいのではないか。間違っている可能性というものが常に考慮されなければならない。思想、信条の強要に当たる可能性がある。

(条例の見直し)
27条 議会は、この条例の施行後、常に市民の意見及び社会情勢の変化を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
附 則
この条例は、平成25年4月1日より施行する。

●41,会議の種類:発言権のある者に応じて、4つに分けることができる。
(民議会) 市民と議員のみの会議
(民議執会) 市民と議員と執行府の会議
(議員会) 議員のみの会議
(議執会) 議員と執行府のみの会議
民議会を主たる会議とし、議執会は月間民議会開催時間の総数の2分の1以下でなければならないものと規定する必要がある。

●42,会議規則について
自由討議のルールについて
延岡市の姉妹都市であるアメリカのMedford市の議会規則には次のようにある。
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RULES OF DEBATE
Rule 17.
Upon all debatable matters a Councillor shall speak no more than three (3) times or more than fifteen (15) minutes on the same issue. Any citizen or petitioner shall be limited to ten (10) minutes.
    
http://medford.org/Pages/MedfordMA_Council/City%20Council%20Rules.pdf
(訳) 同一事項について、議員は3回まで、又は15分以内話すことができる。市民及び請願陳情者は10分以内話すことができる。
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自由討議のためにはこの程度の制限のみで十分である。Medford市の議会規則を参考に延岡市の議会規則を再構成する必要がある。

●43,カリフォルニア州の公開会議法(Bagley-Keene Open Meeting ActRalph M. Brown Act)には、以下の規定がある。
                         http://www.clair.or.jp/j/forum/c_report/pdf/265-2.pdf
「会議や委員会は原則公開で開催され、公開の場において政策決定をしなければならない。
会議等の開催にあたっては、議題等を既定の日数前に市民に通知する。
会議等の開催にあたって、出席者の氏名や個人情報を収集してはならない。
会議等での写真撮影や録音を認める。
会議等で市民が発言する権利を確保する。」

延岡市議会基本条例においても同様の規定が最低限盛り込まれなければならない。アメリカの市民はどのような公開会議においても発言する機会が保証されている、延岡市民は発言機会が全く保証されていないのであればどちらの市民が幸福であろうか。 これが「幸福」と「福祉」の違いである。

●44, パブリックコメントにおいて年齢の記載が求められていたが、これは特別な理由がない限り必要ない個人情報と考えられる。年齢差別の悪しき慣習は絶たねばならない。

●45,欧米の先進民主主義国、最低限ドイツ、アメリカ、イギリスにおける地域自治体の議会がどのような規則によって運営されているか、議員全員が市民に対して説明できるような状態になってから、本条例を審議することが望ましい。

 ● 46,議員は市民の意見の代弁者であり、弁護士であるならば、「議会における最高規範」を制定するにあたっては、本条例案の公開を中間報告書と位置づけ、市民の意見を十分収集吟味する時間を設けなければならないことは、本条例案の趣旨によって要請されていることが明らかである。

●47, 日本中、世界中から視察者が訪れることが期待できるような、模範的な、最も先進的な公開議会条例を創造することにより、延岡市の名声を高め、延岡市民であることの誇りを高め、経済面等の各方面への波及効果をも合わせて期待できるものとなる。

参考資料:
欧米における地方議会の制度と運用
http://www.clair.or.jp/j/forum/series/pdf/h16-1.pdf
アメリカのマサチューセッツ州内の自治体におけるガバメントとガバナンス
 
http://www.clair.or.jp/j/forum/series/pdf/h20_02.pdf
ヨーロッパの自治体制度 http://www5d.biglobe.ne.jp/~okabe/ronbun/eurojichi.html 
「豊かさを生む地方自治 ドイツを歩いて考える」木佐茂雄 著
「地方議会改革マニフェスト」日経グローカル編
「地方議会改革の実像 あなたのまちをランキング」日経グローカル編
「幸福途上国ニッポン 新しい国に生まれかわるための提言」 目崎 雅昭
「不幸な国の幸福論」  加賀 乙彦
「よくなるドイツ・悪くなる日本」  関口 博之
「なぜ、デンマーク人は幸福な国をつく​ることに成功したのか どうして、日本では人が大切にされるシステムをつくれないのか」 ケンジステファンスズキ

以上

2013年3月2日改訂

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