フランスでは当事者の同意があれば、電子的な送達が可能です。
日本の裁判所は時代遅れが甚だしくなりすぎています。
日本の法学者、弁護士、国会議員たちは、一体、何してるのでしょうか?
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日本の裁判所は時代遅れが甚だしくなりすぎています。
日本の法学者、弁護士、国会議員たちは、一体、何してるのでしょうか?
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第368号コラム「フランス民事訴訟法にみる電子情報通信技術の利用」
第368号コラム:町村 泰貴 理事
(北海道大学大学院 法学研究科 教授)
題:「フランス民事訴訟法にみる電子情報通信技術の利用」
(北海道大学大学院 法学研究科 教授)
題:「フランス民事訴訟法にみる電子情報通信技術の利用」
フランスの民事訴訟法は、1975年にできたものだが、その後今日まで極めて多くの改正が施されており、日本の民事訴訟法の改正頻度とは比べ物にならないほどの手直しがなされている。これは、日本の民事訴訟法が国会の議決によって制定される法律であるのに対してフランス民事訴訟法は行政立法の一種であるデクレという方式で制定されることにも理由がある。しかし、それにしても頻度は違いすぎる。
その改正頻度の多さは、当然ながら、新しい状況に即応した規定の整備が進むという長所も併せ持っている。デジタル・フォレンジックの観点から関心がある電子情報通信の利用についても、多くの改正が施されているところである。このコラムでは、そのいくつかを紹介しよう。
まず、電子署名の利用については、「証拠法の情報技術への適合および電子署名に関する2000年3月13日法律2000-230号」が、フランス民法典の多くの条文において電子情報と電子署名の民事裁判における利用を認めた。特に民法典1316-4条2項は、電子署名がなされた場合に、署名と文書との関係を保証する信頼性を備えていなければならないとし、この信頼性はコンセイユ・デタのデクレが定める条件の下で電子署名が作成され、署名者の特定が確保され、文書の完全性が保証されている場合に、反対証明がない限りで、推定されると規定する。コンセイユ・デタというのは上記の行政立法を作成する機関であるとともに、行政裁判所系列の最高裁でもある特殊なフランス的機関である。ここでいうコンセイユ・デタのデクレとは、「民法典1316-4条の適用および電子署名に関する2001年3月30日デクレ2001-272号」で、電子署名にまつわる各種定義規定と、セキュアであることの要求水準が抽象的に規定され、さらなる具体的な規定は内閣総理大臣のアレテ(省令から告示の性質を持つ下位行政法令)に委ねられている。また、日本の電子署名電子認証法と同様に、電子認証機関についても定められている。このデクレは、上記法律の約1年後に制定された。
これに伴って民事訴訟法典は2002年12月3日のデクレで、電子署名の偽造が争われた場合の規定(287条)が規定された。また、2012年12月28日のデクレでは、電子媒体による判決原本の作成を認めたが、その際の署名には2001年3月30日のデクレが要求するセキュリティを必要としている。
次に、電子的手段による送達については、「民事訴訟、執行手続および氏の変更手続に関する2005年12月28日デクレ2005-1678号」により、民事訴訟法典に「電子的手段による伝達」と題する第21編(748-1条から748-6条まで)が加えられた。基本的な骨格はこの規定が現在にも続いており、電子的手段による送達は当事者の明示の同意を必要とすること、原本が紙媒体で作成されている場合は、その提出を裁判官が求めうること、執行文付判決正本の受領は紙媒体を要求する権利が当事者にあること、具体的な手順は法務大臣(国璽尚書)のアレテによることなどである。
この規定はその後、2008年5月22日デクレ2008-484号、2009年12月9日デクレ2009-1524号、そして2015年3月11日デクレ2015-282号による改正を経て、対象文書が拡大するとともに、当事者の同意は弁護士等が代理人に付いている場合には原則として要求されず、正式な司法ネット以外の電子メールやSMSによる通知も可能となるなど、拡大している。
送達に関しては、日本と異なり、弁護士の他に、送達や事実確認などを行う自由業職である執行士が、最も形式の慎重な送達を担っている。そこで執行士の職務との関係で電子的送達は別途規定があるし、また執行関係でも電子的手段の利用が進んでいる。これらの紹介はまた別の機会にすることとしたい。
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