上下告理由書ができました。
2審
判決書平成26年(行コ)第9号 公務談合損失補填請求控訴事件.pdf
1審判決
平成25年(行ウ)第6号公務談合損失補填請求事件
その他
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平成27年4月15日
平成27年(行サ)第1号 公務談合損失補填請求上告事件
上告人 岷民蟬
被上告人 延岡市長 首藤正治
原審
福岡高等裁判所宮崎支部
平成26年(行コ)第9号
原審 宮崎地方裁判所平成25年(行ウ)第6号
上 下 告 理 由 書
上 下 告 受 理 申 立 理 由 書
最高裁判所 御中
上告の趣旨を次の通り修正する。
上告の趣旨
1
原判決を破棄し、更に相当の裁判を求める。
2
第一審、第二審が原告の訴えを却下した部分について、その却下が憲法に適合するか否かについての違憲審査を求める。
3
地方自治法第242 条第2 項が憲法に適合するかしないかの違憲審査を求める。
4
遠隔地居住当事者の求めに応じて口頭弁論調書をファクシミリ送信しないことが、当事者の状況把握権、調書異議申立権を侵害し、憲法に適合しないか否かの違憲審査を求める。
理由を次の通り弁論する。
理由
原審判決は、悪を匿い、不正濫費を抑止するのではなく、奨励するものであるから、破棄されなければならない。
1. 地方自治法第242条2項が憲法に適合するかしないかについての違憲審査を求める。(民訴法第312条6項、第338条1項9号)
地方自治法第242条第2項は、憲法上の市民主権原理、14条平等保護権、29条財産権、13条個人の多様性尊重、幸福追求権、15条全体の奉仕者、16条損害の救済請願権、17条国家賠償請求権、32条、12条自由権理保持努力義務、99条憲法擁護義務に適合しない。
一. 憲法上の市民主権原理、憲法14条に適合しない。公務員=全体の奉仕者=Public servantに対する不当優遇差別である。
延岡市の職員による違法な支出行為によって、延岡市民納税者に信託されている市民財産を毀損することは、信託違反である。信託違反の不法行為による損害賠償請求権の時効を1年に制限することは、他の不法行為の時効3年、不当利得の時効10年に比べて短すぎる期間である。公務員のみの不法行為、不当利得を優遇差別的に免責しようとする悪意がある。公務員による信託違反の損害賠償請求権に時効を設けるべき正義の理由はありえない。不当な免責特権を与える優遇差別である。憲法14条に適合しない。憲法上の市民主権原理に逆行するものである。
信託された財産を不法に毀損した場合、それが公務員以外の者によるものであれば、5年以上の損害賠償請求期間があり、それが公務員によるものであれば、1年以上の損害賠償請求期間がないことは、公務員を不当に特別に優遇免責差別するものである。憲法14条に適合しない。
信託違反は、自治体の基金・財産について、自治体職員と納税者(各種の金銭負担者)の間に成立するとして、19世紀の州裁判所が納税者訴訟を判例上形成する根拠としたものである。
4頁「行政訴訟に関する外国事情調査結果(アメリカ合衆国)」神戸大学教授
中川丈久
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/gyouseisosyou/dai7/7siryou_list.html
「自治体の財産が住民からの信託財産であるという説明がしっくりくるものがある。」
行政訴訟検討会(第7回)議事概要(司法制度改革推進本部事務局)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/gyouseisosyou/dai7/7gaiyou.html
二. 憲法上の市民主権原理、14条平等保護権に適合しない。
地方自治法243条の二には職員の賠償責任が規定されている。(甲6)
九鬼勉、及び延岡市長首藤正治は、「支出負担行為、支出又は支払」を行った者であり、賠償責任を有する。
同条3項により、延岡市長は、監査委員に対して監査請求し、賠償を命じなければならないが、1年の制限はない。
議会も監査委員に対して監査請求することができる。242条2項のような1年の制限はない。
監査委員も自ら監査請求し、監査を開始することができる。その期限に1年の制限はない。
しかるに、市民納税者が損害賠償を求めるために監査請求できる期間を1年に制限することは、市長、議会、監査委員が監査請求する期間に制限がないことに比べて差別劣等待遇されていることになる。故に、憲法14条に適合しない。憲法上の市民主権原理に適合しない劣等差別待遇である。差別に合理性がない。
証拠を伴う市民の監査請求権を1年に制限できる合理的な理由はない。
法236条の5年時効規定に反して、市民納税者の損害賠償請求権の前置としての監査請求権を1年以内に制限することに合理性がない。不当な差別であり、市民的納税者に対する侮蔑虐待である。
住民訴訟制度はアメリカの納税者訴訟に習って日本に戦後導入されたものであるが、アメリカの地方自治体においては監査請求の前置なしに提訴することができ、その出訴期間に制限はない。地方自治法242条第2項のような1年の期間制限はない。日本でも昭和38年までは1年の制限はなかった。
市民の健全な権理感覚を傷つける虐待差別的な制限であるから、すみやかに撤廃されなければならない。
三. 憲法29条1項に適合しない。
監査請求期限を不当に短く制限することは、市民納税者の信託財産権を不当に、差別的に侵害するものであるから憲法29条に適合しない。
その本質は差別であり、市民に対する劣等虐待である。公務員に対する優遇免責差別である。
四. 憲法13条個人の多様性尊重、幸福追求権に適合しない。
1年という短い期限内に監査請求するに足る確証をつかむ能力のない者、毎年1ヶ月以上の有給休暇を海外旅行に費やす欧米人のようなライフスタイルをもつ者、病気で長期療養を余儀なくされた者、その他の多様な個人の特性が尊重されず、監査請求期間を1年に制限することは、それらの個人の尊厳を侵すこととなり、「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」という憲法13条の規定に適合しない。
五. 憲法15条全体の奉仕者に適合しない。
市民納税者による公共の奉仕者に対する損害賠償請求権の前置である監査請求権を不当に短く1年以内に制限し、劣等虐待差別すること、公務員を特権的に優遇免責差別することは、市民主権原理に反し、全体の奉仕者規定に適合しない。
六. 憲法16条損害の救済請願権に適合しない。
市民納税者による公共奉仕者に対する損害賠償請求権の前置である監査請求権を不当に短く1年以内に制限し、劣等虐待差別し、公務員を特権的に優遇免責差別し、公共奉仕者に対する損害賠償請求の機会を制限することは、憲法16条損害の救済請願権を侵害するものである。
七. 憲法17条国家賠償請求権に適合しない。損害賠償裁判請求権の侵害である。
市民納税者による公共奉仕者に対する損害賠償請求権の前置である監査請求権を不当に短く1年以内に制限し、劣等虐待差別し、公務員を特権的に優遇免責差別し、公共奉仕者に対する信託財産の損害賠償請求の機会を過度に制限することは、憲法17条国家賠償請求権を侵害するものである。
八. 憲法32条に適合しない。損害賠償裁判請求権の侵害である。
市民納税者による公共奉仕者に対する損害賠償請求権の前置である監査請求権を不当に短く1年以内に制限し、劣等虐待差別し、公務員を特権的に優遇免責差別し、公共奉仕者に対する信託財産の損害賠償請求の機会を過度に制限することは、憲法32条裁判を受ける権理を侵害するものである。過度に短い不合理な制限である。
九. 以上の通り、地方自治法第242条2項は、憲法に適合せず、公共の奉仕者を特権免責差別し、市民納税者の健全な権理感覚を傷つける劣悪な法規であるから、すみやかに撤廃されるための措置が講じられなければならない。
すみやかに、当該制限条項を違憲停止し、それまつわる無限の無益な議論を繰り返させることに終止符を打つべき時である。国益の大義の道を歩むべきである。
地方自治法第242条2項により損害を被り続けるのは全国民納税者であり、それが撤廃されても損害を被る者はない。
一〇.
地方自治法2 条14 項が事務処理にあたって最小の経費で最大の効果を挙げるべきことを求め、地方財政法4条1項が地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最小の限度をこえてこれを支出してはならない、との大原則の実現を妨げ、公共奉仕者による違法な浪費を助長し、市民納税者によって信託されている財産の毀損を増大させる、憲法29条、13条、14条に適合しない同規定はすみやかに違憲無効とされなければならない。
尊属殺人についての加重刑罰が違憲無効とされたように、市民納税者に対する監査請求期間の過剰短期制限規定は違憲である。公共の奉仕者に対する特権的過剰短期免責規定は違憲である。
イェーリングが次に述べるように、国家、裁判所は、市民の権理感覚の保護育成を図るべきである。(甲48)
イェーリング著「権理のための闘争」
「私権に関する市民の権理感覚が、鈍感・臆病・無気力であり、不公正な法律や劣悪な制度に遮られて個人が自分の力を自由に力強く発揮する場がなく、支持と助力を期待してしかるべき場合に迫害が行われ、その結果、不法・無法は耐え忍ぶもの、どうにもならないものだ、という風土が慣れっこになったとするならば、そんなに卑屈な、いじけた、無気力な権理感覚が個人市民=全国民を覆い尽くす。
このような国民が政治的自由の圧殺、憲法の違反ないし破棄、外敵の侵攻によって、全国民の権理が侵害された場合、突如として敏感になり、精力的な行動に転ずるなどとは誰も信じない。勇気をもって自分の権理を守ろうとしたことのない市民が国民全体のためなら喜んで自分の生命・財産を投げ出したいなどと思うものだろうか?
自己の名誉と人格がこうむった理念的損害を意に介さず、不精または臆病のために正当な権理を放棄する者、権理の問題をもっぱら物質的利益の尺度で考える者が、国民全体の権理と名誉にかかわる場合には別の尺度を用い、別の感じ方をするなどと期待することはできない。
未だかって示されたことのない理想主義的な心的態度は、どこからも突然出てくることはない。そんなことはありえない。
憲法上の市民の権理と国際法上の国民の権理は、その権理のための闘争の戦士は、私法上の権理のための闘争の戦士以外の者ではありえない。」
「権理感覚の本質は行為に存するのだから、行為に訴えられないところでは権理感覚は萎縮し、しだいに鈍感になり、ついには苦痛をほとんど苦痛と感じないようになってしまう」
「外国から敬意を払われ、国内的に安定した国たらんとする国家にとって、国民の権理感覚にも増して貴重な、保護育成すべき宝はない。国民の権理感覚の涵養を図ることは、国民に対する政治教育最高の、最も重要な課題の一つなのである。国民各個人の健全で力強い権理感覚は、国家にとって、自己の力の最も豊かな源泉であり、対内的・対外的存立の最も確実な保障物である
「国家が国民の権理感覚を十分に発達させ、それによって国家自身の力をも完全に発展させるためには、次の道をとるしかない。すなわち、私法ばかりでなく警察・行政・租税立法を含めた法の全分野で実体法を確実・明確・確定的なものとし、健全な権理感覚に反するすべての法規を除去するとともに、裁判所の独立を保障し、訴訟制度をできるかぎり完全に整えることである。」
監査請求権者と請求期限(甲36)
監査等の種類
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必ず実施
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必要と認めて実施
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要求・請求に基づき実施
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請求者
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請求期限
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事務監査
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市民の請求
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法第75条第1項
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○
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市民総数の50分の1
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無
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議会の請求
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第98条第2項
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○
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議会
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無
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市長の要求
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第199条第6項
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○
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市長
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無
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住民監査請求に基づく監査
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第242条第1項
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○
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市民
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1年
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職員の賠償責任監査
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第243条の2第3項
地方公営企業法第34条
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○
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市長
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無
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財政援助団体等の監査
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第199条第7項
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○
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監査委員
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無
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財政援助団体等の監査(長の要求)
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第199条第7項
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○
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市長
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無
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指定金融機関等の監査
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第235条の2第2項
地方公営企業法第27条の2
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○
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監査委員
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無
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指定金融機関等の監査(長の要求)
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○
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市長
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無
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財務監査
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定期監査
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第199条第1項、第4項
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○
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監査委員
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無
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随時監査
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第199条第1項
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○
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監査委員
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無
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工事監査
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第199条第5項
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○
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監査委員
|
無
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行政監査
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第199条第2項
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○
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監査委員
|
無
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決算審査
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第233条第2項
地方公営企業法第30条第2項
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○
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監査委員
|
無
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健全化判断比率等
審査
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地方公共団体の財政の健全化に関する法律第3条及び第22条
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○
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監査委員
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無
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例月現金出納検査
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第235条の2第1項
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○
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監査委員
|
無
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基金の運用状況の審査
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第241条5項
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○
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監査委員
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無
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地方自治法(職員の賠償責任)
第243条の二 会計管理者若しくは会計管理者の事務を補助する職員、資金前渡を受けた職員、占有動産を保管している職員又は物品を使用している職員が故意又は重大な過失(現金については、故意又は過失)により、その保管に係る現金、有価証券、物品(基金に属する動産を含む。)若しくは占有動産又はその使用に係る物品を亡失し、又は損傷したときは、これによつて生じた損害を賠償しなければならない。次に掲げる行為をする権限を有する職員又はその権限に属する事務を直接補助する職員で普通地方公共団体の規則で指定したものが故意又は重大な過失により法令の規定に違反して当該行為をしたこと又は怠つたことにより普通地方公共団体に損害を与えたときも、また同様とする。
一 支出負担行為
二 第二百三十二条の四第一項の命令又は同条第二項の確認
三 支出又は支払
四 第二百三十四条の二第一項の監督又は検査
3 普通地方公共団体の長は、第一項の職員が同項に規定する行為によつて当該普通地方公共団体に損害を与えたと認めるときは、監査委員に対し、その事実があるかどうかを監査し、賠償責任の有無及び賠償額を決定することを求め、その決定に基づき、期限を定めて賠償を命じなければならない。
2. 第一審、第二審が原告の訴えを却下した部分について、却下したことが憲法に適合するか否かについての違憲審査を求める。
第一審、第二審が原告の訴えを却下したことは、憲法32条、17条、16条に適合しない。
そもそも原告の訴状によれば、地方自治法第242条の二の規定のみに縛られた請求とは限らず、民法709条不法行為、703条不当利得、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、国家賠償法、憲法17条、16条、32条の規定によるものでもあった。
違法不法な随意契約談合行為の取消し、無効確認を求め、その結果として発生する損害及び不当利得の返還賠償を求めるものである。
そのような裁判を求める権理が却下されるならば、憲法32条、17条、16条に適合しない。
前記、1- 一 に述べられたように、自治体である延岡市の財産は納税者である住民からの信託財産であるから、住民の1人である原告の信託財産である。その信託財産を、管理者である公共奉仕者の違法な不法行為により毀損されたのであるから、その違法行為の取り消しを求め、損害の救済を求めるための訴えが認められなければならないのは当然である。自然法によるものであり、憲法32条、17条、16条による訴権である。その訴えを却下することは、同憲法に適合しない。
行政事件訴訟法第5条では、「民衆訴訟」は、「自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの」と規定されており、住民の信託財産は自己の法律上の利益にかかわるものであるから、本件は民衆訴訟の定義に該当しない訴訟といえる。
どのような名目であるかににかかわらず、名目外であるとしても、訴えは憲法上の正当なものであるから、却下することは憲法に適合しない。
不正を正すための訴えが認められないことは民主的法治国家の原理に反する。
一市民納税者は全市民納税者の信託財産を防衛する義務があり、その義務を履行するために、訴えを提起することは当然の道理である。裁判官がそれを却下することはできない。
アメリカと同様、フランスでは、住民訴訟・選挙訴訟に相当する訴えは、民衆訴訟ではない通常の訴えに含まれている。納税者の資格で、財務会計上の決定の取り消しを争う場合について、判例法は、市町村、県、植民地の納税者について訴えの利益を肯定している。(甲39)
訴えの利益は極めて広範に認められており、例えば、地名変更決定を住民が争う場合、路面電車の廃止決定を利用者が争う場合、キャンプ愛好者が一度も訪れたことのない地域でのキャンプ禁止命令を争う場合について、原告適格が肯定されている。
監査請求の前置なしに、何人でも憲法上の訴権がある。
憲法 第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
3. 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。(民訴法312条2-一)
法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと(民訴法312条2-二) 法律によらない恣意的な移送
地方自治法242条5項によれば、住民訴訟について、「当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する」と規定されている。
延岡市の所在地は、延岡市であり、延岡市を管轄する地方裁判所は宮崎地方裁判所延岡支部である。宮崎地方裁判所延岡支部で裁判されなかったことは、原告の不利益を伴う管轄違いであり、「法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと」に該当する。
宮崎地方裁判所延岡支部の裁判官によって裁判されなかったことは、「法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと」に該当する。
原告は訴状を延岡支部に提出した(1審記録)が、原告の意志と利益に反して、110km離れた宮崎市の遠隔地裁判所に移送されたことは、なるべく近くの裁判所で裁判を受ける権利を侵害するものであり、憲法32条に適合しない。移送理由に法律的根拠がなく、恣意的であり、法律に従って判決裁判所が構成されなかったといえる。
仮に、宮崎地方裁判所延岡支部と宮崎地方裁判所宮崎支部が当該事件の管轄について競合するとしても、当事者の住所地に近い延岡支部が選択されなければならないことは当然の理である。延岡支部で当該事件を審理できない合理的な理由はないのであるから、当事者の裁判所選択権を侵害し、法律上の裁判官を奪うものである。憲法32条、13条に適合しない。
ドイツ憲法裁判所は、裁判管轄については、その本質的な部分が、法律=議会制定法によって規定されることが憲法上の要請である。(BVerfGE19,52[60]
裁判に対する外部からの不当な影響を排除するという、憲法32条、76条3項の目的に対応するため、裁判管轄は事前に、具体的事件が裁判所に係属する以前に、抽象的、一般的に定められていなければならず、恣意の入り込む余地のないよう、可能な限り一義的なものでなければならない。(BverfGE6,45[51])
原告が、法律にしたがって、延岡市の地方裁判所に提出した訴状を、宮崎の地方裁判所に移送したことは、恣意によるものとみなされざるをえない。
その移送の目的が、過去二回、6年以上にわたり訟務検事を務め、行政機関の弁護活動をしてきた内藤裕之判事を事件の裁判長とし、被告有利の判決をさせるためのものであるならば、なおさら悪質な恣意である。原告は憲法上の裁判官による裁判を受ける権理を奪われていた。(甲40,41,42,43,44,45,46,47)
「裁判を受ける権利と司法制度片山智彦著」 70p
(甲38)
連邦憲法裁判所は、基本法101条1項第2文は、同条にいう「裁判官」
について、まずもって、裁判管轄の規定について「法律の留保(Gesetesvorbehalt)」を定めたものであると解している。したがって、裁判管轄については、その本質的な部分が、法律=議会制定法によって規定されることが憲法上の要請であるとされることになる。(BVerfGE19,52[60])
「法律上の裁判官」 の裁判を受ける権理は、まず、立法府に対して権理の具体化を求めるものである。
裁判管轄の具体的規整は立法府に委ねられているが、もちろん、裁判管轄が単に法律の形式で規定されているというだけでは、基本法101条1項第2文の要請を満たしているとはいえない。まず第1に、裁判管轄が、事前に、つまり、具体的事件が裁判所に係属する以前に、抽象的、 一般的に定められていなければならないと解されている。この裁判管轄の決定の事前性、抽象性および一般性の要請は、裁判に対する外部からの不当な影響を排除するという基本法101条1項第2文の目的に対応するものである。
さらに、一般に、裁判管轄は、恣意の入り込む余地のないよう、可能な限り一義的なものでなければならないとされており、連邦憲法裁判所も同様の見解をとっている。(BverfGE6,45[51])
地方自治法第242条 5 第一項の規定による訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
4. 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。(民訴法312条2- 一)憲法76条3項に適合しない。
判決裁判所は独立裁判官によって構成されなければならないが、独立を侵されている裁判官によって構成されていた。
第1審、2審いずれも同様である。(甲40,41)
憲法76条3項、22条(移転定住職業選択の自由)、99条(裁判官の憲法擁護義務)、12条(自由権理保持義務)、31条(適正裁判請求権)、32条(公正裁判請求権)、市民的政治的権理国際規約第14条、裁判所法第48条(身分の保障)に適合しない裁判所の構成であった。
原審の判決に関与した裁判官は、憲法と法律以外の圧力に従って、およそ3年毎の定期的な強制移住を伴う転所、転任、転業、法務省への出向等を繰り返した経歴を有しており、裁判官としての良心の独立を侵されていた。
基本的自由権を剥奪されている判事のみによって構成される合議裁判体には、国民の自由を護る裁判をすることは不可能である。
独立を侵された裁判官による裁判によって、公正な裁判を受ける権理が侵害された。(甲40,41,42,43,44,45,46,47)
5.
法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと(民訴法312条2-二) 憲法76条3項に適合しない。
憲法76条3項により、独立を侵されている裁判官は、判決に関与することができないが、関与していた。
ドイツ憲法(基本法)101条には、「何人も、法律上の裁判官を奪われない。」と規定されており、日本の憲法32条は、同様の趣旨を含むものである。
ドイツ憲法97条は裁判官の独立が規定されており、その第2項には転所、転官退職の禁止が規定されている。裁判官が独立であるための最低必要条件である。裁判所の組織の変更等のやむおえない場合のみ、強制的な、転所が認められている。日本の裁判官の組織的定期的な転所転官は本人の自発的なものではなく、濫用であり、違憲である。
日本の憲法76条3項は、裁判所法48条の規定を内包するものである。
ドイツ憲法
第101条 [例外裁判所の禁止]
(1) 例外裁判所は、許されない。何人も、法律上の裁判官を奪われない。
(2) 特別の専門分野に関する裁判所は、法律によってのみ設置することができる。
Artikel 101 [Verb。t
v。n Ausnahmegerichten]
(1) Ausnahmegerichte sind unzulässig. Niemand
darf seinem gesetzlichen Richter entz。gen
werden.
(2) Gerichte für bes。ndere Sachgebiete können nur durch Gesetz errichtet
werden.
第97条 [裁判官の独立]
(1) 裁判官は独立であって、法律にのみ従う。
(2) 専任としてかつ定員において最終的身分として任命された裁判官は、裁判官による裁判によらなければ、かつ法律の定める理由および形式によらなければ、その意に反して、任期満了前に罷免し、長期もしくは一時的に停職し、または転任もしくは退職させることができない。立法により、終身をもって任命されている裁判官を退職させる定年を定めることができる。裁判所の組織またはその管轄区域の変更の場合は、裁判官を他の裁判所に転所させ、または退職させることができるが、その際、俸給の全額を支給しなければならない。
Artikel 97 [Richterliche Unabhängigkeit]
(1) Die Richter sind unabhängig und nur dem
Gesetze unterworfen.
(2) Die hauptamtlich und planmäßig endgültig
angestellten Richter können wider ihren Willen nur kraft richterlicher
Entscheidung und nur aus Gründen und unter den Formen, welche die Gesetze
bestimmen, vor Ablauf ihrer Amtszeit entlassen oder dauernd oder zeitweise
ihres Amtes enthoben oder an eine andere Stelle oder in den Ruhestand versetzt
werden. Die Gesetzgebung kann Altersgrenzen festsetzen, bei deren Erreichung
auf Lebenszeit angestellte Richter in den Ruhestand treten. Bei Veränderung der
Einrichtung der Gerichte oder ihrer Bezirke können Richter an ein anderes
Gericht versetzt oder aus dem Amte entfernt werden, jedoch nur unter Belassung
des vollen Gehaltes.
裁判所法 第48条 (身分の保障) 裁判官は、公の弾劾又は国民の審査に関する法律による場合及び別に法律で定めるところにより心身の故障のために職務を執ることができないと裁判された場合を除いては、その意思に反して、免官、転官、転所、職務の停止又は報酬の減額をされることはない。
他者の指示からの自由と身分上の独立が裁判官の独立に不可欠であり、裁判官の独立が保障されていない場合には、その事件の当事者は、「法律上の裁判官」の裁判を受ける権理を奪われたことになる、とドイツ連邦憲法裁判所は判示している。(BverfGE21,139[145-146])
日本全国で毎年4月に750名あまりの判事が転勤転所している。大半が転居を伴っている。組織的な強要転勤である。750名全ての判事が同時に自発的に移住を希望することはありえない。
他者の指示、最高裁事務局等の指示による組織的な転所転官であるから、それに応じた経歴のある裁判官は、独立を侵されているとみなされざるをえない。裁判官の基本的人権、定住移転職業選択の自由が奪われている。
法律上の裁判官は自由独立でなければならない。他者からの転任指示に応じてはならない。
原告は、法律上の裁判官を奪われていた。
法律に従って判決裁判所が構成されておらず、法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したといえる。
「裁判官」に課せられた憲法上の要請としては、裁判官の独立性、中立性、そして、当事者との距離などをあげることができる。この点について、連邦憲法裁判所は、裁判官に指図からの自由と身分上の独立が認められていること、そして、第3者によって行われることが、裁判にとって本質的であり、こうした観念は、裁判所または裁判官という概念そのものと分かち難く結合しており、裁判官の行為が、裁判官の中立性と当事者に対する距離を必要とすることを指摘している。それゆえ、たとえば、事件を担当する裁判官について、裁判官の独立が保障されていない場合には、その事件の当事者は、「法律上の裁判官」の裁判を受ける権理を奪われたことになる。(BverfGE21,139[145-146])
裁判を受ける権利と司法制度 片山智彦著」 73p
6.
控訴審の判事の独立について:
控訴審の佐藤明裁判長は、平成22年3月から京都地裁で判事の職にあったが、平成26年10月8日に福岡高裁宮崎支部に転所した。(甲41)
前任の田中哲郎が、定年退職する時期はあらかじめ予見できることであるから、その時期にあわせて後任者を公募することができたにもかかわらず、公募された形跡はない。佐藤明という特定の人物が送り込まれた。恣意的である。佐藤明が福岡高裁宮崎支部の裁判長職に応募した事実もない。不特定多数の者に対して公募された事実もない。京都から宮崎への転所指示に応じた佐藤明裁判官は独立を侵されている。
裁判官の独立が保障されていない場合には、その事件の当事者は、「法律上の裁判官」の裁判を受ける権理を奪われたことになる。
原告は、法律上の裁判官を奪われていた。
法律に従って判決裁判所が構成されておらず、法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したといえる。
7.
理由に食違いがある。理由齟齬、理由錯誤である。憲法32条に適合しない。民訴法312条2項六に該当する。
法令の解釈に関する重要な事項を含む。民訴法第312条2項の一の 「法律」が、単に、「裁判所法及び民事訴訟法」のみに限定されるのか、あるいは、憲法も含まれるのか、という解釈の違いは重要な事項である。
控訴人は,原審が法律に従って判決裁判所を構成しなかった旨主張する。
しかし,その理由とするところは,原審が,裁判所法及び民訴法に従って構成されていないことを指摘するものではないから失当である。
と原審にあるが、控訴理由書1頁15行目に、「裁判所法第48条に適合しない裁判所の構成」との記載があるにもかかわらず、見落とされているのでなければ、無視されている。裁判官の身分保障が侵されており、身分保障が侵された裁判官が判決に関与することは、法律に従って判決裁判所を構成しなかったこととなる。
民訴法第312条2項の一の
「法律」の解釈に誤りがある。原審では、「裁判所法及び民事訴訟法」のみに限定解釈されているが、根拠なき限定である。憲法問題に関する思考停止である。あらゆる法律、憲法が含まれるものと解釈されなければならない。
控訴理由書1頁に、「憲法76条3項、22条(居住移転職業選択の自由)、99条(裁判官の憲法擁護義務)、12条(自由権理保持義務)、31条、32条、市民的政治的権理国際規約第14条、裁判所法第48条に適合しない裁判所の構成である。」 と述べられているのであるから、失当ではない。
8.
口頭弁論の公開の規定に違反したこと。(民訴法312条2―五)
憲法82条1項に適合しない。
一.
当該事件、福岡高等裁判所宮崎支部平成26年(行コ)第9号公務談合損失補填請求控訴事件と平成26年(ネ)第221号全体の奉仕者背任・敬老侮若差別控訴事件の口頭弁論期日は、両方とも同一日時、平成26年12月17日13:30に指定された。佐藤明、三井教匡、下馬場直志裁判官、山崎迪子書記官が担当していた。両方共同じ原告である。
理論的に、同一裁判官が同一日時に複数の事件の口頭弁論を行うことは不可能であり、当事者が同一日時に複数の事件の口頭弁論を行うことは不可能であるから、このような期日の指定は違法である。
二.
当事者が複数の事件について十分な口頭弁論を行う権理を侵害するものである。憲法32条、21条に適合しない。
三. 民訴法87条に適合しない。「当事者は口頭弁論をしなければならない」と規定されているが、当事者が同一日時に複数事件の口頭弁論を行うことは不可能であるから、同規定に違反する。
四.
実行不可能な口頭弁論期日を指定することは、指定された当事者及び一般公衆傍聴人に対して、口頭弁論を公開しなかったこととなる。口頭弁論の公開の規定に違反したといえる。
五. 同一日時に指定することにより、裁判官が、審理のための時間を全く取る気がないことが示されており、当事者の憲法上の基本権、法的審尋請求権を侵害するものである。人間の尊厳を侵すものである。憲法13条、32条に適合しない。
六.
一般公衆にとっても、そのような期日の指定がなされていることを知れば、口頭弁論の不作為予定を示すものであるから、期日を傍聴する機会を失することを免れないこととなり、口頭弁論の公開の規定に違反したこととなる。
七. 当事者が控訴理由、及び答弁書の内容を全て口頭弁論するには少なくとも30分以上の時間を要することが推測されるが、その時間が当初から確保されていなかったことは、口頭弁論必須原則を無視するものである。民訴法87条に適合しない。
八. この期日の指定の際には控訴人である甲の都合が確認されることなく裁判所によって一方的に決定された。当事者都合配慮義務違反である。
九. 上述のように、理論的に2つの事件の期日で同時に口頭弁論を行うことは不可能であるから、甲は当該初回口頭弁論期日に出席できなかったが、当日に弁論が終結された。民訴法244条のただし書きに適合しない。相手側の申し出がないのに終結されている。仮に相手側の申し出があったとしても、甲の都合が考慮されずに指定された初回期日は民訴法158条擬制陳述の規定があり、甲の都合は保護されなければならないのであるから、甲の意向が確認されることなくなされた弁論終結、釈明審尋義務が果たされることなくなされた弁論終結は違法である。憲法32条に適合しない。
民事訴訟法(訴状等の陳述の擬制)
第158条 原告又は被告が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしないときは、裁判所は、その者が提出した訴状又は答弁書その他の準備書面に記載した事項を陳述したものとみなし、出頭した相手方に弁論をさせることができる。
第244条 裁判所は、当事者の双方又は一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合において、審理の現状及び当事者の訴訟追行の状況を考慮して相当と認めるときは、終局判決をすることができる。ただし、当事者の一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合には、出頭した相手方の申出があるときに限る。
(口頭弁論の必要性)
第87条 当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければならない。ただし、決定で完結すべき事件については、裁判所が、口頭弁論をすべきか否かを定める。
2 前項ただし書の規定により口頭弁論をしない場合には、裁判所は、当事者を審尋することができる。
9.
判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること。不可解な理由。(民訴法312条2項六) 引用の濫用による理解不能判決である。
判決書5頁:2 控訴人の従前の請求について
当裁判所も,控訴人の従前の請求については,訴えが不適法であり却下を免れないと判断する。その理由は,後記のほかは,原判決の「事実及び理由」中「第3 当裁判所の判断」1及び2に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1)原判決7頁24行日「遅くとも」から25行目・・・
判決書5頁14行目には、「その理由は、後記のほかは、原判決の~ これを引用する。」とあるが、実際には、当該原審判決の当該引用個所が引用されておらず、一読して内容を把握することができない。判決書それ自体を読んだだけで理解不可能な判決書は無効である。その理由とするところを一読して理解できない判決書、朗読されたものを聞いても誰も理解できない判決文は、判決書としての最低基準を満たしておらず、違法無効である。口頭弁論の傍聴人及び当事者が判決書の朗読を聞いて、その判決理由を理解できない判決書は、理由不備であり、理由に食い違いがあるといえる。
民訴規則184条には、「引用してすることができる。」と規定されているが、原審判決理由は、「これを引用する」といいながら、実際にはその文章が引用されておらず、何を言っているのか不明である。理由に食い違いがあるといえる。
当事者及び傍聴人が一読一聴して理解不能な、意味不明な判決書には、当然配慮義務違反があり、ことさらに不可解な判決口頭弁論にしようという悪意があるといえる。
控訴審における判決書はそれ自体で完結していなければならず、それのみで単独で理解可能なものでなければならない。原審判決書を所有していない者でも一読一聴して理解可能なものでなければ、外国語で書かれた判決書と同様に、無効とされなければならない。
引用とは、辞書の定義によれば、「人の言葉や文章を、自分の話や文の中に引いて用いること」とされており、実際に引いてきて用いなければならない。当該箇所が記されておらす、用いられていないものは読解不能であり、引用とはいえない。引用の濫用である。
当事者及びその他の読者に対してパズルのような文章の組み立て作業を強いることなし読解可能な判決書でなければならない。
判決書3頁1行目以降にも同様の継ぎ剥ぎがある。
10. 口頭弁論の公開の規定に違反したこと。(民訴法312条2項五)
憲法82条1項に適合しない。
(上記9に続き、)また、公開された口頭弁論の傍聴人が判決書の朗読を聞いて、その判決理由を理解できない判決書は、口頭弁論の公開の規定に違反したといえる。理解不能な判決理由を述べることは、外国語で判決理由を述べることと同様に、当事者及び傍聴人に対して公開されたとはいえず、秘密の口頭弁論期日であったといえる。また、一般的な傍聴人が手元に原審の判決書を所持していることはほとんどありえないことであるから、それ自体が完結した判決書ではなく、他の原審判決に依存した判決書は、理解不能であることは避けられず、当然配慮義務を欠いたといえる。裁判官の独立にも反する。ことさらに意味不明な口頭弁論、判決にしようという悪意があり、公正な口頭弁論の公開の規定に違反したといえる。秘密口頭弁論であった。
憲法82条1項には、「対審及び判決は公開法廷」で行うとあり、判決が公開法廷で行われなければならないということは、判決書を全て朗読した場合に、それを聴いた当事者及び、一般的な傍聴人が理解可能でなければならないということである。継ぎ剥ぎだらけの判決理由文を聴いてその場で理解できる人は皆無であるから、判決は公開されなかったといわざるをえない。
(第一審の判決書等の引用)
第百八十四条 控訴審の判決書又は判決書に代わる調書における事実及び理由の記載は、第一審の判決書又は判決書に代わる調書を引用してすることができる。
デジタル大辞泉の解説
いん‐よう【引用】
[名](スル)人の言葉や文章を、自分の話や文の中に引いて用いること。「古詩を―する」
ブリタニカ国際大百科事典
小項目事典の解説
引用 いんよう quotation
自説の展開・補強・証明のために他人の文章を自分の文中に取り入れること。従来は借用として低く見られたが,近年は新たな創造方法として注目されている。平たくいえば,引用することによって引用されたものが新しい意味を持つということが,創造行為として評価されるようになったのである。
11. 憲法76条3項に適合しない。(民訴法312条)
控訴審の裁判官は、独立して裁判書を作成しなければならず、原審裁判官による判決書に依存してはならない。控訴審判決それ自体で一般人が一読して理解可能な判決書でなければならない。
原審の判決書に過度に依存することにより、不可解な判決書となったことは、裁判官の独立違反があったといわざるをえない。
また、過度の依存体質は、原審の判決書に過度に影響される原因となる。
12. 訴訟手続違背があった。
判決書5頁 (2)控訴人は,平成25年12月24日付け「第1回口頭弁論調書異議」を提出して裁判官の除斥を申し立てたが看過された旨主張する。
確かに,本件記録中の控訴人作成名義の平成25年12月24日付け「第1回口頭弁論調書異議」と題する書面には,「原告は,行政機関の代理人又は補佐人を務めた経歴を有する裁判官の除籍を求める。」と記載があるが,同書面においては除斥の対象となる裁判官が特定されていない上,同書面は原審裁判所にファクシミリにより送信されたものであるところ,裁判官に対する除斥の申立ては,期日においてする場合を除き,書面でしなければならないが(民訴規則10条2項),除斥の申立書は,ファクシミリ送信により提出することができない書面であるから(同規則3条1項2号), 原審裁判所に対し,除斥の申立て(民訴法23条)がなされたとみることはできない。
「除斥の対象となる裁判官が特定されていない」とあるが、「行政機関の代理人又は補佐人を務めた経歴を有する裁判官」との特定がなされている。3人の担当判事の中でその経歴を有する内藤裕之裁判長が特定されていることは明らかである。仮に特定されていないとしても、そのような除斥を求める意思表示のある書面が提出されているのであるから、裁判長は口頭弁論期日において、それについて釈明審尋する義務があったにもかかわらず、そうすることなく弁論終結したことは、釈明審尋義務違反であり、憲法32条に適合しない。
釈明審尋がなされていれば、当該口頭弁論期日中に、除斥申立が成立したことは明らかであるから、釈明審尋することなく逃げるように弁論終結して立ち去った裁判長には、釈明審尋義務違反の違法があるといえる。
平成25年12月24日付け「第1回口頭弁論調書異議」において除斥申立がファクシミリ書面で提出されたが、ファクシミリにより提出できないのであれば、裁判所はその旨の補正を求めなければならないのに、平成 26年 2月 21日の期日までにそのような教示はなかった。教示義務違反である。公正裁判請求権の侵害である。憲法32条に適合しない。
釈明審尋義務違反、教示義務違反、除斥申立による訴訟進行停止義務違反、暴力裁判である。
除斥申立に関する規定に違反したということは、法律上の裁判官を奪われたということである。
ドイツ連邦憲法裁判所によれば、裁判官の除斥、忌避など裁判官の排除に関する規定に対する違反が認められる場合には、それは常に基本法101条1項第2文違反とされるべきだと解されている。(甲38
76頁) (BVerfGE 30, 165[167];63,77[79-80])
「裁判官の除斥、忌避など、裁判官の特定の事件からの排除に関する規定に対する違反については、それが「恣意」的か否かを問題にせず、常に違憲」
である。憲法32条、76条3項に適合しない。
「法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。(民訴法312条2- 一)
法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと(民訴法312条2-二)」という上告理由に該当する。
13. 憲法32条に適合しない。遠隔地居住当事者の求めに応じて口頭弁論調書をファクシミリ送信しないことにより、調書異議申立権を侵害したことが憲法に適合するかしないかの違憲審査を求める。
(3)控訴人は,原審第2回口頭弁論調書のファックス謄写閲覧申請をしたが拒否された旨主張する。
本件記録によると,控訴人は,原審裁判所書記官に対し,訴訟記録の閲覧謄写請求として,原審第2回口頭弁論調書をファクシミリで控訴人に送付することを請求したことが認められるが,民訴法91条1項及び3項所定の各請求の中に当該訴訟記録のフアクシミリ送信の請求が含まれるとは解されないから,同書記官が,控訴人の上記請求に応じなかったことに違法はない。
木を見て森を見ない判示である。法律に反しないことであっても、憲法に反することが無視されている。
「フアクシミリ送信の請求が含まれるとは解されない」とあるが、ファクシミリ送付を禁じる法規はない。
当事者の調書異議申立権が優先されなければならないのであるから、容易に実行できるファクシミリ謄写送信を拒絶したことは、原告の調書異議申立権を侵害したことになる。公正裁判請求権の侵害にあたり、憲法32条違反である。
遠隔地居住当事者の求めに応じて口頭弁論調書をファクシミリ送信しないことにより、調書異議申立権を侵害したことが、憲法32条、14条、21条に適合するか否かの違憲審査を求める。
事実経緯
一. 宮崎地方裁判所 平成25年(行ウ)第6号公務談合損失補填請求事件において、甲は、平成26 年2 月26 日 に「第2 回口頭弁論調書送付願い」をファクシミリで送信した。
二. 佐藤正善書記官から電話があり、拒否回答があった。
三. 2月27日10:20 「第2 回口頭弁論調書の閲覧謄写Fax 送付請求書」を Faxで送信した。
四. 佐藤書記官から電話があり、拒否回答があった。
五. 2月27日16:35 甲は、 「法的根拠について」を Faxで送信し、法的根拠の説明を求めた。
六. 3月8日 書記官の処分に係る異議状を提出した。
七. 3月24日 7:33 甲は、「裁判官除斥申立書」 をFaxで送信した。
八. 3月24日 佐藤書記官から電話があり、「除斥申立書」はFaxではだめということ、及びFax謄写請求に対する虚偽の許可通知があった。佐藤書記官は許可したというが、実際には、Fax謄写はなされていない。
九. 4月22日 甲は、異議状に係る決定督促状 を提出した。
一〇.
5月27日 却下決定書が出された。
一一.
以上の所為は次の理由により違憲である。
一二.
民事訴訟法第91条3項に適合しない。憲法32条、31条に適合しない。
甲は、Fax謄写の拒否理由の法的根拠の提示を求めたが、明確な説明はなかった。法的根拠のない不作為であった。民事訴訟法第91 条3 項違反である。不作為の合理的な理由が説明されなかった。
一三.
憲法31条、32条に規定される公正な裁判手続きにおいて、口頭弁論調書の当事者への送付は、当事者からの請求がなくても、当然なされなければならない事務と考えられる。当事者の準備書面と同様の性質のものである。一般的に、会議の議事録等が会議出席者によって署名されなければ効力が発せられないことと同様である。民事訴訟法第160条2項は、その機会を当事者に保証するものである。
一四.
遠隔地居住者への口頭弁論調書のFaxでの送付手続きは、当然可能でなければならない。それが不可能とされる場合には、憲法32条(裁判を受ける権理、法的聴聞権)、憲法31条(適正手続保障、due process of law)、民事訴訟法第2条(公正迅速手続と信義則)、民法1条(信義則)、憲法13条(個人の多様性尊重、自由、幸福追求権)、憲法25条(生活利便性改善義務)違反となる。
ドイツ連邦憲法裁判所判例(BVerfGE78,126=NJW1988,S.2787)によれば、「裁判官による手続き形成は、民事訴訟の当事者が手続きについて当然に期待して良いレベルのものでなければならない」
とされており、遠隔地居住当事者が口頭弁論調書をファクシミリでの送信を求めることは、当然期待してよいレベルのものである。それに応じず、原告の訴訟に関する目下の状況把握を妨げ、調書異議申立権を妨害することは、重大な訴訟手続違背であり、憲法32条に適合しない。
後に で述べるように、実際に、第一回口頭弁論調書に対する異議内容が調書に反映されていないことについて、原告は知ることができなかった。情報提供義務違反である。
憲法32条によって保障される 「公正手続請求権」は、ドイツ憲法第103条の法的聴聞権、及び公正手続請求権の双方を含むものと解される。 そして、「訴訟当事者の自己の見解を表明する権理」、受け身ではない形で、「自己の権理または利益が不法に侵害されているとみとめ出訴に及ぶ場合、訴訟当事者が裁判手続の単なる客体にとどまることなく裁判手続の過程そして結果に影響を行使しうることを「裁判を受ける権理」は保障しなければならない。
そして、裁判官による手続形成についても、「裁判官は矛盾した行為を行なってはならず、自己のあるいは自己に帰せられうる瑕疵あるいは遅滞から手続上の不利益を導き出してはならず、そして具体的状況下での手続関係人に対する配慮を一般に義務づけられている」 という原則に具体化できる。これらは、「当事者たる個人を訴訟手続の単なる客体ではなく手続の主体として尊重するという」ことであり、法的聴聞権をはじめとした憲法レベルの手続保障を構築する必要がある。 (笹田栄司『実効的基本権保障論』)
一五.
本件書記官の不作為は、憲法32条の裁判を受ける権理、法的聴聞権を妨げ、国民の表現の自由、参政権等の基本的人権の侵害があった場合に、権理回復を可能とするための最重要の権理の侵害となるものであるから、厳格な違憲審査基準が適用されなければならない。必要不可欠な理由、やむにやまれぬ理由がなければならず、そのような不作為をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならない。
本件では、やむにやまれぬ理由があるとはいえず、合理的な理由があるとはいえない。
(訴訟記録の閲覧等)
第九十一条 何人も、裁判所書記官に対し、訴訟記録の閲覧を請求することができる。
3 当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、訴訟記録の謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は訴訟に関する事項の証明書の交付を請求することができる。
一六.
憲法第14条、市民的政治的権理に関する国際規約第26条(平等保護)に適合しない。
当事者の居住場所から裁判所への距離の遠近の違いによって、進行中の事件の口頭弁論調書の閲覧謄写の機会を得ることが困難化することとなるのは、平等保護違反となる。同等の容易さでの機会が保証されなければならない。Fax謄写という、容易に機会均等化することのできる方法があるにも関わらず、やむおえない合理的な理由なく、その便宜を図らないことは、信義則違反であり、平等保護違反である。
一七.
国家公務員倫理法第3条1項違反である。
裁判所に近い一部の居住者のみの奉仕者となる。口頭弁論調書の情報は、「職務上知り得た情報」であり、その内容確認のための機会の提供について、裁判所に近い居住者の一部に対してのみ有利な取り扱いをすることになる。裁判所から遠い居住者に対して不利な取り扱いをすることになる。
当事者の負担のかからない容易な方法があるにも関わらず、負担のかかる煩雑な方法を強いるのは信義則違反である。国民本位の裁判制度とは言えなくなる。
一八.
高度情報通信ネットワーク社会形成基本法第一条(目的)、第三条(すべての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現)、第五条(ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現)、第六条(活力ある地域社会の実現及び住民福祉の向上)、第十一条(国及び地方公共団体の責務)、第十六条(高度情報通信ネットワークの一層の拡充等の一体的な推進)、第二十条(行政の情報化)、第二十一条(公共分野における情報通信技術の活用)に違反する。
一九.
国家公務員法第96条、全力専念遂行義務違反である。
二〇.
当事者の準備書面等は裁判所からFaxで送付されている。口頭弁論調書は当事者の準備書面と同様に、全当事者によって共有されなければならないものである。口頭弁論調書をFaxで送付することを妨げる法律の規定はない。社会通念上、合理的な理由はない。
国民利益優先の原則に反する。
二一.
民法1条2項に適合しない。信義則違反である。
本来、延岡支部に提出された訴状であるから、延岡支部で審理されなければならない事件であるにもかかわらず、裁判所の都合で甲の住所地延岡市から100km離れた宮崎市の裁判所に移送されたのであるから、遠隔地となった当事者に対して、最大限の便宜が図られなければならないにもかかわらず、図られなかったことは、信義則違反である。民法1条2項、民訴法2条に適合しない。
二二.
民法90条に適合しない。公序良俗違反である。
遠隔地居住者に対して便宜を図ることは公序良俗であるが、容易な便宜である、Fax謄写の不作為は公序良俗に反するものである。嫌がらせに等しい。
ドイツ民法第226条の嫌がらせ禁止規定に違反し、日本民法第1条の信義則に反する。甲に損害を与えることのみを目的とする不作為であった。不作為の濫用であり、職権濫用である。
信義誠実と良心に基づく人間社会を、不信と悪意に満ちた人間社会に導くものである。
ドイツ民法 第226条 (嫌がらせ禁止)
権理の行使は、それが他人に損害を与える目的のみを有するときには、許されない。
Bürgerliches
Gesetzbuch § 226 Schikaneverbot
Die Ausübung
eines Rechts ist unzulässig, wenn sie nur den Zweck haben kann, einem anderen
Schaden zuzufügen.
民法 (信義誠実原則)
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権理の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権理の濫用は、これを許さない。
(解釈の基準)
第二条 この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。
二三.
本件不作為は、法的根拠がなく、必要不可欠な不作為とは言えず、社会通念上合理性を欠くものである。当事者に対して著しい不利益を与えることとなり、公共の利益に反する。国民利益優先の原則に反する、全体の奉仕者の不作為である。全体の不奉仕者である。憲法15条に適合しない。
二四.
民事訴訟法第160条2 項に適合しない。憲法32条、31条に適合しない。「民事訴訟法第121条の規定により、異議申立書を提出する際に、異議申立理由を構成する必要がある」と、Fax謄写の必要性が明記されているにもかかわらず、書記官の不作為により、その目的が達せられなかったことは、民事訴訟法第160条2 項、調書異議申立権の侵害である。
二五.
公正適正裁判手続請求権の侵害である。憲法32条、31条に適合しない。
当事者には調書の閲覧謄写権があり、当事者の居住地の裁判所からの遠近の差によって差別されてはならない権理である。憲法14条(平等保護)、32条(公平裁判、当事者の衡平配慮義務)、31条(適正手続保障)、13条(個人の多様性尊重)により、当該権理は保障されなければならない。
二六.
憲法32条、適正裁判請求権により、当事者には調書の内容をすみやかに知らされる権理があるが、それが侵害された。それなしには適正公正裁判を受ける権理が侵されるものである。(笹田栄司著『実効的基本権保障論』318頁)
二七.
憲法21条、14条、32 条、31条、市民的政治的権理国際規約 第19条に適合しない。
民事訴訟法第160条2項の規定により、調書異議申立権を行使するためには、当事者が調書の内容を確認する機会が与えられなければならないが、容易に実行できるFax送信を拒絶することは、遠隔地居住者の調書異議申立権を侵害することとなり、同規定違反となる。民訴法91条3項違反である。公正適正裁判手続請求権の侵害であり、憲法32条、31条に適合しない。
裁判所の近隣居住当事者を有利に扱い、遠隔居住当事者を不利に扱うこととなり、平等保護違反である。憲法14条に適合しない。
調書の内容がいかに不正であったとしても、遠隔当事者が異議を述べられないようにしていること(Fax謄写を拒絶していること)は、表現の自由の侵害である。不合理な制限による、表現の自由の侵害である。憲法21条、市民的政治的権理国際規約第19条に適合しない。
同規約19条2項には、「口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む」と規定されており、当事者が自ら選択する方法であるFax送信によって調書の情報を求める自由を妨げることは、同規定に違反するものであり、表現の自由の侵害である。
二八.
虚偽の許可通知(3月24日)について
書記官はFax謄写を拒否しているが、仮に、許可されたのが事実であったとしても、2月26日から3月24日まで閲覧謄写拒否していた事実は残り、不法行為であったことに変わりない。
3月8日に500円の収入印紙と異議状が提出された後である。
市民的政治的権理国際規約 第19条
1 すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権理を有する。
2 すべての者は、表現の自由についての権理を有する。この権理には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
3 2の権理の行使には、特別の義務及び責任を伴う。したがって、この権理の行使については、一定の制限を課すことができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。
(a) 他の者の権理又は信用の尊重
(b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護
(手続保障としての「裁判を受ける権理」笹田栄司『実効的基本権保障論』318頁)
3 公正手続請求権の基礎的内実
憲法32条によって保障される公正手続請求権は、ドイツ憲法第103条の法的聴聞権、及び公正手続請求権の双方を含むものと解される。 そして、「訴訟当事者の自己の見解を表明する権理」、受け身ではない形で、「自己の権理または利益が不法に侵害されているとみとめ」出訴に及ぶ場合、訴訟当事者が裁判手続の単なる客体にとどまることなく裁判手続の過程そして結果に影響を行使しうることを「裁判を受ける権理」は保障しなければならない。手続きの主体としての訴訟当事者は裁判所に対する単なる情報の提供者にとどまることなく、手続過程に能動的にも影響を行使しうるものでなければならないのである。ここでは、ドイツにおける「法的聴聞権」に関する判例・学説が参考になる。第一に訴訟当事者の見解表明権が中心的役割を担う。訴訟当事者は主張そして立証についての十分な機会を持たねばならない。そしてそれが効果的に行使されるためには、裁判手続の始まり、その主要な事実そしてその目下の状態についての十分な情報が前提にされねばならない。即ち、裁判所は訴訟当事者に対する情報提供義務を有するのである。最後に、訴訟当事者によって申し立てられたものが裁判官に顧慮されないならば見解表明権はその異議を失うのであるから、裁判所の考慮義務が裁判を受ける権理の内実に含まれる。
ここでは、手続きの主体としての訴訟当事者の位置づけを裁判を受ける権理が憲法上保証しているという点について述べるにとどまるが、この観点から今後は現行の訴訟手続法そして裁判官による手続形成を吟味する必要がある。即ち、裁判を受ける権理が手続関係人に対し十分な見解表明の機会を保障するとすれば、「聴聞の機会を与える裁判所の日常的実践に一般的な秩序づけの枠組みを設定することを第一に任務とする」手続法は、訴訟当事者に対し、「その方針態度を決する負担を軽減し、救済を準備し、あるいは権理行使の限界を指し示す」ものでなければならない。従って裁判を受ける権理は、そのような訴訟手続法を制定する立法者に向けられると同時に、その手続法に従い手続き形成を行う裁判官にも向けられねばならない。現在の状況では、裁判官による裁量をコントロールするものとしての裁判を受ける権理の意義はとりわけ大きいと思われる。
以上の公正手続請求権の内実に加え、その前提として「裁判所へのアクセス」も公正手続き請求権の保障するところである。「訴訟費用救助」そして「裁判における言語(通訳)」といった問題も裁判を受ける権理にもとづく検討がなされる必要がある。
4 公正手続請求権と裁判官に対する行為規範
(1) 公正手続請求権は、裁判官による手続き形成に際し重要な意義を持つ。裁判官は訴訟法の解釈・適用に際し公正手続請求権をさらに具体化しなければならず、従って、「法規に従って手続きを実施する裁判所側に不当な選択ないし裁量権の行使があり、そのために当事者が不利益を受ける場合に公正な手続きを求める権理が問題になる。」ここで出発点になるのは、連邦憲法裁判所による「裁判官による手続き形成は、民事訴訟の当事者が手続きについて当然に期待して良いレベルのものでなければならない」とするテーゼである。(BVerfGE78,126=NJW1988,S.2787))
それはさらに、「裁判官は矛盾した行為を行なってはならず、自己のあるいは自己に帰せられうる瑕疵あるいは遅滞から手続上の不利益を導き出してはならず、そして具体的状況下での手続関係人に対する配慮を一般に義務づけられている」という原則に具体化されている。(BVerfGE78,126=NJW1988,S.2787))
第1節で述べたように手続きは、「相互運動構造」を有しており、訴訟当事者の行為は他の訴訟当事者そして裁判官の行為に関係づけられるのだから、「民事訴訟の当事者が手続きについて当然期待して良いレベル」が前提とされることが必要である。公正手続請求権はそれを憲法的に確保するものである。もちろん「手続きについて当然期待して良いレベル」とは具体性に乏しいといえるが、しかし、それは手続きの状況はさまざまでありうるからその時々に検討するしかないともいえる。そういった中で、弁護士によって代理されているか、従来の裁判手続の実践から逸脱していないか、訴訟当事者を誤解させるような裁判官の行動が存在しているか等が、その場合の考慮すべき要素として挙げられよう。
(2) 次に以上述べたこととも関係する「裁判官の指摘義務」の憲法的意義についてすこし具体的に検討を加える。
この問題が憲法的に意味を持つのは「不意打ち判決の禁止」の文脈においてであろう。ここで不意打ち判決とは、「”裁判所がその決定に至るまで討論されなかった法的観点をその決定の基礎とし、それでもって、それにより不利益を受ける手続関係人がこの時点までの手続きの経過によれば計算に入れる必要のない方向転換を法律上の争いに与えている場合に”、存すると解されるが、この問題は公正手続請求権の基礎的内実の内、「裁判所の情報提供義務」に関わる。
(中略)
ここでは、「見解決明の機会が、裁判所の一定の態度を当事者が信頼したことによって事実上無に帰しているような場合」について検射を加えたい。第一に、「裁判所が既にある法的見解を開示していた場合に、当事者に告知することなくそれを判決で突然に変更して新たな法律問題を取り上げる」場合、「原審判決の触れていない新たな法律問題を上訴審裁判所が裁量で取り上げる場合」を挙げられ
・・・・・・
14. 理由齟齬がある。理由に錯誤がある。理由に食違いがあること。(民訴法312条2-六)憲法32条に適合しない。
判決書2頁: 2 原審は,控訴人の従前の請求について,適法な住民監査請求の前置を欠くものと判断して,訴えを却下した。控訴人は,これを不服として本件控訴を提起するとともに,当審において,控訴人が問題としているのは財務会計法規とは無関係の独立した不法行為であると主張した(平成26年12月11日提出の・控訴理由書)。これは,従前の請求とはその法的根拠ないし法的構成を異にするものであって,訴えの追加的変更に該当すると解される(以下,この主張に係る請求を「当審追加請求」という。)。
「従前の請求とはその法的根拠ないし法的構成を異にするものであって,訴えの追加的変更に該当する」とあるが、法的根拠、法的構成を異にするものではない。
追加請求ではなく、当初からの従前の請求である。訴えの追加的変更には該当しない。
平成25 年10 月3 日付、求裁判状2頁5行目、3 頁4の趣旨、及び、事件名「公務談合損失補填請求事件」との命名から、原告が当初から官製談合による損失の補填を求めていたことは明白であり、それを無視し、曲解し、あるいは釈明審尋義務違反により、不適法として却下した第1審の判決は、破棄差し戻しを免れないものである。
控訴審判決は、民訴法307条の規定に反し、第一審裁判所に差し戻さなかった違法があり、破棄を免れない。
民訴法(事件の差戻し)
第三百七条 控訴裁判所は、訴えを不適法として却下した第一審判決を取り消す場合には、事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない。ただし、事件につき更に弁論をする必要がないときは、この限りでない。
15. 判例の誤適用:
原審に引用されている「最高裁平成14年10月3日第一小法廷判決・民集56巻8号1611頁」は、本件に必ずしも適切でない判例である。
原審は判例の適用を誤っている。適用すべき点と適用すべきでない点が混在している。
入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律が施行されたのは、平成15年1月6日であり、同判例の後である。また、関与職員の罰則規定が新設され、適用行為の拡大がなされたのは平成19年である。
平成19年以前の判例は、官製談合に係る本件に適切でない判例といえる。
殺人罪の時効が廃止された後に、以前の判例を適用することはできない。
入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(平成十四年七月三十一日法律第百一号)
1997年 最高裁平成14年10月3日第一小法廷判決・民集56巻8号1611頁(原事件番号
平成9(行ツ)62)
2002年7月 - 議員立法により制定
2002年10月 最高裁平成14年10月3日第一小法廷判決・民集56巻8号1611頁(原事件番号 平成9(行ツ)62)
2003年1月6日 - 施行
2006年12月 - 第165回臨時国会にて改正法が成立し、関与職員の罰則規定の新設や適用行為の拡大がなされた。
2007年3月14日 - 改正法施行
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16. 理由齟齬がある。理由に食違いがあること。理由に矛盾がある。(民訴法312条2-六)憲法32条、14条に適合しない。
原審判決は、8頁「富士通マーケティングとの関係について」において、官製談合に係る怠る事実については、1年の期間制限が及ばないとしながら、6頁「九鬼勉との関係について」では、1年の期間制限を適用し、却下していることは矛盾している。談合は相手があって初めて成り立つものであり、本件の官製談合の当事者は富士通マーケティングと九鬼勉であるから、どちらか一方に期間制限を適用し、他方に適用しない矛盾は許されない。
原審引用判例は、談合の当事者に公務員が含まれておらず、官製談合との主張はされていないのであるから、本件に適切でない。
求裁判状3頁4「「競争により相手方を選定する方法」により契約の相手方を選定しなければならないにもかかわらず、それを怠ることにより、相手方を特定の一者に限る随意契約を行うことは、第2条第5項「契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名すること」に該当し、入札談合等関与行為である。新規参入妨害であり、公共の利益に反するものである。」との主張、及び、
控訴理由書4頁:「原告が求裁判状3 頁目、4 に述べるところの趣旨は、九鬼勉が「職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」第2 条5 項の二「契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名すること、その他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し、又は示唆すること。」に該当する談合行為を行っているということである。その不法行為によってもたらされた延岡市の損害を補填すべきであるということである。事件名が、原告によって公務談合損失補填請求事件と命名されていることからも、この事件の本質として原告が捉えているところのものは、公務談合によってもたらされた損失を補填せよ、ということである。財務会計法規とは無関係の独立した不法行為である。独占禁止法上の不法行為である。」との主張が無視され、
入札談合等関与行為防止法第2 条5 項の二違反の不法行為、独占禁止法違反の不法行為を、単なる財務会計上の行為にすり替えて1年の期間制限を適用し、公務員の職権濫用を免責しようとする判決操作の違法がある。
強盗殺人者を匿うために、殺人罪ではなく、強盗罪の時効を適用するようなものである。
贈収賄の当事者について、一方に贈賄罪、他方に財務会計行為の違法を問うようなものであり、矛盾不平等の違法がある。
憲法14条に適合しない。公務員のみの不法行為を免責することは、不平等である。
17. 釈明審尋義務違反がある。以下の点について口頭弁論において釈明審尋がなされていない。
判決書6頁: (2)九鬼勉との関係について
‐
ア 証拠(乙1)によれば,延岡市を代表して本件委託契約を締結したのは被控訴人であり,九鬼勉は,その補助職員として関与したにすぎないことが認められるが,本件監査請求及び当審追加請求における控訴人の主張には,九鬼が補助職員としてであれ本件委託契約に係る不法行為をしたとの主張も含まれると解する余地があり,この場合も,本件監査請求の対象とした怠る事実と当審追加請求の対象となる怠る事実の同一性を肯定できる。
「補助職員として関与したにすぎない」との認識は誤りである。被告からそのような主張もない。
甲4号証「支出負担行為書」によれば、九鬼勉は「決裁者」であり、甲3号証によれば随意契約理由作成者である。甲2号証によれば起案責任者である。
地方自治法243条の二には「支出負担行為」をする権限を有する職員の賠償責任が規定されていることを見ても、九鬼勉が賠償責任を有するものである。九鬼勉が実質的な契約権限者である。
図書館は教育委員会の管轄であり、図書館長は図書館の長であるから、図書館に係る支出についての責任を負う者である。図書館は独立した事業体であり
、館長は、「図書館サービスその他の図書館の運営及び行政に必要な知識・経験とともに、司書となる資格を有する者を任命すること」と規定されている。(図書館法第七条の二 、図書館の設置及び運営上の望ましい基準4-(一)-1) 図書館長は、経営者であり、株式会社の社長に等しい。多くの図書館では図書館長の職席が広く公募されている。
図書館長である九鬼勉は、「補助職員」であるとはいえず、その官製談合行為は「補助行為」とはいえない。
そうすると、原審引用判例(最高裁平成14年10月3日第一小法廷判決 民集56巻8号1611頁)の適用に誤りがある。図書館長を補助職員、図書館長の行為を補助行為とみなして、当該判例を適用した違法があり、破棄を免れない。
仮に、図書館長が株式会社の代表取締役と同様に補助職員であるとしても、当該引用判例において、補助職員、補助行為を免責するような解釈は、公共奉仕者を特権差別的に免責しようとするものであるから、憲法14条に適合しないから無効といわざるをえない。
仮に、九鬼勉が補助職員として免責されるならば、その他の者で、責任を有する者に対して賠償が求められなければならない。
原告の訴状、求裁判状の請求の趣旨は、被告延岡市長に対して、損害賠償責任を有する者に対して賠償請求せよ、という趣旨である。監査請求の趣旨によれは、「契約当時の図書館長九鬼勉、及び決裁者延岡市長首藤正治は、連帯して、延岡市に与えた損害を補填するために、延岡市に対して14,454,300円支払うこと。」 (乙2) とあり、延岡市長が賠償責任を負うのであれば、被告延岡市長が延岡市長である自分自身に賠償を求めなければならない。
裁判所は、被告の主張がないにもかかわらず、図書館長を補助職員、補助行為として免責するならば、賠償責任を有する者を全て特定し、その者全てに対する損害賠償責任を負わせるべく判決をしなければならない。
本件官製談合について、官製談合は一人でなすことはできず、官である公務員の誰かと、その相手方があって初めて成立するものである。
一方が富士通マーケティング株式会社であるならば、その相手方の公務員が最低1人以上特定されなければならない。その特定義務を裁判所は負っている。そしてその公務員にも損害賠償請求がなされなければ、不平等不公正であり、憲法14条に適合しないこととなる。
それによって初めて原告の請求の趣旨がまっとうされるものである。
官製談合にかかわった公務員について、その「損害賠償を怠る事実」に関わる損害賠償の責任者であることを否定することはできない。(論理則、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律4条)
原告は官製談合を主張しているのであり、少なくとも延岡市の公務員の1人が責任を負う者であるから、その一人について、訴えが却下されていることは不当な判決である。
裁判所はその少なくとも1人を特定する判断、または特定するための釈明審尋義務を怠っているのであるから、破棄差戻しを免れない。
図書館法 (設置及び運営上望ましい基準)
第七条の二 文部科学大臣は、図書館の健全な発達を図るために、図書館の設置及び運営上望ましい基準を定め、これを公表するものとする。
図書館の設置及び運営上の望ましい基準(平成24年12月19日文部科学省告示第172号) http://www.mext.go.jp/a_menu/01_l/08052911/1282451.htm
4 職員
(一)職員の配置等
1 市町村教育委員会は、市町村立図書館の館長として、その職責にかんがみ、図書館サービスその他の図書館の運営及び行政に必要な知識・経験とともに、司書となる資格を有する者を任命することが望ましい。
2 市町村教育委員会は、市町村立図書館が専門的なサービスを実施するために必要な数の司書及び司書補を確保するよう、その積極的な採用及び処遇改善に努めるとともに、これら職員の職務の重要性にかんがみ、その資質・能力の向上を図る観点から、第一の四の2に規定する関係機関等との計画的な人事交流(複数の市町村又は都道府県の機関等との広域的な人事交流を含む。)に努めるものとする。
3 市町村立図書館には、前項の司書及び司書補のほか、必要な数の職員を置くものとする。
4 市町村立図書館は、専門的分野に係る図書館サービスの充実を図るため、必要に応じ、外部の専門的知識・技術を有する者の協力を得るよう努めるものとする。
(二)職員の研修
1 市町村立図書館は、司書及び司書補その他の職員の資質・能力の向上を図るため、情報化・国際化の進展等に留意しつつ、これらの職員に対する継続的・計画的な研修の実施等に努めるものとする。
2 市町村教育委員会は、市町村立図書館の館長その他の職員の資質・能力の向上を図るため、各種研修機会の拡充に努めるとともに、文部科学大臣及び都道府県教育委員会等が主催する研修その他必要な研修にこれら職員を参加させるよう努めるものとする。
18.
判決書7頁: ウ 本件では,本件委託契約は財務会計上の行為(随意契約)に該当し,九鬼勉は財務会計上の行為(随意契約)につき権限を有する職員を補助する職員に該当する。また,本件委託契約に先立ってなされたという控訴人主張に係る九鬼勉の公務談合行為は,上記の補助行為に該当する。
上記前項で述べたように、図書館長は、図書館の経営者であり、支出負担行為、契約起案行為について権限を有する者であり、それを補助する職員には該当しない。
図書館長は、公務談合行為、官製談合行為についての権限を有する者であり、それを補助する職員には該当しない。
公務談合行為は独立した不法行為である。補助行為ではない。
入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律 (職員に対する損害賠償の請求等)
第四条 各省各庁の長等は、前条第一項又は第二項の規定による求めがあったときは、当該入札談合等関与行為による国等の損害の有無について必要な調査を行わなければならない。
2 各省各庁の長等は、前項の調査の結果、国等に損害が生じたと認めるときは、当該入札談合等関与行為を行った職員の賠償責任の有無及び国等に対する賠償額についても必要な調査を行わなければならない。
3 各省各庁の長等は、前二項の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。
4 各省各庁の長等は、第一項及び第二項の調査の結果を公表しなければならない。
5 各省各庁の長等は、第二項の調査の結果、当該入札談合等関与行為を行った職員が故意又は重大な過失により国等に損害を与えたと認めるときは、当該職員に対し、速やかにその賠償を求めなければならない。
地方自治法(職員の賠償責任)
第243条の二 会計管理者若しくは会計管理者の事務を補助する職員、資金前渡を受けた職員、占有動産を保管している職員又は物品を使用している職員が故意又は重大な過失(現金については、故意又は過失)により、その保管に係る現金、有価証券、物品(基金に属する動産を含む。)若しくは占有動産又はその使用に係る物品を亡失し、又は損傷したときは、これによつて生じた損害を賠償しなければならない。次に掲げる行為をする権限を有する職員又はその権限に属する事務を直接補助する職員で普通地方公共団体の規則で指定したものが故意又は重大な過失により法令の規定に違反して当該行為をしたこと又は怠つたことにより普通地方公共団体に損害を与えたときも、また同様とする。
一 支出負担行為
二 第二百三十二条の四第一項の命令又は同条第二項の確認
三 支出又は支払
四 第二百三十四条の二第一項の監督又は検査
3 普通地方公共団体の長は、第一項の職員が同項に規定する行為によつて当該普通地方公共団体に損害を与えたと認めるときは、監査委員に対し、その事実があるかどうかを監査し、賠償責任の有無及び賠償額を決定することを求め、その決定に基づき、期限を定めて賠償を命じなければならない。
19. 新しい排除防止処罰法に反する犯罪擁護助長解釈の違法がある。
判決書7頁: イ 特定の財務会計上の行為が行われた場合において,これにつき権限を有する職員を補助する職員が行ったその補助行為は,財務会計上の行為と一体としてとらえられるべきものであり,補助行為の違法が財務会計上の行為の違法を構成する関係にあるときは,補助行為が違法であるとし,これに基づいて発生する損害賠償請求権の行使を怠る事実を対象としてされた監査請求は,実質的には財務会計上の行為を違法と主張してその是正を求める趣旨のものにほかならないと解される。
財務会計上の行為と一体としてとらえられるべきものもあるかもしれないが、一体としてとらえられないものもある。官製談合不法行為は、一体としてとらえられないものである。
「職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」4条5項が「当該職員に対し、速やかにその賠償を求めなければならない」と規定し、地方自治法243条の二が「権限を有する職員又はその権限に属する事務を直接補助する職員は、損害を賠償しなければならない。」と規定されている趣旨に反する解釈であるから無効である。損害賠償の時効は1年に制限されるものではない。怠る事実であっても行為の事実であっても、財務会計上の行為の違法であっても、1年に制限するための悪意ある解釈をすることはできない。特別に10日に制限し、1年に制限することは、「職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」が処罰を求めていることに反するものである。新しい法律の規定が古い法律の規定に優先される。新しい法律の規定に反する古い法律の規定は無効である。
平成19年3月に「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」の関与職員の罰則規定の新設及び適用行為の拡大がなされており、地方自治法第242条2項が昭和38年に追加された時よりも44年新しい排除防止処罰法律であるから、排除防止処罰法律の趣旨が優先適用されなければならない。
地方自治法第242条2項の1年制限規定は、40年以上新しい排除防止処罰法の規定に反して排除防止処罰効果を妨げるものであるから無効と解釈されるべきものである。憲法14条、32条、17条等に適合しないから無効であることについては冒頭1に述べたとおりである。
入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(平成十四年七月三十一日法律第百一号)
1963年 地方自治法242条2項 追加
1997年 最高裁平成14年10月3日第一小法廷判決・民集56巻8号1611頁(原事件番号
平成9(行ツ)62)
2002年7月 - 議員立法により制定
2002年10月 最高裁平成14年10月3日第一小法廷判決・民集56巻8号1611頁(原事件番号 平成9(行ツ)62)
2003年1月6日 - 施行
2006年12月 - 第165回臨時国会にて改正法が成立し、関与職員の罰則規定の新設や適用行為の拡大がなされた。
2007年3月14日 - 改正法施行
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20. 正当な理由の誤否認:憲法13条、39条、31条に適合しない。
判決書8頁1行目:九鬼勉に対し延岡市が被った損失額の補填を請求するよう求める部分は, 1年の監査請求期間経過後に提起されたことが明らかで,本件規定ただし書にいう「正当な理由」を認めるべき証拠はない。したがって,控訴人の当審追加請求に係る訴えのうち上記部分は,適法な住民監査請求の前置を欠くものであって,訴え却下を免れないというべきである。
控訴理由書6頁7~8、~13頁に述べられた「正当な理由」についての言及がなく、甲7~35号証が看過されている。人間の尊厳の侵害である。憲法13条に適合しない。
21. 以下の判断の遺脱がある。理由不備、判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があった。(民訴法第312 条6 項、第338 条1 項9 号)
判決書5頁 2 控訴人の従前の請求について
当裁判所も,控訴人の従前の請求については,訴えが不適法であり却下を免れないと判断する。その理由は,後記のほかは,原判決の「事実及び理由」中「第3 当裁判所の判断」1及び2に記載のとおりであるから,これを引用する。
一.控訴理由書3頁4:「地方自治法第242 条第2 項は、憲法に適合しないから無効である。」 についての判断の遺脱がある。憲法上の国民主権原理、14 条平等保護権、13 条個人の多様性尊重、幸福追求権、15 条全体の奉仕者、16 条損害の救済請願権、17 条国家賠償請求権、12 条自由権理保持努力義務、99 条憲法擁護義務、29条財産権に適合しないことについての判断の遺脱がある。
二.1 年に制限することの合理性がないことについての判断の遺脱がある。
三.公務員の悪を匿うという目的以外の国民利益にかなう合理的な理由はないことについての判断の遺脱がある。
四.控訴理由書6頁6 「法242 条2 項は、242 条1 項、法2 条14 項、236条時効5年帳簿保存義務、地方財政法4
条1 項の趣旨、憲法上の国民主権原理、第14 条平等保護権、13 条個人の多様性尊重、幸福追求権、15 条全体の奉仕者、16 条損害の救済請願権、17 条国家賠償請求権、12 条自由権理保持努力義務、99 条憲法擁護義務の趣旨を没却するものであること。」についての判断の遺脱がある。
五.甲6号証、地方自治法236条により、地方公共団体の予算執行職員等の賠償責任の時効は5年であること、市民による監査請求期間を4年以下に制限する合理的な理由はないことについての判断の遺脱がある。
六.市民を差別するものであり、憲法14条平等保護、憲法上の市民主権原理、29条市民納税者の財産保護権に適合しないことについての判断の遺脱がある。
七.地方自治法第236 条において、金銭債権の時効は5 年とされている趣旨を没却することとなることについての判断の遺脱がある。金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権理の時効は5年である。
八.地方自治体が帳簿類を5年以上保存する義務がある趣旨を没却することについての判断の遺脱がある。
九.税法上も帳簿類は5 年以上保存することが義務付けられている趣旨を没却することとなることについての判断の遺脱がある。
一〇.
会計法30条においても「国に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについて」の時効が5年との規定がある趣旨に矛盾し、没却することとなることについての判断の遺脱がある。
一一.
控訴理由書6頁7~8、13頁:「正当な理由」についての判断の遺脱がある。
一二.
「委託契約につき随意契約を締結することができるのが例外的であるか否かについて、一般市民に認知されているとはいえないこと」についての判断の遺脱がある。
一三.
7頁「住民が全ての支出項目について情報公開請求をすることを裁判官が期待することには無理があるといわざるをえないこと」についての判断の遺脱がある。
一四.
「文書が開示される日時は、市役所の営業時間内に限られるのであるから、一般的な会社勤めの市民が平日に市役所まで出向くこと自体が不可能であり、開示される膨大な文書を閲覧する時間をとることなどは到底不可能であること」についての判断の遺脱がある。
一五.
「「住民生活に光をそそぐ交付金事業費」について情報公開請求がなされたのは、原告によるもののみであり、他の12 万人の市民からは1 件も請求された事実はない。(甲7) 」のであるから、一般市民が情報公開請求をすることを前提とした原審の判断には誤りがあることについての判断の遺脱がある。
一六.
「仮に、ある契約が随意契約であることを知ったとしても、その違法性について知ることができるとは限らないのであるから、違法性について知ることができるまでの期間には個人差が考慮されなければならない。(憲法13 条)」ことについての判断の遺脱がある。
一七.
「随意契約であることが必ずしも監査請求をするに足りる程度の重要な事実とは言えるものではないこと」についての判断の遺脱がある。
一八.
「遅くとも平成24 年9 月ころには、市の住民において相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度には,本件委託契約の締結及びそれに基づく公金の支出の存在及び内容を知ることができた」という原審の判断は誤りであり、基準点は、実際に知ることができたのはいつか、ということのみであること」についての判断の遺脱がある。
一九.
「図書館側の不開示決定や、過少開示、開示決定期間の延長等を考慮すれば、4ヶ月以上かかったとしても却下することのできるものではない。」こと、(甲11、12,31,32)についての判断の遺脱がある。
二〇.
悪意ある不開示決定、過少開示、期間延長等を裁判所が奨励することとなる論理を、正義を繁栄させるべき裁判所が採用すべきではないことについての判断の遺脱がある。
二一.
司法警察官が犯罪に関する端初を掴んでから、実際に検察官によって起訴されるまでの期間は4ヶ月以上かかることが普通であることを考慮すれば、一般的な市民に対して、支出事実を知った時から4ヶ月以内に起訴、監査請求しなければならないとすることは、道理に反し、経験則、論理則、公序良俗、信義則違反であることについての判断の遺脱がある。
二二.
控訴理由書8頁8: 4ヶ月後が相当な期間内ではないという、期間の基準についての法的根拠が無い。憲法13 条、31 条、76 条3 項、39条、市民的政治的権理国際規約15
条、世界人権宣言第1 条、法の不遡及原則に適合しないことについての判断の遺脱がある。
二三.
「行政事件訴訟法に規定される出訴期間の6ヶ月以上でなければならないこと」についての判断の遺脱がある。
二四.
地方自治法第242 条第2 項には「1 年」以外の明示的な制限期間は規定されていないのであるから、1 年以下の恣意的な期間を設けることは法治国家の原理に反し、善良な国民に対する不意打ちであり、法による適正手続違反であり、憲法31 条に適合しない」ことについての判断の遺脱がある。
二五.
裁判事が悪を匿う論理を採用することは、正義に反し、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」と規定されている憲法9 条に適合しない。」ことについての判断の遺脱がある。
二六.
「善良な市民による合理的な監査請求を特別な理由なく却下することは、地方自治法2 条14 項が事務処理にあたって最小の経費で最大の効果を挙げるべきことを求め、地方財政法4 条1 項が地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最小の限度をこえてこれを支出してはならない、との規定の実現を妨げるものであり、正義の実現を妨げるものである」ことについての判断の遺脱がある。
二七.
身分が公務員であるということのみの理由で、不正な経理でも1 年間隠し通せば時効になるというような規定は、善良な市民の正義の感覚に反すること、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」と規定されている憲法9 条に適合しないこと、公務員を特別優遇差別するものであり、憲法14 条、国民主権原理に適合しないことについての判断の遺脱がある。
二八.
控訴理由書10頁:原告が行った情報公開請求の経緯(甲8~35)をたどれば、監査請求に至るまでの期間が4 ヶ月以上あったとしても、いたずらに徒過しているとはいえないこと」についての判断の遺脱がある。
二九.
「住民生活に光を注ぐ交付金」に関する情報開示は5 月2 日であり、その日から起算すれば、監査請求まで4 ヶ月経過していない。」ことについての判断の遺脱がある。
三〇.
5月20 日の随意契約に関する情報開示から起算すれば、監査請求まで4 ヶ月経過していない。」ことについての判断の遺脱がある。
三一.
8
月15 日の図書館の23 年度の起案文書の情報開示日から起算して、2 週間以上経過していない。」ことについての判断の遺脱がある。
三二.
1年が短すぎることは、それが1ヶ月であれば短すぎることと同様に、違憲であることについての判断の遺脱がある。
三三.
知ってから4ヶ月が短すぎることは、それが1週間であれば短すぎることと同様に、違憲であることについての判断の遺脱がある。
22. 訴訟手続違背があった。憲法32条に適合しない。適正手続裁判請求権の侵害があった。
判決5頁 (2) 原判決10頁4行目の「適用すべきのである」を「適用すべきものである」と改め,15行目の「主張しているところ」の次に「(原審第1回口頭弁論調書参照)」を加える。
とあるが、「原審第1回口頭弁論調書」の記載に誤りがあることは、平成25年12月24日付け「第1回口頭弁論調書異議」で原告が述べたとおりである。誤った調書の記載に基づいて、判決がなされたものであるから、判決は破棄されなければならない。
「『「怠る事実」として主張する損害賠償請求権及び不当利得返還請求権の不行使について、当該請求権は、違法な随意契約であること、及び、入札談合等関与行為(官製談合)であることから発生するものである。』 と原告は述べたが、それが記載されていない。記載を求める。」と「第1回口頭弁論調書異議」の中で述べられているが、その異議について、当該第1回口頭弁論調書に記載されておらず、民事訴訟法第160 条2 項の規定に違反している。
異議があったにもかかわらず、異議に関する裁判が行われず、異議の内容についても当該調書に記載されていないのであるから、その調書の内容は無効である。
異議に関する裁判の不作為、及び異議の内容についての調書への不記載は裁判官の責任であるから、原告の異議主張が採用されなければならない。
無効な調書に基づいてなされた判決は無効であるから、破棄されなければならない。
原告の調書異議権、調書訂正権が侵害された原審判決は、公正裁判請求権の侵害であるから、破棄されなければならない。
第一審第一回口頭弁論は、内藤裕之裁判長による誤導口頭弁論であった。内藤裕之裁判長が被告を勝たせるため、訴えを却下するために、調書に記載したいことを原告に言わせようとしたものである。原告の主張は、訴状の内容のとおりであり、それに反する、第一審第一回口頭弁論の記載事項は無効である。無効である記述に基いてなされた控訴審判決は破棄されなければならない。
著しい訴訟手続違背であるから、判決は破棄されなければならない。憲法32条に適合しない。
1. 誤導口頭弁論 裁判官の独立侵犯 憲法76条3項、32条
2. 誤導口頭弁論調書 裁判官・書記官の独立侵犯 憲法76条3項、32条、
3. 不正な調書の作成 刑法第155条公文書偽造罪
4. 調書異議に関する裁判不作為 民訴法160 条2 項 憲法32条
5. 調書異議の内容についての当該調書部分への不記載 民訴法160
条2 項
23. 追加請求ではなく、当初からの請求であること
5頁3:控訴人の当審追加請求について
(1)控訴人の当審における主張の内容
ア 控訴人は,本件で問題としているのは九鬼勉の談合行為(財務会計法規とは無関係の独立した不法行為)であって,公務談合によってもたらされた損失の補填を求めるとし,具体的には,第2の3(2)イのとおり主張する。
「控訴人の当審追加請求」とあるが、追加請求ではなく、当初からの請求である。
従来からの請求内容を内藤裕之裁判長の誤導口頭弁論調書によって故意に歪曲させようとしたことは、判決の破棄差戻し理由となる。
平成25
年10 月3 日付、求裁判状2頁5行目、3 頁4の趣旨、及び、事件名「公務談合損失補填請求事件」との命名から、原告が当初から官製談合による損失の補填を求めていたことは明白であり、それを無視し、曲解し、あるいは釈明審尋義務違反により、不適法として却下した原審の判決は、破棄差戻しを免れない。
控訴審判決は、民訴法307条の規定に反し、第一審裁判所に差し戻さなかった違法があり、破棄を免れない。
24. 釈明審尋義務違反があった。
判決書9頁: ウ そこで,富士通マーケティングが九鬼勉との間で控訴人の主張するような契約代金を不当に高額なものとする談合と目すべき行為を行ったか否かについて検討するに,本件全証拠によってもこれを認めることはできない。
エ したがって,控訴人の当審追加請求中,富士通マーケティングに対し延岡市が被った損失額の補填を請求するよう求める部分は,理由がないというべきである。
求裁判状裁判3頁4に述べられているように、「競争により相手方を選定する方法」により契約の相手方を選定しなければならないにもかかわらず、それを怠ることにより、相手方を特定の一者に限る随意契約を行うことは、第2条第5項「契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名すること」に該当し、入札談合等関与行為である。新規参入妨害であり、公共の利益に反するものである。
九鬼勉と富士通マーケティングは、「職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」第2 条5 項の二「契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名すること、その他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し、又は示唆すること。」に該当する談合行為を行っている。(甲2,3,4,6,7)
契約代金が不当に高額であることについて:
「競争により相手方を選定する方法」によれば、複数の入札者の価格からもっとも低価格な相手方を選定することとなるのであるから、それを怠ることは、もっとも高価格な相手方を選択したこととなる。不必要に高額な契約の相手方を選択したこととなる。
契約代金が不当に高額であることは、「職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」第2 条5 項の二「契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名すること、その他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し、又は示唆すること。」を行い、他の事業者の競争の機会を奪ったことのみで十分に証明されている。
契約代金が不当に高額であることについては、訴状却下判決が破棄された後、口頭弁論において、釈明審尋により、明らかにされるべきものである。
民訴法307条の規定により、「訴えを不適法として却下した第一審判決を取り消す場合には、事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない」のであるから、そうすることなしに、「不適法却下の是非」以外の争点を持ちだして、棄却判決することは当事者に対するびっくり判決であり、不意打ち判決であるから、憲法32条に適合しないので、破棄されなければならない。
仮に、第一審裁判所に差し戻さないことが許されるとしても、控訴審において、裁判長は、新しい争点について、釈明審尋する義務があったが、それを怠り、判決を急いだことは、審理不尽であるから、憲法32条に適合せず、破棄差戻しを免れない。
判決に影響を及ぼすべき法令の違反がある。
憲法32条に適合しない。民法1条2項信義則、民訴法2条信義則に適合しない。
未だ本案に関する口頭弁論は行われていない。裁判官から当事者に対して本案の審理に入る旨の通知も受けていない。
当該争点「契約代金の高額性」については口頭弁論が行われておらず、釈明審尋も行われていないのであるから、民訴法87条、「当事者は口頭弁論をしなければならない」との規定との規定に違反するものである。判決は不正であるから破棄差戻しが相当である。
原告は、本案に入ることが決定された後、あらためて新争点について詳細な主張立証を行う予定であったが、その機会が奪われた。
遠方の他の自治体の図書館システムの事例等の調査等も必要となり、コストがかかるので、本案に入ることが決まらない間は、損害額を確定するための詳細な証拠の提出を留保する権理があり、相当な理由がある。
求裁判状、5頁末尾にも、「証拠書類:その他必要に応じて提出する。」との記載があり、必要に応じて、立証されることが明示されている。裁判官によってその必要性が示されていなかったのであるから、釈明審尋義務違反であり、審理不尽である。訴訟手続違反である。憲法32条に適合しないから、破棄されなければならない。
監査請求が不適法却下された以上、30日以内の出訴期限内にその不当性を主張することが急務であり、1審判決が不適法却下している以上、その不当性を主張すること以外は原告の眼中にはなかったことである。それ以外の争点については、不適法却下判決の破棄が確認されてから、差し戻し審の本案審理において主張立証の機会が与えられなければならないものである。民訴法307条の訴訟手続違背がある。
釈明権不行使が違法となる基準
釈明してやれば当事者が容易に応じ判決の結論が変わることが明らかなような場合には、釈明義務がある。
行政事件訴訟では、その判決が公益に及ぼす影響が小さくないことを考慮して、職権証拠調べが規定されている(行訴法24条)。この規定の基礎にあるこの考えは、事実の主張責任についても妥当し、裁判所は公益との関連性が顕著な事件にあっては、適正な裁判の実現に必要な事実の主張を当事者に促すように積極的に釈明権を行使することを通常の場合に以上に要請されるとの見解もある(最高裁判所
平成22年1月20日 大法廷 判決(平成19年(行ツ)第260号)の裁判官田原睦夫の補足意見)。もし、この場合に釈明権の行使を怠れば、それが審理不尽の違法をもたらし、上告審による破棄理由になる。この論理の枠組自体は通常の場合と同じであるが、裁判所の釈明義務を強調するために(あるいは強めるために)行訴法24条の基礎にある考えが援用されていることに注意してよいであろう。 (甲37)
http://civilpro.law.kansai-u.ac.jp/kurita/procedure/lecture/trial2.html
25. 訴訟手続違反:裁判の脱漏があった。
判決書9頁 :第4 結論
よって,控訴人の従前の請求について,当裁判所の上記判断と同旨の原判決は相当であり本件控訴は理由がないからこれを棄却し,当審追加請求中九鬼勉に対し延岡市が被った損失額の補填を請求するよう求める部分は,不適法であるから却下し,その余の当審追加請求は理由がないから棄却すべきであるから,主文のとおり判決する。
この結論は誤りであり、次のように訂正されなければならない。
「よって、控訴人の従前の請求について、却下した原判決は不当であるからこれを破棄し、第一審裁判所に差し戻す。」
当審追加請求中・・・云々は、もともとの従前の請求中に含まれていたものを、第一審裁判所の故意過失により、裁判を脱漏したものであるから、民訴法258条の規定により、第一審裁判所に差し戻さなければならない。
民訴法(裁判の脱漏)
第二百五十八条 裁判所が請求の一部について裁判を脱漏したときは、訴訟は、その請求の部分については、なおその裁判所に係属する。
(事件の差戻し)
第三百七条 控訴裁判所は、訴えを不適法として却下した第一審判決を取り消す場合には、事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない。ただし、事件につき更に弁論をする必要がないときは、この限りでない。
(第一審判決が不当な場合の取消し)
第三百五条 控訴裁判所は、第一審判決を不当とするときは、これを取り消さなければならない。
(第一審の判決の手続が違法な場合の取消し)
第三百六条 第一審の判決の手続が法律に違反したときは、控訴裁判所は、第一審判決を取り消さなければならない。
26. 以上のとおり、法令の解釈に関する重要な事項を多く含むので上告受理理由がある。 (民訴法318条、上告受理理由)
27. 以上のとおり、多くの論点において、最高裁の判例がないか、あるいは判例があったとしてもその誤りを指摘し、判例の変更を求めるものであるから、上告受理理由がある。
(民訴法318条、上告受理理由)
28. 以上のとおり、原審判決が破棄されるための十分な理由がある。
以上
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平成27年4月17日
平成27年(行ノ)第1号 公務談合損失補填請求控訴事件
上告人 岷民蟬
被上告人 延岡市長 首藤正治
原審
福岡高等裁判所宮崎支部
平成26年(行コ)第9号
原審 宮崎地方裁判所平成25年(行ウ)第6号
上
告 (受 理 申 立) 理 由 補 充 書
最高裁判所 御中
上告人 岷民蟬
上告受理申立の理由を次の通り補充する。
理由の補充
1. 4月15日付上告受理申立理由書34頁、24.釈明審尋義務違反、審理不尽について:
名古屋地判平成21年12月11日 平成19年(ワ)第360号損害賠償請求事件によれば、次の判示があり、原告(上告人)の主張もこのとおりである。
すべての入札参加者間で公正な価格競争を排除する受注調整が図られたことが認められる場合には,仮に公正な価格競争が行われても,現実の落札価格ないし契約金額を下回る価格で入札をする業者がなかったことをうかがわせる特段の事情がない限り,想定落札価格(談合行為がなく公正・自由な価格競争が行われた場合に形成されたであろう落札価格)を上回る契約金額で請負契約が締結され,発注者にその差額分の損害が生じたものと推認するのが相当である。
しかるに,本件各工事について原告が設定した予定価格との関係において,本件5社の価格競争力を前提としてもコストダウンに限界があり,現実の契約金額(本件各工事については,予定価格と一致する。)を下回る価格での応札が不可能であったものとは,本件全証拠によっても認められず,仮に公正な価格競争が行われても,現実の契約金額を下回る価格で入札をする業者がなかったことをうかがわせる特段の事情は認められない。したがって,本件各工事に関する談合により,原告には,想定落札価格と現実の契約金額との差額分の損害が生じたものというべきである。
名古屋地判平成21年12月11日 平成19年(ワ)第360号損害賠償請求事件 http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=38426
この判例が最高裁で覆されたとの記録はないので、原審判決は最高裁判例と相反する判断があるといえる。(民訴法318 条、上告受理理由)
2. 上告受理申立理由書34頁、24.釈明務違反、審理不尽について:
甲52,53,54,55,56,57,58,59号証により、図書館システムには多様な選択肢があり、システムの移行によりコストが半分以下、5分の1以下になった事例があることが認められる。延岡市立図書館においても競争入札に付し、コスト削減努力を怠らなければ、5分の1以下のコストで収まったはずである。5分の4以上の損害賠償責任を負う。
2014年の国会図書館の次期システム競争入札に際し、国会図書館の保守運用業務を担当する日立製作所の社員が、入札に関する他社の提案や見積書を不正に取得し、営業担当者ら4人に情報を提供したことが報じられている。(甲55)
図書館システムの競争入札に際しても不正が横行しており、本件延岡市立図書館の官製談合もその一つである。
3. 上告受理申立理由書15頁、10口頭弁論の公開の規定に違反したことについて:
1月30日の判決期日は他の6事件の判決期日と同一の日時であった。
理論的に、同一裁判官が同一日時に複数の事件の判決口頭弁論を行うことは不可能であるから、このような期日の指定は違法である。
実行不可能な口頭弁論期日を指定することは、指定された当事者及び一般公衆傍聴人に対して、口頭弁論を公開しなかったこととなる。判決口頭弁論の公開の規定に違反したといえる。
同一日時に指定することにより、裁判官が、判決のための時間を全く取る気がないことが示されており、当事者の憲法上の基本権、法的審尋請求権を侵害するものである。人間の尊厳を侵すものである。憲法13条、32条に適合しない。
4. 上告受理申立理由書に述べられた理由により、多くの点で、原審判決は日本の最高裁判所に相当するドイツ連邦憲法裁判所の判例に相反する違憲な判決であるから、上告受理理由となる。(甲50,49,38)
両国において効力を有する市民的政治的権理国際規約に規定される基本的人権が両国で異なることがないように、憲法の規定における基本的人権も両国で異なることはない。
以上