2013年3月30日土曜日

地域協議会制度は反民主的である

北川町地域協議会議事録を閲覧しました。
平成19年から現在までの分です。

地域協議会制度は非民主的です。
委員は団体の長ばかりです。ヤクザ団体でも長は長です。
市長が任命するのが建前ですが、北川支所の役人が選別するのが実態です。
地域自治区の大義名分を借りて、役人専制政治の隠れ蓑としています。


上越市では公募公選制です。

地域自治区の仕組み



北川町では年に3回~5回開かれています。
発言者は少数常連で、全く発言記録がない委員も有るようです。
年間の発言回数の統計をとってみる必要があります。
全く意見のない委員は解任されなければなりません。


北川町地域協議会委員名簿
(平成24年4月1日~平成26年3月31日) 発言回数
区分 氏名 所属等 第1 第2 第3
1   1号委員   小野 正勝 北川町区長連絡協議会長 1 2 3
1号委員    井本喜代治 北川町自治公民館連絡協議会副会 2 2
3   1号委員     児玉 万 北川町区長連絡協議会副会長 1 1 2
4   1号委員   矢野 初美 延岡市地域婦人連絡協議会   北川支部長 8 7
5   1号委員   吉田學 北川地区高齢者クラブ連合会長 1
6   1号委員    須藤 暁 北川中学校PTA会長 2 1
7   1号委員   長瀬 一己 北川漁業協同組合代表理事組合長 5 19 3
8   1号委員   佐藤 友一郎 北川町園芸組合長 2 8 4
9   1号委員    見玉 繁良 北川町生産森林組合連絡協議会長
10  1号委員   小野節子 北川町商工会婦人部長 1 1
11  2号委員   小谷謹一 前北川町地域協議会長
12  2号委員      矢野茂  元町議 1
13  2号委員     柴田マヤ 北川小学校 P T A会長
14  2号委員     小野 久子 延岡市社会教育委員 2 2
15  2号委員   早瀬順一郎 北川ゃっちみろ会会長 7 1
※協議書      第8条第2項第1号委員…公的団体等を代表する
第8条第2項第2号委員…学識経験者
※所属等は、 推薦時点の役職

2013年3月27日水曜日

請願書に対する審議結果報告

が届きました。絶望的な延岡市議会です。
過去に、延岡市議会が市民の利益のために議決したことがあるのかどうか、確認してみる必要があります。
明らかな条例の誤り指摘にも応じない延岡市議会です。

まともなパブリックコメントとは: 請願書5件提出 参照




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延市議第266
平成253 25

延岡市議会議長 佐藤 勉

陳情の審議結果について

平成2535日に提出されました、下記陳情5件について、その審議結果をご報告いたします。


(陳情件名) 電子メール応答48時間規則条例の制定を求める陳情
(審議結果) 上記陳情につきましては、審議の結果、平成253月定例市議会において以下の理由により不採択となりました。
〔理由〕
市民からの電話やメール、手紙などによる問合せの対応についての問題は、行政が迅速な対応に努めるとともに、議会としてもそれが徹底されるようチェック機能を果たすことによって解消を図るべきであること。

(陳情件名)延岡市行政手続条例の改正を求める陳情
(審議結果)
上記陳情につきましては、審議の結果、平成253月定例市議会において以下の理由により不採択となりました。
〔理由〕
本陳情の趣旨の一部については理解できる点があるものの、市民生活の方向性を示したり、影響を及ぼすマスタープランや指針を作成するにあたり、所管課が最も効率的な方法でそれぞれ審議会や委員会で学識経験者等の意見を聞いたり、懇話会や意見公募、アンケートを実施するなど、様々な分野で、市民の意見を聴くように努めていること。


(陳情件名) 意見公募手続条例の制定を求める陳情
(審議結果) 上記陳情につきましては、審議の結果、平成253月定例市議会に
おいて以下の理由により不採択となりました。
〔理由〕
陳情第16号と同様、市民生活の方向性を示したり、影響を及ぼすマスクープランや指針を作成するにあたり、所管課が最も効率的な方法でそれぞれ審議会や委員会で学識経験者等の意見を聞いたり、懇話会や意見公募、アンケートを実施するなど、様々な分野で、市民の意見を聴くように努めていること。

(陳情件名) 延岡市議会基本条例案に関する意見公募手続の再実施を求める陳情
(審議結果) 上記陳情につきましては、審議の結果、平成253月定例市議会において以下の理由により不採択となりました。
〔理由〕
延岡市議会基本条例案に対するパブリックコメントについでは、実施した結果、1件の意見を正式に受理し、その意見概要は市ホームページに掲載し、意見に対する市議会の考え方とともに公表したこと。また、条例案に関しては、パブ、リックコメントに加え、さらに広く市民からの意見を直接伺うことも必要であるとの観点から、市内11会場での市民説明会を開催し、145人の市民に参加いただいた。その中からは、議会に対する厳しい意見のほか、基本条例制定に伴う議会に対する一定の評価もいただくとともに、今後への期待なども含め、条例案及び市議会に対しての大変貴重な意見を数多く伺うことができたこと。

(陳情件名) 延岡市議会基本条例案に関する意見の賛否表明を求める陳情
(審議結果) 上記陳情につきましては、審議の結果、平成253月定例市議会に
おいて以下の理由により不採択となりました。
〔理由〕
議会基本条例制定特別委員会作成の基本条例案は、他議会の制定条例の研究や先進地視察の実施、また、市民約2,800人に協力をいただいた議会に関するアンケート結果等を参考にしながら、約2年間にわたる協議を重ね作成してきたものであること。また、特別委員会作成の条例案については、完成後、条例制定の趣旨や、制定後に議会が目指す取り組みを市民へ直接説明し、意見を伺うための市民説明会を実施した中で一定の評価が得られたと考え、平成253月定例会において、特別委員会作成の条例案が提案・審議され、可決されたこと。

行政文書開示請求書補正要求書に対する異議申立て

公的個人認証サービスの電子署名付き「行政文書開示請求書」を電子メール書面で提出したところ、「電磁的記録は書面に該当しないため、書面の開示請求書を直接又は郵送にて提出してください。」と補正要求が来ました。
情報公開の多費用化、困難化、遅延化工作です。
提出方法の選択の自由、幸福追求権の侵害です。
異議申立てしました。


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平成25324
 延岡市長 


異議申立書

 次のとおり、異議を表明する。


2 異議申立てに係る処分
延岡市長が平成25321日、延総第134号「行政文書開示請求書補正要求書」により異議申立人に対して行った、平成25318日付け「行政文書開示請求書」に対する補正要求

3 異議申立てに係る処分があったことを知った年月日
平成25322

4 異議申立ての趣旨
  1 補正の利益がないから、今後、同様の補正要求をしないことを求める。
  2 補正要求の理由に正当性が不足しているから、今後、同様の補正要求をしないことを求める。
3「補正要求書」の「要求」は、「依頼」「必要通知」等に改めることを求める。

5 異議申立ての理由

行政文書開示請求書補正要求書の中に次の記載がある。
「補正を求める事項: 延岡市情報公開条例第41項で、開示の請求は書面を提出してしなければならないと規定されており、電磁的記録は書面に該当しないため、書面の開示請求書を直接又は郵送にて提出してください。」

  電子メールは書面である。
理由1: 経験則により、電子メールを受信した者の前面には、文字が書かれており、文章が書かれている。書かれている面であるから、書面である。電子メール受信可能者=書面受領者である。PDF文書のやり取りによる書面交換は世間一般的に行われているところであり、特殊な事例ではない。電子メールが書面であることを否定することによって得られる利益はない。ペーパーレス化の推進による行政効率化は国策である。

理由2: 申立人は説明文中において、印刷して受け付けるように指示している。(別紙参照)又、総務課の担当者から電話があった時に、「印刷して、受け付けるように」重ねて求めた。印刷した時点で紙の書面となることから、書面に該当する。受領することを妨げることのできる障害はない。

理由3 申立人は念の為に、延岡市発行の住基カードの電子証明書による電子署名を付している。電子署名法第三条により、真正に成立したものとみなされる。押印付き紙書面と同価である。
国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与するための法律に基づいて作成されている市民の書面である。

電子署名及び認証業務に関する法律(目的)--------------------------------------
第一条  この法律は、電子署名に関し、電磁的記録の真正な成立の推定、特定認証業務に関する認定の制度その他必要な事項を定めることにより、電子署名の円滑な利用の確保による情報の電磁的方式による流通及び情報処理の促進を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
   第二章 電磁的記録の真正な成立の推定
第三条  電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。----------------------------------------------------------------------------

理由4 電磁的記録の中には「書面、書籍、図面、画像、動画、音声、音楽、電子証明書、署名、プログラム…」等として分類されるものがある。条例規定の様式第1号の書面として認識されうる形態において提出された開示請求書であるから、書面であり、補正を必要とする特別な理由はない。情報開示請求の目的を達成することを困難にするいかなる障害もない。
非電磁的記録の中には、「紙書面、木簡、図画、写真、壁画、記憶、書籍、記念碑…」等の分類細目がある。電磁的記録であるか否かは、書面であるか否かの判定とは無関係である。

理由被申立人は「開示請求に関わる行政文書の名称又は内容」を正確に記載していることから、開示請求書の内容については正確に解読されていること、構成を変更する必要はないことが明らかである。書面でなければ文章として認識できなかったはずである。無意味な補正要求である。

理由6 他の自治体でも延岡市情報公開条例第41項の「書面を提出」規定があることは同様であるが、通常の電子メールで受け付けている。

100年前ではないのであるから、電子メールは書面に該当しないから受け付けないなどと言っている場合ではない。良心による解釈がなされなければならない。民主的な法治国家においては、法律は市民の自由が不当に侵害されないように、全体の奉仕者=公務員の行為を規制し、職権濫用を防止するためのものである。市民の自由及び権利が拡張されるように解釈されなければならない。

       以上の理由により、「書面に該当しない」ことは否定された。補正を求められる理由がないことが明らかになった。民法第九十七条により、隔地者に対する意思表示は成立している。
       このような無意味な補正要求は、いたずらに行政コストを費やすのみでなく、市民に不必要な負担を強いるものである。往復交通費、時間労務費、選択の自由権、幸福追求権侵害による精神的苦痛等が市民にとって損害となる。百害あって一利ない。誰に対しても利益がない補正要求である。市民に対して、情報公開の困難化、多額化、遅延化を招くものである。情報公開の最小化を招くものである。

       憲法第13条「個人の最大限の尊重」原理により、市民には開示請求書の届出方法を選択する自由(持参、郵送、Fax、電子メール等)があるということ、特定の方法を強要されることはない、法的根拠なく選択の自由、幸福追求権を制限されることはないことを確認する。
              情報公開条例の目的、趣旨に応じた手続運用がなされなければならない。補正理由が情報公開条例の目的、趣旨に合致するものであるか否か、判別されなければならない。
不必要な制限により、市民の情報取得権、表現の自由、政治参与権が抑圧されることのない運用がなされなければならない。

●「補正要求書」の「要求」は、今後、「依頼」「必要通知」等に改めることを求める。

理由:「公正で民主的な行政の推進に資することを目的」としている情報公開条例の手続き上の様式で、「全体の奉仕者」が「民主」に対して「要求」はふさわしくない。市民による「全体の奉仕者」に対する「請求」に対して、「要求」で応じるのは、法治国家における法の前の平等、当事者対等の原則にも反している。他の自治体では「依頼書」「通知書」等になっている。

              このような、全体の奉仕者の、市民に対する姿勢が市民の絶望感を醸造し、自殺率増加を招く原因となる。3は延岡市の自殺対策強化月間である。

宮崎県の自殺対策:



関連法規
市民的及び政治的権利に関する国際規約第19
1 すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。
2 すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。

25条 すべての市民は、第2条に規定するいかなる差別もなく、かつ、不合理な制限なしに、次のことを行う権利及び機会を有する。
(b)    直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、政治に参与すること。

憲法第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十四条  すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
第十五条  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2  すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

民法(隔地者に対する意思表示)-------------------------------------------------
第九十七条  隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2  隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。------------------------


2013年3月24日日曜日

市民的及び政治的権利に関する国際規約 (自由権規約) 全文

115カ国が批准している 個人通報制度については日本は未批准です。
ドイツもフランスも韓国も批准しています。

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市民的及び政治的自由に関する国際規約(自由権規約) 条約本文
市民的政治的権理国際規約
市民的政治的権理条約
自由権条約

English
採択 1966年12月16日
発効 1976年3月23日
訳者 日本政府


この規約の締約国は、国際連合憲章において宣明された原則によれば、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎をなすものであることを考慮し、これらの権利が人間の固有の尊厳に由来することを認め、世界人権宣言によれば、自由な人間は市民的及び政治的自由並びに恐怖及び欠乏からの自由を享受するものであるとの理想は、すべての者がその経済的、社会的及び文化的権利とともに市民的及び政治的権利を享有することのできる条件が作り出される場合に初めて達成されることになることを認め、人権及び自由の普遍的な尊重及び遵守を助長すべき義務を国際連合憲章に基づき諸国が負っていることを考慮し、個人が、他人に対し及びその属する社会に対して義務を負うこと並びにこの規約において認められる権利の増進及び擁護のために努力する責任を有することを認識して、次のとおり協定する。

第1部

第1条
1 すべての人民は、自決の権利を有する。この権利に基づき、すべての人民は、その政治的地位を自由に決定し並びにその経済的、社会的及び文化的発展を自由に追求する。
2 すべての人民は、互恵の原則に基づく国際的経済協力から生ずる義務及び国際法上の義務に違反しない限り、自己のためにその天然の富及び資源を自由に処分することができる。人民は、いかなる場合にも、その生存のための手段を奪われることはない。
3 この規約の締約国(非自治地域及び信託統治地域の施政の責任を有する国を含む。)は、国際連合憲章の規定に従い、自決の権利が実現されることを促進し及び自決の権利を尊重する。

第2部

第2条
1  この規約の各締約国は、その領域内にあり、かつ、その管轄の下にあるすべての個人に対し、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等によるいかなる差別もなしにこの規約において認められる権利を尊重し及び確保することを約束する。
2 この規約の各締約国は、立法措置その他の措置がまだとられていない場合には、この規約において認められる権利を実現するために必要な立法措置その他の措置をとるため、自国の憲法上の手続及びこの規約の規定に従って必要な行動をとることを約束する。
3 この規約の各締約国は、次のことを約束する。
(a) この規約において認められる権利又は自由を侵害された者が、公的資格で行動する者によりその侵害が行われた場合にも、効果的な救済措置を受けることを確保すること。
(b) 救済措置を求める者の権利が権限のある司法上、行政上若しくは立法上の機関又は国の法制で定める他の権限のある機関によって決定されることを確保すること及び司法上の救済措置の可能性を発展させること。
(c) 救済措置が与えられる場合に権限のある機関によって執行されることを確保すること。

第3条
この規約の締約国は、この規約に定めるすべての市民的及び政治的権利の享有について男女に同等の権利を確保することを約束する。

第4条
1  国民の生存を脅かす公の緊急事態の場合においてその緊急事態の存在が公式に宣言されているときは、この規約の締約国は、事態の緊急性が真に必要とする限度において、この規約に基づく義務に違反する措置をとることができる。ただし、その措置は、当該締約国が国際法に基づき負う他の義務に抵触してはならず、また、人種、皮膚の色、性、言語、宗教又は社会的出身のみを理由とする差別を含んではならない。
2 一の規定は、第六条、第七条、第八条1及び2、第十一条、第十五条、第十六条並びに第十八条の規定に違反することを許すものではない。
3 義務に違反する措置をとる権利を行使するこの規約の締約国は、違反した規定及び違反するに至った理由を国際連合事務総長を通じてこの規約の他の締約国に直ちに通知する。更に、違反が終了する日に、同事務総長を通じてその旨通知する

第5条
1  この規約のいかなる規定も、国、集団又は個人が、この規約において認められる権利及び自由を破壊し若しくはこの規約に定める制限の範囲を超えて制限することを目的とする活動に従事し又はそのようなことを目的とする行為を行う権利を有することを意味するものと解することはできない。
2 この規約のいずれかの締約国において法律、条約、規則又は慣習によって認められ又は存する基本的人権については、この規約がそれらの権利を認めていないこと又はその認める範囲がより狭いことを理由として、それらの権利を制限し又は侵してはならない。

第3部

第6条
1 すべての人間は、生命に対する固有の権利を有する。この権利は、法律によって保護される。何人も、恣意的にその生命を奪われない。
2  死刑を廃止していない国においては、死刑は、犯罪が行われた時に効力を有しており、かつ、この規約の規定及び集団殺害犯罪の防止及び処罰に関する条約の規定に抵触しない法律により、最も重大な犯罪についてのみ科することができる。この刑罰は、権限のある裁判所が言い渡した確定判決によってのみ執行することができる。
3 生命の剥奪が集団殺害犯罪を構成する場合には、この条のいかなる規定も、この規約の締約国が集団殺害犯罪の防止及び処罰に関する条約の規定に基づいて負う義務を方法のいかんを問わず免れることを許すものではないと了解する。
4 死刑を言い渡されたいかなる者も、特赦又は減刑を求める権利を有する。死刑に対する大赦、特赦又は減刑はすべての場合に与えることができる。
5 死刑は、十八歳未満の者が行った犯罪について科してはならず、また、妊娠中の女子に対して執行してはならない。
6 この条のいかなる規定も、この規約の締約国により死刑の廃止を遅らせ又は妨げるために援用されてはならない。

第7条
何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない。特に、何人も、その自由な同意なしに医学的又は科学的実験を受けない。

第8条
1 何人も、奴隷の状態に置かれない。あらゆる形態の奴隷制度及び奴隷取引は、禁止する。
2 何人も、隷属状態に置かれない。

3
(a) 何人も、強制労働に服することを要求されない。
(b) (a)の規定は、犯罪に対する刑罰として強制労働を伴う拘禁刑を科することができる国において、権限のある裁判所による刑罰の言渡しにより強制労働をさせることを禁止するものと解してはならない。
(c) この3の規定の適用上、「強制労働」には、次のものを含まない。
(i) 作業又は役務であって、(b)の規定において言及されておらず、かつ、裁判所の合法的な命令によって抑留されている者又はその抑留を条件付きで免除されている者に通常要求されるもの
(ii) 軍事的性質の役務及び、良心的兵役拒否が認められている国においては、良心的兵役拒否者が法律によって要求される国民的役務
(iii) 社会の存立又は福祉を脅かす緊急事態又は災害の場合に要求される役務
(iv) 市民としての通常の義務とされる作業又は役務

第9条
1 すべての者は、身体の自由及び安全についての権利を有する。何人も、恣意的に逮捕され又は抑留されない。何人も、法律で定める理由及び手続によらない限り、その自由を奪われない。
2 逮捕される者は、逮捕の時にその理由を告げられるものとし、自己に対する被疑事実を速やかに告げられる。
3  刑事上の罪に問われて逮捕され又は抑留された者は、裁判官又は司法権を行使することが法律によって認められている他の官憲の面前に速やかに連れて行かれるものとし、妥当な期間内に裁判を受ける権利又は釈放される権利を有する。裁判に付される者を抑留することが原則であってはならず、釈放に当たっては、裁判その他の司法上の手続のすべての段階における出頭及び必要な場合における判決の執行のための出頭が保証されることを条件とすることができる。
4 逮捕又は抑留によって自由を奪われた者は、裁判所がその抑留が合法的であるかどうかを遅滞なく決定すること及びその抑留が合法的でない場合にはその釈放を命ずることができるように、裁判所において手続をとる権利を有する。
5 違法に逮捕され又は抑留された者は、賠償を受ける権利を有する。

第10条
1 自由を奪われたすべての者は、人道的にかつ人間の固有の尊厳を尊重して、取り扱われる
2
(a) 被告人は、例外的な事情がある場合を除くほか有罪の判決を受けた者とは分離されるものとし、有罪の判決を受けていない者としての地位に相応する別個の取扱いを受ける。
(b) 少年の被告人は、成人とは分離されるものとし、できる限り速やかに裁判に付される。
3 行刑の制度は、被拘禁者の矯正及び社会復帰を基本的な目的とする処遇を含む。少年の犯罪者は、成人とは分離されるものとし、その年齢及び法的地位に相応する取扱いを受ける。

第11条
何人も、契約上の義務を履行することができないことのみを理由として拘禁されない。

第12条
1 合法的にいずれかの国の領域内にいるすべての者は、当該領域内において、移動の自由及び居住の自由についての権利を有する。
2 すべての者は、いずれの国(自国を含む。)からも自由に離れることができる。
3  1及び2の権利は、いかなる制限も受けない。ただし、その制限が、法律で定められ、国の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の権利及び自由を保護するために必要であり、かつ、この規約において認められる他の権利と両立するものである場合は、この限りでない。
4 何人も、自国に戻る権利を恣意的に奪われない。

第13条
合法的にこの規約の締約国の領域内にいる外国人は、法律に基づいて行われた決定によってのみ当該領域から追放することができる。国の安全のためのやむを得ない理由がある場合を除くほか、当該外国人は、自己の追放に反対する理由を提示すること及び権限のある機関又はその機関が特に指名する者によって自己の事案が審査されることが認められるものとし、この為にその機関又はその者に対する代理人の出頭が認められる。

第14条
1  すべての者は、裁判所の前に平等とする。すべての者は、その刑事上の罪の決定又は民事上の権利及び義務の争いについての決定のため、法律で設置された、権限のある、独立の、かつ、公平な裁判所による公正な公開審理を受ける権利を有する。報道機関及び公衆に対しては、民主的社会における道徳、公の秩序若しくは国の安全を理由として、当事者の私生活の利益のため必要な場合において又はその公開が司法の利益を害することとなる特別な状況において裁判所が真に必要があると認める限度で、裁判の全部又は一部を公開しないことができる。もっとも、刑事訴訟又は他の訴訟において言い渡される判決は、少年の利益のために必要がある場合又は当該手続が夫婦間の争い若しくは児童の後見に関するものである場合を除くほか、公開する。
2 刑事上の罪に問われているすべての者は、法律に基づいて有罪とされるまでは、無罪と推定される権利を有する。
3 すべての者は、その刑事上の罪の決定について、十分平等に、少なくとも次の保障を受ける権利を有する。
(a) その理解する言語で速やかにかつ詳細にその罪の性質及び理由を告げられること。
(b) 防御の準備のために十分な時間及び便益を与えられ並びに自ら選任する弁護人と連絡すること。
(c) 不当に遅延することなく裁判を受けること。
(d)  自ら出席して裁判を受け及び、直接に又は自ら選任する弁護人を通じて、防御すること。弁護人がいない場合には、弁護人を持つ権利を告げられること。司法の利益のために必要な場合には、十分な支払手段を有しないときは自らその費用を負担することなく、弁護人を付されること。
(e) 自己に不利な証人を尋問し又はこれに対し尋問させること並びに自己に不利な証人と同じ条件で自己のための証人の出席及びこれに対する尋問を求めること。
(f) 裁判所において使用される言語を理解すること又は話すことができない場合には、無料で通訳の援助を受けること。
(g) 自己に不利益な供述又は有罪の自白を強要されないこと。
4 少年の場合には、手続は、その年齢及びその更生の促進が望ましいことを考慮したものとする。
5 有罪の判決を受けたすべての者は、法律に基づきその判決及び刑罰を上級の裁判所によって再審理される権利を有する。
6  確定判決によって有罪と決定された場合において、その後に、新たな事実又は新しく発見された事実により誤審のあったことが決定的に立証されたことを理由としてその有罪の判決が破棄され又は赦免が行われたときは、その有罪の判決の結果刑罰に服した者は、法律に基づいて補償を受ける。ただし、その知られなかった事実が適当な時に明らかにされなかったことの全部又は一部がその者の責めに帰するものであることが証明される場合は、この限りでない。
7 何人も、それぞれの国の法律及び刑事手続に従って既に確定的に有罪又は無罪の判決を受けた行為について再び裁判され又は処罰されることはない。

第15条
1  何人も、実行の時に国内法又は国際法により犯罪を構成しなかった作為又は不作為を理由として有罪とされることはない。何人も、犯罪が行われた時に適用されていた刑罰よりも重い刑罰を科されない。犯罪が行われた後により軽い刑罰を科する規定が法律に設けられる場合には、罪を犯した者は、その利益を受ける。
2 この条のいかなる規定も、国際社会の認める法の一般原則により実行の時に犯罪とされていた作為又は不作為を理由として裁判しかつ処罰することを妨げるものでない。

第16条
すべての者は、すべての場所において、法律の前に人として認められる権利を有する。

第17条
1 何人も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。
2 すべての者は、1の干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。

第18条
1 すべての者は、思想、良心及び宗教の自由についての権利を有する。この権利には、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由並びに、単独で又は他の者と共同して及び公に又は私的に、礼拝、儀式、行事及び教導によってその宗教又は信念を表明する自由を含む。
2 何人も、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない。
3 宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。
4 この規約の締約国は父母及び場合により法定保護者が、自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由を有することを尊重することを約束する。

第19条
1 すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。
2 すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
3 2の権利の行使には、特別の義務及び責任を伴う。したがって、この権利の行使については、一定の制限を課すことができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。
(a) 他の者の権利又は信用の尊重
(b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護

第20条
1 戦争のためのいかなる宣伝も、法律で禁止する。
2 差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する。

第21条
平和的な集会の権利は、認められる。この権利の行使については、法律で定める制限であって国の安全若しくは公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳の保護又は他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することができない。

第22条
1 すべての者は、結社の自由についての権利を有する。この権利には、自己の利益の保護のために労働組合を結成し及びこれに加入する権利を含む。

2  1の権利の行使については、法律で定める制限であって国の安全若しくは公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳の保護又は他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することができない。この条の規定は、1の権利の行使につき、軍隊及び警察の構成員に対して合法的な制限を課することを妨げるものではない。

3 この条のいかなる規定も、結社の自由及び団結権の保護に関する千九百四十八年の国際労働機関の条約の締約国が、同条約に規定する保障を阻害するような立法措置を講ずること又は同条約に規定する保障を阻害するような方法により法律を適用することを許すものではない。

第23条
1 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位であり、社会及び国による保護を受ける権利を有する。
2 婚姻をすることができる年齢の男女が婚姻をしかつ家族を形成する権利は、認められる。
3 婚姻は、両当事者の自由かつ完全な合意なしには成立しない。
4 この規約の締約国は、婚姻中及び婚姻の解消の際に、婚姻に係る配偶者の権利及び責任の平等を確保するため、適当な措置をとる。その解消の場合には、児童に対する必要な保護のため、措置がとられる。

第24条
1 すべての児童は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、国民的若しくは社会的出身、財産又は出生によるいかなる差別もなしに、未成年者としての地位に必要とされる保護の措置であって家族、社会及び国による措置について権利を有する。
2 すべての児童は、出生の後直ちに登録され、かつ、氏名を有する。
3 すべての児童は、国籍を取得する権利を有する。

第25条
すべての市民は、第二条に規定するいかなる差別もなく、かつ、不合理な制限なしに、次のことを行う権利及び機会を有する。
(a) 直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、政治に参与すること。
(b) 普通かつ平等の選挙権に基づき秘密投票により行われ、選挙人の意思の自由な表明を保障する真正な定期的選挙において、投票し及び選挙されること。
(c) 一般的な平等条件の下で自国の公務に携わること。

第26条
すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。このため、法律は、あらゆる差別を禁止し及び人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等のいかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護をすべての者に保障する。

第27条
種族的、宗教的又は言語的少数民族が存在する国において、当該少数民族に属する者は、その集団の他の構成員とともに自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されない。

第4部
第28条
1 人権委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、十八人の委員で構成するものとして、この部に定める任務を行う。
2 委員会は、高潔な人格を有し、かつ、人権の分野において能力を認められたこの規約の締約国の国民で構成する。この場合において、法律関係の経験を有する者の参加が有益であることに考慮を払う。
3 委員会の委員は、個人の資格で、選挙され及び職務を遂行する。

第29条
1 委員会の委員は、前条に定める資格を有し、かつ、この規約の締約国により選挙のために指名された者の名簿の中から秘密投票により選出される。
2 この規約の各締約国は、一人又は二人を指名することができる。指名される者は、指名する国の国民とする。
3 いずれの者も、再指名される資格を有する。

第30条
1 委員会の委員の最初の選挙は、この規約の効力発生の日の後六箇月以内に行う
2  第三十四条の規定に従って空席(第三十三条の規定により宣言された空席をいう。)を補充するための選挙の場合を除くほか、国際連合事務総長は、委員会の委員の選挙の日の遅くとも四箇月前までに、この規約の締約国に対し、委員会の委員に指名された者の氏名を三箇月以内に提出するよう書面で要請する。
3 国際連合事務総長は、2にいう指名された者のアルファベット順による名簿(これらの者を指名した締約国名を表示した名簿とする。)を作成し、名簿を各選挙の日の遅くとも一箇月前までにこの規約の締約国に送付する。
4  委員会の委員の選挙は、国際連合事務総長により国際連合本部に招集されるこの規約の締約国の会合において行う。この会合は、この規約の締約国の三分の二をもって定足数とする。この会合においては、出席しかつ投票する締約国の代表によって投じられた票の最多数で、かつ、過半数の票を得た指名された者をもって委員会に選出された委員とする。

第31条
1 委員会は、1の国の国民を二人以上含むことができない。
2 委員会の選挙に当たっては、委員の配分が地理的に衡平に行われること並びに異なる文明形態及び主要な法体系が代表されることを考慮に入れる。

第32条
1  委員会の委員は、四年の任期で選出される。委員は、再指名された場合には、再選される資格を有する。ただし、最初の選挙において選出された委員のうち九人の委員の任期は、二年で終了するものとし、これらの九人の委員は、最初の選挙の後直ちに、第三十条4に規定する会合において議長によりくじ引で選ばれる。
2 任期満了の際の選挙は、この部の前諸条の規定に従って行う。

第33条
1 委員会の委員が一時的な不在以外の理由のためその職務を遂行することができなくなったことを他の委員が一致して認める場合には、委員会の委員長は国際連合事務総長にその旨を通知するものとし、同事務総長は、当該委員の職が空席となったことを宣言する。
2 委員会の委員が死亡し又は辞任した場合には、委員長は、直ちに国際連合事務総長にその旨を通知するものとし、同事務総長は、死亡し又は辞任した日から当該委員の職が空席となったことを宣言する。

第34条
1  前条の規定により空席が宣言された場合において、当該宣言の時から六箇月以内に交代される委員の任期が満了しないときは、国際連合事務総長は、この規約の各締約国にその旨を通知する。各締約国は、空席を補充するため、二箇月以内に第二十九条の規定により指名された者の氏名を提出することができる。
2 国際連合事務総長は、1にいう指名された者のアルファベット順による名簿を作成し、この規約の締約国に送付する。空席を補充するための選挙は、この部の関連規定に従って行う。
3 前条の規定により宣言された空席を補充するために選出された委員会の委員は、同条の規定により委員会における職が空席となった委員の残余の期間在任する。

第35条
委員会の委員は、国際連合総会が委員会の任務の重要性を考慮して決定する条件に従い、同総会の承認を得て、国際連合の財源から報酬を受ける。

第36条
国際連合事務総長は、委員会がこの規約に定める任務を効果的に遂行するために必要な職員及び便益を提供する。

第37条
1 国際連合事務総長は、委員会の最初の会合を国際連合本部に招集する。
2 委員会は、最初の会合の後は、手続規則に定める時期に会合する。
3 委員会は、通常、国際連合本部又はジュネーブにある国際連合事務所において会合する。

第38条
委員会のすべての委員は、職務の開始に先立ち、公開の委員会において、職務を公平かつ良心的に遂行する旨の厳粛な宣誓を行う。

第39条
1 委員会は、役員を二年の任期で選出する。役員は、再選されることができる。
2 委員会は、手続規則を定める。この手続規則には、特に次のことを定める。
(a) 十二人の委員をもって定足数とすること。
(b) 委員会の決定は、出席する委員が投ずる票の過半数によって行うこと。

第40条
1  この規約の締約国は、(a)当該締約国についてこの規約が効力を生ずる時から一年以内に、(b)その後は委員会が要請するときに、この規約において認められる権利の実現のためにとった措置及びこれらの権利の享受についてもたらされた進歩に関する報告を提出することを約束する。
2 すべての報告は、国際連合事務総長に提出するものとし、同事務総長は、検討のため、これらの報告を委員会に送付する。報告には、この規約の実施に影響を及ぼす要因及び障害が存在する場合には、これらの要因及び障害を記載する。
3 国際連合事務総長は、委員会との協議の後、報告に含まれるいずれかの専門機関の権限の範囲内にある事項に関する部分の写しを当該専門機関に送付することができる。
4  委員会は、この規約の締約国の提出する報告を検討する。委員会は、委員会の報告及び適当と認める一般的な性格を有する意見を締約国に送付しなければならず、また、この規約の締約国から受領した報告の写しとともに当該一般的な性格を有する意見を経済社会理事会に送付することができる。
5 この規約の締約国は、四の規定により送付される一般的な性格を有する意見に関する見解を委員会に提示することができる。

第41条
1  この規約の締約国は、この規約に基づく義務が他の締約国によって履行されていない旨を主張するいずれかの締約国からの通報を委員会が受理しかつ検討する権限を有することを認めることを、この条の規定に基づいていつでも宣言することができる。この条の規定に基づく通報は、委員会の当該権限を自国について認める宣言を行った締約国による通報である場合に限り、受理しかつ検討することができる。委員会は、宣言を行っていない締約国についての通報を受理してはならない。この条の規定により受理される通報は、次の手続に従って取り扱う。

(a) この規約の締約国は、他の締約国がこの規約を実施していないと認める場合には、書面による通知により、その事態につき当該他の締約国の注意を喚起することができる。通知を受領する国は、通知の受領の後三箇月以内に、当該事態について説明する文書その他の文書を、通知を送付した国に提供する。これらの文書は、当該事態について既にとられ、現在とっており又は将来とることができる国内的な手続及び救済措置に、可能かつ適当な範囲において、言及しなければならない。

(b) 最初の通知の受領の後六箇月以内に当該事案が関係締約国の双方の満足するように調整されない場合には、いずれの一方の締約国も、委員会及び他方の締約国に通告することにより当該事案を委員会に付託する権利を有する。

(c) 委員会は、付託された事案について利用し得るすべての国内的な救済措置がとられかつ尽くされたことを確認した後に限り、一般的に認められた国際法の原則に従って、付託された事案を取り扱う。ただし、救済措置の実施が不当に遅延する場合は、この限りでない。

(d) 委員会は、この条の規定により通報を検討する場合には、非公開の会合を開催する。

(e) (c)の規定に従うことを条件として、委員会は、この規約において認められる人権及び基本的自由の尊重を基礎として事案を友好的に解決するため、関係締約国に対してあっ旋を行う。

(f) 委員会は、付託されたいずれの事案についても、(b)にいう関係締約国に対し、あらゆる関連情報を提供するよう要請することができる。

(g) (b)にいう関係締約国は、委員会において事案が検討されている間において代表を出席させる権利を有するものとし、また、口頭又は書面により意見を提出する権利を有する。

(h) 委員会は、(b)の通告を受領した日の後十二箇月以内に、報告を提出する。報告は、各事案ごとに、関係締約国に送付する。

(i) (e)の規定により解決に到達した場合には、委員会は、事実及び到達した解決について簡潔に記述したものを報告する。

(ii) (e)の規定により解決に到達しない場合には、委員会は、事実について簡潔に記述したものを報告するものとし、当該報告に関係締約国の口頭による意見の記録及び書面による意見を添付する。

2  この条の規定は、この規約の十の締約国が1の規定に基づく宣言を行った時に効力を生ずる。宣言は、締約国が国際連合事務総長に寄託するものとし、同事務総長は、その写しを他の締約国に送付する。宣言は、同事務総長に対する通告によりいつでも撤回することができる。撤回は、この条の規定に従って既に送付された通報におけるいかなる事案の検討をも妨げるものではない。宣言を撤回した締約国による新たな通報は、同事務総長がその宣言の撤回の通告を受領した後は、当該締約国が新たな宣言を行わない限り、受理しない。

第42条
1(a) 前条の規定により委員会に付託された事案が関係締約国の満足するように解決されない場合には、委員会は、関係締約国の事前の同意を得て、特別調停委員会(以下「調停委員会」という。)を設置することができる。調停委員会は、この規約の尊重を基礎として当該事案を友好的に解決するため、関係締約国に対してあっ旋を行う。
(b)  調停委員会は、関係締約国が容認する五人の者で構成する。調停委員会の構成について三箇月以内に関係締約国が合意に達しない場合には、合意が得られない調停委員会の委員については、委員会の秘密投票により、三分の二以上の多数による議決で、委員会の委員の中から選出する。 2 調停委員会の委員は、個人の資格で、職務を遂行する。委員は、関係締約国、この規約の締約国でない国又は前条の規定に基づく宣言を行っていない締約国の国民であってはならない。

2 調停委員会の委員は、個人の資格で、職務を遂行する。委員は、関係締約国、この規約の締約国でない国又は前条の規定に基づく宣言を行っていない締約国の国民であってはならない。

3 調停委員会は、委員長を選出し及び手続規則を採択する。

4 調停委員会の会合は、通常、国際連合本部又はジュネーブにある国際連合事務所において開催する。もっとも、この会合は、調停委員会が国際連合事務総長及び関係締約国との協議の上決定する他の適当な場所において開催することができる。

5 第三十六条の規定により提供される事務局は、また、この条の規定に基づいて設置される調停委員会のために役務を提供する。

6 委員会が受領しかつ取りまとめる情報は、調停委員会の利用に供しなければならず、また、調停委員会は、関係締約国に対し、他のあらゆる関連情報を提供するよう要請することができる。

7 調停委員会は、事案を十分に検討した後に、かつ、検討のため事案を取り上げた後いかなる場合にも十二箇月以内に、関係締約国に通知するため、委員会の委員長に報告を提出する。

(a) 十二箇月以内に事案の検討を終了することができない場合には、調停委員会は、事案の検討状況について簡潔に記述したものを報告する。

(b) この規約において認められる人権の尊重を基礎として事案の友好的な解決に到達した場合には、調停委員会は、事実及び到達した解決について簡潔に記述したものを報告する。

(c)  (b)に規定する解決に到達しない場合には、調停委員会の報告には、関係締約国間の係争問題に係るすべての事実関係についての調査結果及び当該事案の友好的な解決の可能性に関する意見を記載するとともに関係締約国の口頭による意見の記録及び書面による意見を添付する。

(d) (c)の規定により調停委員会の報告が提出される場合には、関係締約国は、その報告の受領の後三箇月以内に、委員会の委員長に対し、調停委員会の報告の内容を受諾するかどうかを通告する。

8 この条の規定は、前条の規定に基づく委員会の任務に影響を及ぼすものではない

9 関係締約国は、国際連合事務総長が作成する見積りに従って、調停委員会の委員に係るすべての経費を平等に分担する。

10 国際連合事務総長は、必要なときは、9の規定による関係締約国の経費の分担に先立って調停委員会の委員の経費を支払う権限を有する。

第43条
委員会の委員及び前条の規定に基づいて設置される調停委員会の委員は、国際連合の特権及び免除に関する条約の関連規定に規定する国際連合のための職務を行う専門家の便益、特権及び免除を享受する。

第44条
この規約の実施に関する規定は、国際連合及び専門機関の基本文書並びに国際連合及び専門機関において作成された諸条約により又はこれらの基本文書及び諸条約に基づき人権の分野に関し定められた手続を妨げることなく適用するものとし、この規約の締約国の間で効力を有する一般的な又は特別の国際取極による紛争の解決のため、この規約の締約国が他の手続を利用することを妨げるものではない。

第45条
委員会は、その活動に関する年次報告を経済社会理事会を通じて国際連合総会に提出する。

第5部

第46条
この規約のいかなる規定も、この規約に規定されている事項につき、国際連合の諸機関及び専門機関の任務をそれぞれ定めている国際連合憲章及び専門機関の基本文書の規定の適用を妨げるものと解してはならない

第47条
この規約のいかなる規定も、すべての人民がその天然の富及び資源を十分かつ自由に享受し及び利用する固有の権利を害するものと解してはならない。

第6部
第48条
1 この規約は、国際連合又はいずれかの専門機関の加盟国、国際司法裁判所規程の当事国及びこの規約の締約国となるよう国際連合総会が招請する他の国による署名のために開放しておく。
2 この規約は、批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託する。
3 この規約は、1に規定する国による加入のために開放しておく。
4 加入は、加入書を国際連合事務総長に寄託することによって行う。
5 国際連合事務総長は、この規約に署名し又は加入したすべての国に対し、各批准書又は各加入書の寄託を通報する。

第49条
1 この規約は、三十五番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後三箇月で効力を生ずる。
2 この規約は、三十五番目の批准書又は加入書が寄託された後に批准し又は加入する国については、その批准書又は加入書が寄託された日の後三箇月で効力を生ずる。

第50条
この規約は、いかなる制限又は例外もなしに、連邦国家のすべての地域について適用する。

第51条
1  この規約のいずれの締約国も、改正を提案し及び改正案を国際連合事務総長に提出することができる。同事務総長は、直ちに、この規約の締約国に対し、改正案を送付するものとし、締約国による改正案の審議及び投票のための締約国会議の開催についての賛否を同事務総長に通告するよう要請する。締約国の三分の一以上が会議の開催に賛成する場合には、同事務総長は、国際連合の主催の下に会議を招集する。会議において出席しかつ投票する締約国の過半数によって採択された改正案は、承認のため、国際連合総会に提出する。

2 改正は、国際連合総会が承認し、かつ、この規約の締約国の三分の二以上の多数がそれぞれの国の憲法上の手続に従って受諾したときに、効力を生ずる。

3 改正は、効力を生じたときは、改正を受諾した締約国を拘束するものとし、他の締約国は、改正前のこの規約の規定(受諾した従前の改正を含む。)により引き続き拘束される。

第52条
第四十八条五の規定により行われる通報にかかわらず、国際連合事務総長は、同条1に規定するすべての国に対し、次の事項を通報する。
(a) 第四十八条の規定による署名、批准及び加入
(b) 第四十九条の規定に基づきこの規約が効力を生ずる日及び前条の規定により改正が効力を生ずる日

第53条
1 この規約は、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とし、国際連合に寄託される。
2 国際連合事務総長は、この規約の認証謄本を第四十八条に規定するすべての国に送付する。

以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けて、千九百六十六年十二月十九日にニューヨークで署名のために開放されたこの規約に署名した。

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自由権規約選択議定書

条約名称 市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書(第1選択議定書)
Optional Protocol to the International Covenant on Civil and Political Rights

採択 1966(昭41)・12・16 第21回国際連合総会で採択
発効 1976(昭51)・3・23 発効
参考文献 宮崎繁樹編『国際人権規約』日本評論社、1996年

English

この議定書の締約国は、
市民的及び政治的権利に関する規約(以下、「規約」という)の目的並びに、その規定の実施をよりよく達成するためには、規約第4部において設置される人権委員会(以下「委員会」という)が、この議定書に定めるところにより、この規約に定める権利の侵害の犠牲者であることを主張する個人からの通報を受理し、かつ審議しうるようにすることが適当であると考え
 次のとおり協定した。

第1条(個人からの通報の受理)
 規約の締約国であって、この議定書の締約国となるものは、その管轄下にある個人で規約に定めるいずれかの権利が右の締約国によって侵害されたと主張するものからの通報を、委員会が受理し、かつ、検討する権限を有することを認める。委員会は、規約の締約国であるがこの議定書の締約国でないものに関するいかなる通報も受理してはならない。

第2条(規約上の権利の侵害)
 第1条の規定に従うことを条件として、規約に列挙するいずれかの侵害されたと主張する個人であって、利用しうるすべての国内的救済手段をつくしたものは、文書による通報を検討のため委員会に提出することができる。

第3条(受理できない通報)
 委員会は、この議定書による通報であって匿名のもの、又は通報提出の権利の濫用であり若しくは規約の規定に抵触すると考えるものはすべて、受理することができないと宣言する。

第4条(締約国の注意喚起)
1 第3条の規定に従うことを条件として、委員会は、この議定書によって提出されたすべての通報について、規約のいずれかの規定を侵害していると主張されているこの議定書の締約国の注意を喚起する。
2 前記の締約国は、6箇月以内に問題を明らかにし、かつ、当該国によってとられた救済措置がある場合には、それを明らかにする説明書又は声明書を委員会に提出する。

第5条(委員会による検討)
1 委員会は、個人及び関係締約国から入手した文書によるすべての情報に照らして、この議定書によって受理された通報を検討する。
2 委員会は、次のことを確認した場合を除き、個人からのいかなる通報も受理しない
(a) 同一の問題が他の国際的調査又は解決の手紙の下で審議されていないこと。
(b) 当該個人が利用し得るすべての国内的救済措置を尽くしたこと。この規則は、救済措置の適用が不当に遅延する場合には、この限りではない。
3 委員会は、この議定書による通報を検討する際には、会合を非公開とする。

4 委員会は、関係締約国及び個人にその見解を送付する。

第6条(年次報告)

 委員会は、規約第45条による年次報告の中に、この議定書による活動の概要を含める。

第7条(他の条約上の権利との関係)

 1960年12月14日、国際連合総会によって採択された植民地及びその人民に対する独立付与宣言に関する決議1514(XV)の目的が達成されるまでの間、この議定書の規定は、国際連合憲章並びに国際連合及びその専門機関の下に締結された他の国際条約及び文書によって、前記の人民に付与された請願の権利を何ら制限するものではない。

第8条(署名、批准、加入、寄託)

1 この議定書は、規約に署名したすべての国による署名のために開放される。
2 この議定書は、規約を批准し又は規約に加入したすべての国による批准を必要とする。批准書は、国際連合事務総長に寄託されるものとする。
3 この議定書は、規約を批准し又はこれに加入したすべての国による加入のために開放しておく。
4 加入は、加入書を国際連合事務総長に寄託することによって行う。
5 国際連合事務総長は、この議定書に署名し又は加入したすべての国に対し、各批准書又は加入書の寄託を通知する。

第9条(効力発生)
1 規約の効力発生を条件として、この議定書は、10番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後3箇月で効力を生ずる。
2 この議定書は、10弁目の批准書又は加入書が寄託された後に批准し又は加入する国については、その批准書又は加入書が寄託された日の後3箇月で効力を生ずる。

第10条(連邦国家への適用)
[省略]

第11条(改正)
[省略]

第12条(廃棄)
1 いずれの締約国も、国際連合事務総長にあてた書面による通告によりいつでもこの議定書を廃棄することができる。廃棄は、事務総長による通告の受領後3箇月で、効力を生ずる

2 廃棄は、その効力発生の日以前に第2条によって提出された通報に対して、この議定書の規定を引き続き適用することを妨げない。

第13条(国際連合事務総長による通報)

第14条(正文)

[省略]

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自由権規約 日本の批准状況

English

条約本体

批准

署名:1978年5月30日

国会承認:1979年6月6日

批准書寄託:1979年6月21日

発効:1979年9月21日

留保

なし

解釈宣言

日本国政府は,結社の自由及び団結権の保護に関する条約の批准に際し,同条約第9条にいう「警察」には日本国の消防が含まれると解する旨の立場をとったことを想起し,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約第8条2及び市民的及び政治的権利に関する国際規約第22条2にいう「警察の構成員」には日本国の消防職員が含まれると解釈するものであることを宣言する。

第1選択議定書

未批准

第2選択議定書

未批准

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約 (社会権規約)

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約

採択 1966年12月16日
発効 1976年1月3日
訳者 日本政府
英語

 この規約の締約国は、
 国際連合憲章において宣明された原則によれば、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎をなすものであることを考慮し、
 これらの権利が人間の固有の尊厳に由来することを認め、
 世界人権宣言によれば、自由な人間は恐怖及び欠乏からの自由を享受することであるとの理想は、すべての者がその市民的及び政治的権利とともに経済的、社会的及び文化的権利を享有することのできる条件が作り出される場合に初めて達成されることになることを認め、
 人権及び自由の普遍的な尊重及び遵守を助長すべき義務を国際連合憲章に基づき諸国が負っていることを考慮し、
 個人が、他人に対し及びその属する社会に対して義務を負うこと並びにこの規約において認められる権利の増進及び擁護のために努力する責任を有することを認識して、
 次のとおり協定する。

第1部

第1条
1 すべての人民は、自決の権利を有する。この権利に基づき、すべての人民は、その政治的地位を自由に決定し並びにその経済的、社会的及び文化的発展を自由に追求する

2 すべて人民は、互恵の原則に基づく国際的経済協力から生ずる義務及び国際法上の義務に違反しない限り、自己のためにその天然の富及び資源を自由に処分することができる。人民は、いかなる場合にも、その生存のための手段を奪われることはない。

3 この規約の締約国(非自治地域及び信託統治地域の施政の責任を有する国を含む。)は、国際連合憲章の規定に従い、自決の権利が実現されることを促進し及び自決の権利を尊重する。

第2部

第2条
1 この規約の各締約国は、立法措置その他のすべての適当な方法によりこの規約において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成するため、自国における利用可能な手段を最大限に用いることにより、個々に又は国際的な援助及び協力、特に、経済上及び技術上の援助及び協力を通じて、行動をとることを約束する。

2 この規約の締約国は、この規約に規定する権利が人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位によるいかなる差別もなしに行使されることを保障することを約束する

3 開発途上にある国は、人権及び自国の経済の双方に十分な考慮を払い、この規約において認められる経済的権利をどの程度まで外国人に保障するかを決定することができる。

第3条
 この規約の締約国は、この規約に定めるすべての経済的、社会的及び文化的権利の享有について男女に同等の権利を確保することを約束する。

第4条
 この規約の締約国は、この規約に合致するものとして国により確保される権利の享受に関し、その権利の性質と両立しており、かつ、民主的社会における一般的福祉を増進することを目的としている場合に限り、法律で定める制限のみをその権利に課すことができることを認める。

第5条
1 この規約のいかなる規定も、国、集団又は個人が、この規約において認められる権利若しくは自由を破壊し若しくはこの規約に定める制限の範囲を超えて制限することを目的とする活動に従事し又はそのようなことを目的とする行為を行う権利を有することを意味するものと解することはできない。

2 いずれかの国において法律、条約、規則又は慣習によって認められ又は存する基本的人権については、この規約がそれらの権利を認めていないこと又はその認める範囲がより狭いことを理由として、それらの権利を制限し又は侵すことは許されない。

第3部

第6条
1 この規約の締約国は、労働の権利を認めるものとし、この権利を保障するため適当な措置をとる。この権利には、すべての者が自由に選択し又は承諾する労働によって生計を立てる機会を得る権利を含む。

2 この規約の締約国が1の権利の完全な実現を達成するためとる措置には、個人に対して基本的な政治的及び経済的自由を保障する条件の下で着実な経済的、社会的及び文化的発展を実現し並びに完全かつ生産的な雇用を達成するための技術及び職業の指導及び訓練に関する計画、政策及び方法を含む。

第7条
 この規約の締約国は、すべての者が公正かつ良好な労働条件を享受する権利を有することを認める。この労働条件は、特に次のものを確保する労働条件とする。

(a) すべての労働者に最小限度次のものを与える報酬
(i)  公正な賃金及びいかなる差別もない同一価値の労働についての同一報酬。特に、女子については、同一の労働についての同一報酬とともに男子が享受する労働条件に劣らない労働条件が保障されること。
(ii)  労働者及びその家族のこの規約に適合する相応な生活

(b) 安全かつ健康的な作業条件

(c) 先任及び能力以外のいかなる事由も考慮されることなく、すべての者がその雇用関係においてより高い過当な地位に昇進する均等な機会

(d) 休息、余暇、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇並びに公の休日についての報酬

第8条
1 この規約の締約国は、次の権利を確保することを約束する。

(a) すべての者がその経済的及び社会的利益を増進し及び保護するため、労働組合を結成し及び当該労働組合の規則にのみ従うことを条件として自ら選択する労働組合に加入する権利。この権利の行使については、法律で定める制限であって国の安全若しくは公の秩序のため又は他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することができない

(b) 労働組合が国内の連合又は総連合を設立する権利及びこれらの連合又は総連合が国際的な労働組合団体を結成し又はこれに加入する権利

(c) 労働組合が、法律で定める制限であって国の安全若しくは公の秩序のため又は他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も受けることなく、自由に活動する権利

(d) 同盟罷業をする権利。ただし、この権利は、各国の法律に従って行使されることを条件とする。

2 この条の規定は、軍隊若しくは警察の構成員又は公務員による1の権利の行使について合法的な制限を課することを妨げるものではない。

3 この条のいかなる規定も、結社の自由及び団結権の保護に関する千九百四十八年の国際労働機関の条約の締約国が、同条約に規定する保障を阻害するような立法措置を講ずること又は同条約に規定する保障を阻害するような方法により法律を適用することを許すものではない。

第9条
 この規約の締約国は、社会保険その他の社会保障についてのすべての者の権利を認める。

第10条
 この規約の締約国は、次のことを認める。

1 できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し、特に、家族の形成のために並びに扶養児童の養育及び教育について責任を有する間に、与えられるべきである。婚姻は、両当事者の自由な合意に基づいて成立するものでなければならない。

2 産前産後の合理的な期間においては、特別な保護が母親に与えられるべきである。働いている母親には、その期間において、有給休暇又は相当な社会保障給付を伴う休暇が与えられるべきである。

3 保護及び援助のための特別な措置が、出生の他の事情を理由とするいかなる差別もなく、すべての児童及び年少者のためにとられるべきである。児童及び年少者は、経済的及び社会的な搾取から保護されるべきである。児童及び年少者を、その精神若しくは健康に有害であり、その生命に危険があり又はその正常な発育を妨げるおそれのある労働に使用することは、法律で処罰すべきである。また、国は年齢による制限を定め、その年齢に達しない児童を賃金を支払って使用することを法律で禁止しかつ処罰すべきである。

第11条
1 この規約の締約国は、自己及びその家族のための相当な食糧、衣類及び住居を内容とする相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利を認める。締約国は、この権利の実現を確保するために適当な措置をとり、このためには、自由な合意に基づく国際協力が極めて重要であることを認める。

2 この規約の締約国は、すべての者が飢餓から免れる基本的な権利を有することを認め、個々に及び国際協力を通じて、次の目的のため、具体的な計画その他の必要な措置をとる。

(a) 技術的及び科学的知識を十分に利用することにより、栄養に関する原則についての知識を普及させることにより並びに天然資源の最も効果的な開発及び利用を達成するように農地制度を発展させ又は改革することにより、食糧の生産、保存及び分配の方法を改善すること。

(b) 食糧の輸入国及び輸出国の双方の問題に考慮を払い、需要との関連において世界の食糧の供給の衡平な分配を確保すること。

第12条
1 この規約の締約国は、すべての者が到達可能な最高水準の身体及び精神の健康を享受する権利を有することを認める。

2 この規約の締約国が1の権利の完全な実現を達成するためにとる措置には、次のことに必要な措置を含む。

(a) 死産率及び幼児の死亡率を低下させるための並びに児童の健全な発育のための対策

(b) 環境衛生及び産業衛生のあらゆる状態の改善

(c) 伝染病、風土病、職業病その他の疾病の予防、治療及び抑圧

(d) 病気の場合にすべての者に医療及び看護を確保するような条件の創出

第13条
1 この規約の締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。締約国は、教育が人格の完成及び人格の尊厳についての意識の十分な発達を指向し並びに人権及び基本的自由の尊重を強化すべきことに同意する。更に、締約国は、教育が、すべての者に対し、自由な社会に効果的に参加すること、諸国民の間及び人種的、種族的又は宗教的集団の間の理解、寛容及び友好を促進すること並びに平和の維持のための国際連合の活動を助長することを可能にすべきことに同意する。

2 この規約の締約国は、1の権利の完全な実現を達成するため、次のことを認める。

(a) 初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとすること。

(b) 種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。

(c) 高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。

(d) 基礎教育は、初等教育を受けなかった者又はその全課程を修了しなかった者のため、できる限り奨励され又は強化されること。

(e) すべての段階にわたる学校制度の発展を積極的に追求し、適当な奨学金制度を設立し及び教育職員の物質的条件を不断に改善すること。

3 この規約の締約国は、父母及び場合により法定保護者が、公の機関によって設置される学校以外の学校であって国によって定められ又は承認される最低限度の教育上の基準に適合するものを児童のために選択する自由並びに自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由を有することを尊重することを約束する。

4 この条のいかなる規定も、個人及び団体が教育機関を設置し及び管理する自由を妨げるものと解してはならない。ただし、常に、1に定める原則が遵守されること及び当該教育機関において行なわれる教育が国によって定められる最低限度の基準に適合することを条件とする。

第14条
 この規約の締約国となる時にその本土地域又はその管轄の下にある他の地域において無償の初等義務教育を確保するに至っていない各締約国は、すべての者に対する無償の義務教育の原則をその計画中に定める合理的な期間内に漸進的に実施するための詳細な行動計画を二年以内に作成しかつ採用することを約束する。

第15条
1 この規約の締約国は、すべての者の次の権利を認める。

(a) 文化的な生活に参加する権利

(b) 科学の進歩及びその利用による利益を享受する権利

(c) 自己の科学的、文学的又は芸術的作品により生ずる精神的及び物質的利益が保護されることを享受する権利

2 この規約の締約国が1の権利の完全な実現を達成するためにとる措置には、科学及び文化の保存、発展及び普及に必要な措置を含む。

3 この規約の締約国は、科学研究及び創作活動に不可欠な自由を尊重することを約束する。

4 この規約の締約国は、科学及び文化の分野における国際的な連絡及び協力を奨励し及び発展させることによって得られる利益を認める。

第4部

第16条
1 この規約の締約国は、この規約において認められる権利の実現のためにとった措置及びこれらの権利の実現についてもたらされた進歩に関する報告をこの部の規定に従って提出することを約束する。

2
(a) すべての報告は、国際連合事務総長に提出するものとし、同事務総長は、この規約による経済社会理事会の審議のため、その写しを同理事会に送付する。

(b) 国際連合事務総長は、また、いずれかの専門機関の加盟国であるこの規約の締結によって提出される報告又はその一部が当該専門機関の基本文書によりその任務の範囲内にある事項に関連を有するものである場合には、それらの報告又は関係部分の写しを当該専門機関に送付する。

第17条
1 この規約の締約国は、経済社会理事会が締約国及び関係専門機関との協議の後この規約の効力発生の後一年以内に作成する計画に従い、報告を段階的に提出する

2 報告には、この規約に基づく義務の履行程度に影響を及ぼす要因及び障害を記載することができる。

3 関連情報がこの規約の締約国により国際連合又はいずれかの専門機関に既に提供されている場合には、その情報については、再び提供の必要はなく、提供に係る情報について明確に言及することで足りる。

第18条
 経済社会理事会は、人権及び基本的自由の分野における国際連合憲章に規定する責任に基づき、いずれかの専門機関の任務の範囲内にある事項に関するこの規約の規定の遵守についてもたらされた進歩に関し当該専門機関が同理事会に報告することにつき、当該専門機関と取極を行うことができる。報告には、当該専門機関の権限のある機関がこの規約の当該規定の実施に関して採択した決定及び勧告についての詳細を含ませることができる。

第19条
 経済社会理事会は、第十六条及び第十七条の規定により締約国が提出する人権に関する報告並びに前条の規定により専門機関が提出する人権に関する報告を、検討及び一般的な性格を有する勧告のため又は適当な場合には情報用として、人権委員会に送付することができる。

第20条
 この規約の締約国及び関係専門機関は、前条にいう一般的な性格を有する勧告に関する意見又は人権委員会の報告において若しくはその報告で引用されている文書において言及されている一般的な性格を有する勧告に関する意見を、経済社会理事会に提出することができる。

第21条
 経済社会理事会は、一般的な性格を有する勧告を付した報告、並びにこの規約の締約国及び専門機関から得た情報であってこの規約において認められる権利の実現のためにとられた措置及びこれらの権利の実現についてもたらされた進歩に関する情報の概要を、総会に随時提出することができる。

第22条
 経済社会理事会は、技術援助の供与に関係を有する国際連合の他の機関及びこれらの補助機関並びに専門機関に対し、この部に規定する報告により提起された問題であって、これらの機関がそれぞれの権限の範囲内でこの規約の効果的かつ漸進的な実施に寄与すると認められる国際的措置をとることの適否の決定に当たって参考となるものにつき、注意を喚起することができる。

第23条
 この規約の締約国は、この規約において認められる権利の実現のための国際的措置には条約の締結、勧告の採択、技術援助の供与並びに関係国の政府との連携により組織される協議及び検討のための地域会議及び専門家会議の開催のような措置が含まれることに同意する。

第24条
 この規約のいかなる規定も、この規約に規定されている事項につき、国際連合の諸機関及び専門機関の任務をそれぞれ定めている国際連合憲章及び専門機関の基本文書の規定の適用を妨げるものと解してはならない。

第25条
 この規約のいかなる規定も、すべての人民がその天然の富及び資源を十分かつ自由に享受し及び利用する固有の権利を害するものと解してはならない。

第5部

第26条
1 この規約は、国際連合又はいずれかの専門機関の加盟国、国際司法裁判所規程の当事国及びこの規約の締約国となるよう国際連合総会が招請する他の国による署名のために開放しておく。

2 この規約は、批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託する。

3 この規約は、1に規程する国による加入のために開放しておく。

4 加入は、加入書を国際連合事務総長に寄託することによって行う。

5 国際連合事務総長は、この規約に署名し又は加入したすべての国に対し、各批准書又は各加入書の寄託を通報する。

第27条
1 この規約は、三十五番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後三箇月で効力を生ずる。

2 この規約は、三十五番目の批准書又は加入書が寄託された後に批准し又は加入する国については、その批准書又は加入書が寄託された日の後三箇月で効力を生ずる。

第28条
 この規約は、いかなる制限又は例外もなしに連邦国家のすべての地域について適用する。

第29条
1 この規約のいずれの締約国も、改正を提案し及び改正案を国際連合事務総長に提出することができる。同事務総長は、直ちに、この規約の締約国に対し、改正案を送付するものとし、締約国による改正案の審議及び投票のための締約国会議の開催についての賛否を同事務総長に通告するよう要請する。締約国の三分の一以上が会議の開催に賛成する場合には、同事務総長は、国際連合の主催の下に会議を招集する。会議において出席しかつ投票する締約国の過半数によって採択された改正案は、承認のため、国際連合総会に提出する。

2 改正は、国際連合総会が承認し、かつ、この規約の締約国の三分の二以上の多数がそれぞれの国の憲法上の手続に従って受諾したときに、効力を生ずる。

3 改正は、効力を生じたときは、改正を受諾した締約国を拘束するものとし、他の締約国は、改正前のこの規約の規定(受諾した従前の改正を含む。)により引き続き拘束される。

第30条
 第二十六条5の規定により行われる通報にかかわらず、国際連合事務総長は、同条1に規定するすべての国に対し、次の事項を通報する。

(a) 第二十六条の規定による署名、批准及び加入

(b) 第二十七条の規定に基づきこの規約が効力を生ずる日及び前条の規定により改正が効力を生ずる日

第31条
1 この規約は、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とし、国際連合に寄託される。

2 国際連合事務総長は、この規約の認証謄本を第二十六条に規定するすべての国に送付する。

 以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けて、千九百六十六年十二月十九日にニューヨークで署名のために開放されたこの規約に署名した。

(署名欄は省略)


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社会権規約 日本の批准状況

English

批准

署名:1978年5月30日

国会承認:1979年6月6日

批准書寄託:1979年6月21日

発効:1979年9月21日

留保

1.日本国は,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約第7条(d)の規定の適用にあたり,この規定にいう「公の休日についての報酬」に拘束されない権利を留保する。

2.日本国は,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約第8条(d)の規定に拘束されない権利を留保する。ただし,日本国政府による同規約の批准の時に日本国の法令により前記の規定にいう権利が与えられている部門に付いては,この限りでない。

3.日本国は,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約第13条2(b)及び(c)の規定の適用に当たり,これらの規定にいう「特に,無償教育の漸進的な導入により」に拘束されない権利を留保する。

解釈宣言

日本国政府は,結社の自由及び団結権の保護に関する条約の批准に際し,同条約第9条にいう「警察」には日本国の消防が含まれると解する旨の立場をとったことを想起し,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約第8条2及び市民的及び政治的権利に関する国際規約第22条2にいう「警察の構成員」には日本国の消防職員が含まれると解釈するものであることを宣言する。